スマフォ⇔PCの相互操作をApower Mirrorで実現する

以前、G Suiteの社内向けに様々な研修を行っていました。GMailの操作方法やDriveの活用法、Formの構築やもちろん、スプレッドシートの使い方などなど。しかし、G SuiteはPCでだけ使うわけではありません。当然手持ちのスマフォからも当たり前のように使うことになるので、両方の研修講座を作り、グループ病院内でのG Suite活用促進を行っていました。

この時研修で活用していたのが「Apower Mirror」。スマフォからPCへ向けてのミラーリングだけでなく、逆にPCからスマフォ側を操作なんて離れ業も可能で、PC用/スマフォ用の同時研修で非常にはかどりました。今回は、このApower Mirrorを深堀りしてみたいと思います。

今回使用するアプリ

PC側はWindows10、macOSに対応しており、スマフォ側はAndroid、iOSに対応とマルチプラットフォームで使えます。今回は、手持ちのmacOSを土台に、iPad 5thZenfone6iPhone8で色々弄り倒してみたいと思います。

研修などでは、スマフォ⇔macOS⇔プロジェクタといった形で接続させ、歩きながらのプレゼンやユーザサポートを手元で行えるので、スマートです。

ミラーリング

Apower Mirrorでよく活用していたのが、ミラーリング。以前同じジャンルのソフトウェアとしてAirServerを紹介したことがありますが、AirServerが単純なミラーリングに特化しているのに対して、Apower Mirrorの場合有線接続も可能なので逆に操作が可能という特徴があります。

Androidでミラーリング

AndroidからPC側へのミラーリングはアプリ側で行います。アプリをインストールすると初回起動時のみいくつかのアクセス権限に対して許可を与える必要があります。また、AndroidとPC側は同じWiFiネットワーク内にいる必要があるので、特にスマフォ側が4Gのみになっているなどの場合、ミラーリングできませんので注意!!接続手順は以下の通り

  1. Android側のApower Mirrorアプリを起動、macOS側もApower Mirror(WiFi接続)を立ち上げる
  2. Android側は画面真ん中の「ミラーリング」をタップすれば、macOS側のApower Mirrorを検知してくれます。
  3. 出てきたら、タップする
  4. スマホをPCにミラーリングをタップする
  5. 「キャスト中や記録中にプライベート情報が公開されます」と出るので、「今すぐ開始」をタップ。公開といっても世界中に公開するわけではないです・・・
  6. これでPC側にもうミラーリングされています(画面のキャストをせずとも、アプリ側で行ってくれる)
  7. スマフォ側で「切断」をタップすればミラーリングが終了します。

スマフォの画面を横にすれば、PC側のApower Mirrorも横になります。左もしくは上のツールボックスにある〼をクリックすることで、画面をフルスクリーンにする事も可能です。

※PC側がmacOSの場合、ミラーリングコードやQRコードが出てこないので、自動検知で接続が必要です。

※Androidの場合、スマフォ側音声はPC側には飛ばないようです。Youtubeアプリから画面を飛ばすことは問題なく可能です(Android 10)。

図:横でミラーリングをしてみた

図:スマフォ側からPC側を検知した様子

iOSでミラーリング

今回iOSデバイスとして、iPadからミラーリングさせてみました。ミラーリングはAirPlayを利用します。Android同様初回だけいくつか権限許可を与える必要があります。iOSデバイスとPC側は同じWiFiネットワーク内にいる必要があるので、特にiOS側が4Gのみになっているなどの場合、ミラーリングできませんので注意!!接続手順は以下の通り

  1. iOS側のApower Mirrorアプリを起動、macOS側もApower Mirror(WiFi接続)を立ち上げる
  2. iOS側は画面真ん中の「ミラーリング」をタップすれば、macOS側のApower Mirrorを検知してくれます。
  3. 出てきたら、タップする
  4. スマホをPCにミラーリングをタップする
  5. iOS上でiPadならば右上から下へスワイプしてコントロールセンターを出し、ミラーリングを出し、Apowersoftと出ているものをタップ
  6. これでPC側にもうミラーリングされています
  7. iOS側のコントロールセンターからミラーリングを停止すれば切断になります。

スマフォの画面を横にすれば、PC側のApower Mirrorも横になります。左もしくは上のツールボックスにある〼をクリックすることで、画面をフルスクリーンにする事も可能です。

また、Androidと違い音声もPC側から再生がなされます。

※Youtubeアプリを起動して再生してみましたが、制限なのかPC側では再生がなされませんでした(iOS 13.6)。

図:きちんとiPadのサイズになってくれる

スマフォ同士でミラーリング

変わった機能ですが、スマフォ同士でミラーリングも可能になっています。今回はAndroidスマフォであるZenfone6→iPadにミラーリングをしてみようと思います。iPadの画面に投射するだけでiPad側からZenfone6の画面を操作できるわけではないのですが、例えばスマフォアプリの操作法をゲストにレクチャーするようなシーンでは、ゲスト側にミラーリングして操作手順を教えるなどが可能になりますね。

