Googleドキュメントの電子署名機能を使ってみた

2024年7月15日より、Google Workspace Individualでは先行してリリースされていた電子署名機能が一般ベータ公開されました。この機能を使うことで、例えば請求書などの署名などを判子を使わずに行えるので、ペーパーレスにも繋がり昨今の電子帳簿保存法的な側面からも積極的に活用する事ができるようになります。

利用するにはGoogle Workspace Business Standard以上が必要になります。

今回利用する機能

GWSのBusiness Starterなどでは使えませんが個人事業主ならばIndividualなどでは先行して使えていた機能ですので、プランを変えてみる、Business Standardに乗り換えるなどをしてみると良いでしょう。

Google Driveで始める電子帳簿保存 & インボイス制度対応

電子署名とは?

自分もすでに契約書などでいくつか電子署名をした経験がありますが、そもそも電子署名って何よ?という話です。

要するに「判子文化を無くして第三者機関によって、確かにその人によって作成され、その人によってサインされました」という証明をすることで、原本であり改ざんされていないことを証明するものが電子署名です。

よって、利点として

  • 印刷し判子をついて、郵送で返送するといった面倒な手間を一切排除出来ます。
  • 日本独自の判子文化を無くし、ペーパーレスを推進可能。
  • 結果的に取引のスピードアップと確実性が保証される。

但し、誤って決済権限者ではないものが内部稟議を通さずに、なにかわからず署名しちゃうケースもあったりするので日本ではまだまだ普及していないものです。何よりも以前は電子署名できる環境を整えるハードルも高かった(証明書の購入であったり、電子署名のシステムを導入したり)。

それが今回のGoogle DocumentのeSignatureで簡単に行えるようになり、また無償で利用が可能になった為、高いお金と手間を支払ってといったことが無くなったというのが大きなメリットです。但し、署名済みPDFの文書管理に関しては手動であるため、電子帳簿保存法に則り厳格に管理する必要性があります。

署名の手順

事前準備

概要

調査をしてみるとこの電子署名機能は以下のような影響を受けることがわかりました。

  • 電子署名リクエストをして送信すると、送信者のマイドライブ直下に署名PDFが作成されます。
  • 共有ドライブにドキュメントを置いて電子署名リクエストを実行しても、マイドライブ直下に署名PDFが作成されます。
  • 次項の電子署名リクエスト送信時にファイルを共有するか?という質問に共有するとしないと作成・送信されません
  • なぜか、SafariにてMicrosoftアカウント宛に送ったものを開いてみるとファイル名が文字化けする。
  • 相手側はファイルをダウンロードせずにブラウザ上で署名を行う必要性があります。ダウンロードしてしまうと署名が出来なくなります
  • この署名リクエストはGoogle Driveのビジター共有機能を利用して送信されている。
  • 管理としては共有ドライブや電子帳簿保存法に基づいて管理してるシステムへ手作業で移動する必要性があります。

社内で署名をする為の準備

前述にあるように電子署名はビジター共有機能を利用して送信してる為、署名PDF作成者に対して外部共有をオンにしなければなりません。しかし、一般企業では特定の共有ドライブ以外の場所からの外部共有をオフにしてる事が殆どでしょう。そうなると多くの社員に対してこの機能を開放するわけには行きません。よって、外部共有可能な電子署名専用のアカウントを用意して、そのアカウントのみ可とし、電子署名作成時にはアカウントを切り替えて作業させるといった事が必要になります(極限られたメンバーだけ署名PDF作成を許可する。契約管理部署のメンバーのみなど)。

以下の手順で電子署名を利用する体制を整えましょう。

  1. 電子署名専用のGoogle Workspaceアカウントを用意する。
  2. 対象のアカウントの所属する組織部門を別個用意するか?設定グループを作って1.のアカウントを所属させる
  3. 対象の組織部門だけ以下のビジター共有機能を使ってみるエントリーにあるように、外部共有可としてビジター共有機能をオンにする。
  4. 対象の組織部門または、設定グループに対してだけ電子署名の設定に於いてオンにし、他はオフにしておく。

この設定にしておかない場合、外部共有ができないわけなので当然ビジター共有も使えない。この状態で電子署名を実行しても、リクエストできませんというエラーが出て署名PDFが作成されません

※Cloud Identity Freeでも電子署名は使えるようですが、共有ドライブへの移動が出来ない為、署名専用アカウントはGWSライセンスの当たったアカウントであることが望ましい(もしくはCIFのアカウントに対して共有するフォルダを別個用意するなど)