  1. iPad側でApowerMirrorを起動しておく
  2. Androidスマフォ側では、ApowerMirrorを起動したら、ミラーリングを実行
  3. ApowerMirrorにiPad側のミラーリング先が出てくるのでタップ
  4. iPadにAndroidの画面が写ります。

図:iPad 5thにAndroidの画面が

複数同時ミラーリング

PCと複数のスマフォがあった場合、1:1でしかミラーリングできないのか?といったら、ApowerMirrorの場合、PC1:スマフォ複数の同時ミラーリングが可能です。手順はそれぞれで、PC側に対してミラーリングするだけ。もちろんそれだけネットワーク帯域が必要になるので、必要に応じてApowerMirror側の設定で、ミラーリング解像度や精細度、ミラーリングモードなどを変更して下げてあげると良いでしょう。

図:AndroidとiPadを同時にミラーリングさせてみた

図:Android側画質の調整画面

Fire TV Stickへミラーリング

Fire TV Stickへapkの形でApowerMirrorをインストールし、Android/iPadからミラーリングが可能かどうかやってみました。Androidのほうは問題なくミラーリング可能。iPadのほうは縮尺が横に伸ばしたようなおかしな表示でしたがミラーリングできました。ただ、Fire TV Stick側のアプリの操作はBluetoothマウスがないとリモコンではできないです。

もともと、Fire TV Stickは自身でMiracastに対応していますし、AirReceiverというアプリをインストールしておけば、Google CastもAirPlayもさらにはDLNAにも対応するので、ApowerMirrorでやる意味が無いのですが。。。

当方のChromebookはIntel x86なので、AndroidアプリとしてApowerMirrorをインストールはできず。ARMのChromebookならできるのかもしれません。

PC側から操作

PCをスマフォから操作する

有線接続の場合、ApowerMirrorからミラーリングされたスマフォの画面を逆に操縦する事が可能になります。現在はまだAndroidにしか対応していないようなので、Zenfone6とmacOSを有線接続させてみて、操縦してみることにしてみました。ただ接続すれば使えるわけではなく事前準備が必要です。

  1. Android側は開発者オプションを有効化しておく必要があります。
  2. また、開発者オプションの中にある「USBデバッグ」を有効化しておく必要があります。
  3. macOS側でApowerMirrorを起動しておき、USB接続タブをクリック
  4. AndroidとmacOSをUSBケーブルで接続する
  5. Android側でUSBをファイル転送に使用しますか?と出てくるので、「はい」を選択
  6. Android側でキャスト中や記録中に...のメッセージが出てくるので、今すぐ開始をタップ
  7. これで、macOS側でAndroidを直接画面上から操作可能になります。

USBデバッグ有効なのに出てこない場合、一旦USBデバッグの許可の取り消しを行い、再度同じ手順で接続すると許可するかを聞いてくるので、許可してあげましょう。

図:macOSと接続中の様子

ApowerMirrorでAndroidを操作

動画:こんな風に操作が可能

スマフォからPCを操作する

ApowerMirrorで行う必要はないのですが、ApowerMirrorの機能の1つとして、VNCクライアント機能があります。今回はmacOSであるので、以下の手順でmacOSの画面をiPad側から操作できるか?やってみたいと思います。

  1. macOS側でシステム環境設定→共有を開く
  2. 画面共有にチェックを入れる
  3. コンピュータ設定をクリック
  4. VNC使用者が画面を操作することを許可にチェックを入れて、パスワードを設定する
  5. macOS側でApowerMirrorを起動しておく
  6. 続いて、iPad側でApowerMirrorを起動する
  7. ミラーリングをタップして、macOS側のミラー先が出てるので選択
  8. PCをスマホにミラーリングをタップする
  9. パスワードを求められるので、4.で設定したパスワードを入力する
  10. 接続完了すると操作が可能。デフォルト操作はマウス操作的な感覚なので、タッチパネル的操作ではないので注意(タッチに変更も可能)。

※シングルタップでクリック、二本指タップで右クリックになります。

CrossOver MacでDirectXのDungeon Keeper FXを起動してみましたが、こちらはマウス操作に難がありました。

図:VNC設定をしておく

図:macOSをAndroidから操作している様子

その他の機能

ゲームキーボード

Windows x Android x 有線接続の場合に利用可能な機能です。オンにするとAndroid側でユーザ補助機能の許可を与える必要があります。この機能はPC側からAndroidを操作する際に、特にゲームなどの操作に於いて、スマフォ側の操作をキーボードの特定のキーで代行させるアサインを設定できる機能です。

対応しているゲームの場合、キーボード設定をダウンロードして、特定のキーを例えば銃を打つなどのキーとしてアサインできるので、PC用ゲームであるかのように操作が可能になります。自分で割り当てることも可能です。主に使うのは、ジョイスティックキーの2つになると思います。

今回、Asphalt9で設定してみました。Windows10用にもあるのですが、かなり要求スペックが高いので、スマフォのほうが手軽にできます。これに対して、タップで操作の状態で、ブレーキ、ニトロ、方向キーをそれぞれ設定してみました。有線接続で遅延が少ないので割とスムーズにキーボードのみでの操作ができました(PCゲームやってると格闘ゲームですら、ゲームパッドよりキーボードの方が操作しやすい・・・)

これは非常に独特の機能でスマフォ専用アプリでアクション性の高いものには特に有効な機能と思います。もちろんマウス操作も可能なので、スマフォだとゲームがどうも下手くそな自分の場合には、特に嵌る機能でした。

※ちなみに今回macOS上のVMware Fusion11の上で動かしてるWindows10でApowerMirrorでAndroidの画面キャストして操作していますが、ストレスは特にありませんでした。

図:このように4箇所にそれぞれキーを割り当て

図:Asphalt9でも容易にクリアができる

録画機能

キャストして飛ばした画面を録画およびスクリーンキャプチャする機能が標準で搭載されています。ツールバーから録画ボタンを押すだけの簡単仕様ですが、Windowsの場合のみキャプチャ設定より音声や画質、エンコード方式などの詳細な設定が可能になっています。ゲーム実況動画をアップするなどの場合には有効でしょう。

Youtubeなどのゲーム実況ライブ配信などでは、これにOBSを加えて配信に活用している人がいるようです。

図:詳細なキャプチャ設定が可能

Windowsのみ

Windows PC側にもApowerMirrorを入れてみました。こちらはmacOSの場合と異なり以下の機能が利用可能です。

  • QRコードを利用してのミラーリング接続
  • コードを利用してのミラーリング接続
  • Androidでもマイクを介しての音声送信は可能
  • 詳細な動画キャプチャー設定
  • バーチャルキーボード機能

Windowsで利用する場合のほうが、macOSで利用する場合よりも使える機能が多いですね。一方、Windowsであっても有線接続でiPadをつなげてみましたが、iPadをWindows側からは操作ができません(iOSのセキュリティが硬いとも言えますが)。Androidの音声をMiracastで送れれば最高かなと思います。

図:Windowsの場合はより簡単に接続が可能

トラブルシューティング

Windowsの場合

Windowsの場合、ミラーリングを切断したあと、ApowerMirrorを閉じようとしても閉じられないです。これは閉じる操作方法がタスクトレイにいるApowerMirrorのアイコンを右クリックして、終了させるようになっているためで、この手順であればきちんと閉じることが可能です。

図:終了方法はタスクトレイのアイコンから

macOSの場合

こちらはバグだと思いますが、macOSで仮想デスクトップをいくつか使っているシーンに於いて、ApowerMirrorのミラーリングを終了後、仮想デスクトップを行き来した後、再度ミラーリングを行おうとApowerMirrorがいるデスクトップに移動しようとしても、別のデスクトップに戻されてしまう現象を確認しました。

この場合の処置は、ApowerMirrorを終了させるか?仮想デスクトップ一覧を出して、ApowerMirrorのウィンドウを別のウィンドウへ移動させれば解決します。

図:ApowerMirrorを他のデスクトップに移動させる

AirServerとの比較

あくまでも自分のPC/ネットワーク環境下での比較になりますが、両者は同様の機能を持ち合わせつつ、優位性とできない事その差があるかなと思います。この評価は、AndroidとiPadの両方で行った結果です。

項目名 AirServer ApowerMirror
ミラーリング速度
マルチデバイス
PC側から操作
ゲームキーボード
複数同時ミラー
サウンドミラー
Youtubeミラー
スマフォ間ミラー
画面の録画
スクショを取る
Google Slide
PowerPoint操作
有線接続

ミラーリング特化であるならば、AirServerのほうが手軽で簡単です。AndroidであってもiPadであってもMiracast/AirPlayで画面も音声もバッチリ送信可能です。一方、ApowerMirrorは音声が送れるのはiOSデバイスのみ。Youtubeのミラーについては、ApowerMirrorはiPad側からのミラーでは画面が再生されず、Android側からはOK。

一方で、ApowerMirrorはスマフォ間でのミラーや有線接続でのPC側からの操作などAirServerには無い機能が優れています。また、PowerPointのリモコン機能があるなども独特だと思います。

AirServer側の優位性の1つは、Google Slide。Google Slideは直接ミラーリングサーバに対してキャストする機能(Google Cast)があり、スマフォ側はスピーカーノート表示、画面側はプレゼン資料と分けてミラーリングができるので、ここはAirServer側に軍配。

このあたりが利用者側で意見が分かれる点になるかなと思います。

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