図:外部共有オフだと署名PDFが作れない

図:特定組織部門だけ機能をオンにする

Google Workspaceのビジター共有機能を使ってみる

署名を作成する

使い方としてはドキュメントから開始するか?PDFに対して行うか?の2つが存在しています。ドキュメント上で電子署名を追加して、対象のユーザに署名をリクエストする手順は以下の通り。

  1. ドキュメントの挿入したい場所にカーソルを移動する
  2. メニューより、ツール⇒電子署名をクリックする
  3. 右サイドバーが出てくるので、入力してもらいたい署名欄や日付欄などをクリックするとドキュメントに挿入される。
  4. 一番下の署名をリクエストをクリックする
  5. ダイアログが出てくるので、メールアドレスとメッセージを入力する
  6. 一番下の電子署名をリクエストをクリックする
  7. 対象者とファイルを共有するか?と聞かれるので、必要であるならばこのまま共有をクリックする

図:電子署名の設定画面

図:電子署名のリクエスト送信画面

実際に署名をする

相手側にはeSignature requestというメールが飛びますので、Openで開く。この時開かれるのはPDFであるため、以下の手順で署名をしてあげます。なのですが、問題はこのPDFは添付ファイルではなく、「ビジター共有機能」で送られている為注意が必要です(つまり、対象ユーザのマイドライブから外部共有が出来る必要性とビジター共有がONである必要がある)。

相手がGoogleアカウントではない場合

マイドライブ上に生成されたPDFに対して相手にビジター共有機能で共有されている為、ちょっと変わった手順でサインインして処理する必要があります。以下はMicrosoft365のOutlook上での事例になります。

  1. メールにあるOpenボタンをクリックする。
  2. OutlookにGoogle側からPINコードが送信されます。
  3. PINコードを入力して送信する
  4. 上のバーに「署名」「拒否」というのが出てる。署名をクリックする
  5. 署名入力欄が出てくるので、クリックする
  6. 署名ダイアログが出てくるので、名前とイニシャルを入力し、採用して署名をクリックする
  7. 上部にある完了としてマークをクリックする
  8. 利用規約のダイアログが出るので、チェックボックスにチェックを入れて、同意して続行をクリック(これはβ版ですよという同意の為)
  9. 署名が完了すると、署名完了としてリクエストを送った側にメールと署名済みのPDFファイルが送られる
  10. eSignature completedというメールが届いて完了する
  11. 別メールで署名済みPDFが添付されて送信されてくる(これが控えになる)

相手がGoogleアカウントではない場合このようにちょっと手順が増えます。

図:ビジター共有で外部共有されている

相手がGoogleアカウントである場合

  1. スマフォでは署名出来ないのでPCで対象のメールを開き、PDFを開きます。
  2. 上のバーに「署名」「拒否」というのが出てる。署名をクリックする
  3. 署名入力欄が出てくるので、クリックする
  4. 署名ダイアログが出てくるので、名前とイニシャルを入力し、採用して署名をクリックする
  5. 上部にある完了としてマークをクリックする
  6. 利用規約のダイアログが出るので、チェックボックスにチェックを入れて、同意して続行をクリック(これはβ版ですよという同意の為)
  7. 署名が完了すると、署名完了としてリクエストを送った側にメールと署名済みのPDFファイルが送られる
  8. eSignature completedというメールが届いて完了する。
  9. 別メールで署名済みPDFが添付されて送信されてくる(これが控えになる)

これで、また一歩ペーパーレスとハンコ文化の終焉を進めることが可能になります。

図:署名してる様子

図:署名された旨の通知とPDF

署名の確認と利点

PDFに対して電子署名がなされているかどうか?を確認する為には、以下の手順で確認可能です。

  1. 署名完了通知のメールが来てるのでGoogleドライブのルート直下を開く
  2. 対象の署名済みPDFが存在するのでダブルクリックする
  3. 右上の「詳細を表示」をクリックする
  4. 署名完了日付やアクティビティが確認できる
  5. 署名時に自動的にファイルはロックされて上書き禁止になる

対象の署名済みPDFは、厳重に管理する必要があるので、共有ドライブなどの限定アクセスな場所に移動しておきましょう。

また、Adobe Readerで直接確認することも可能です。

  1. Adobe Readerでダウンロードした署名済みPDFを開く
  2. 右上に署名パネルというのが出てるのでクリックする
  3. Googleによって署名されてる旨の内容が表示される
  4. 但し誰がサインしたのか?などの情報は格納されていないので、Google Drive上で確認するほうが良いでしょう。

図:署名の詳細が確認できる

図:Adobe Readerで確認

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