Windows10 延長サポート(拡張セキュリティ更新)の価格が発表されました

2023年12月6日、来る2025年10月14日にてサポートが終了するWindows10についてExtended Security Updates(いわゆる延長サポート)を行うという発表がありました。その時点では詳細な内容がなかったのですが、2024年4月その内容と対象が発表されました。日本語では拡張セキュリティ更新と呼ぶようです。

あと1年ちょっと。それまでにWindows11に移行するか?ChromebookやmacOSにするのか?はたまたWindowsはもうやめてスマートデバイスで行くのか?タイムリミットは近づいています。

Windows10まとめ - 復活版

サポート終了の影響

予測される影響範囲

サポート終了といっても実は大企業向けのバージョンであるEnterprise LTSCなどの場合は、2027年1月12日までサポートがあります。ですが中小企業やEnterpriseを使っていないような組織の場合、1年ちょっとでWindows10のサポートが切れ、セキュリティパッチも配布されなくなるため、PCがリスクに晒された状態になります。

当然ながら新しい機能の提供もされることが無いため、もう今年度には予算確保や事前準備などを情シスはしていなければならないという状況です。

問題はその影響範囲。列挙してみました。

  • 昨今の円安に伴う物価高によりPCそのものが大幅に値上がりしてきている
  • Microsoft製品(Microsoft365など)の大幅な値上げ
  • Windows11のサポートCPU切り
  • Windows12出るかも話題
  • 台数が多いので一気に入れ替えなんて出来る人的リソースがない

などなど。今までのWindows7⇒Windows10への乗り換えのようなつもりでいると痛い目に合うかもしれません。というのも、上記にもあるようにWindows11はTPM2.0の要求や対応CPUが決められてる後に外されたりもする)、さらには次期Windows12の話がチラホラなんて状況、そして、何よりもWindows11でサポートされてるOfficeのバージョンはOffice2021が最低ラインとなるため、古いOffice2016などで凌いで来てる企業は、OSだけじゃなくOfficeも同時にアプデしなければなりません(アプデしてこなったツケを払うことになる。最低ラインはOffice2019以上です)。

小さい企業ならば10台20台の世界なので、情シス担当1名でも1ヶ月あれば十分入れ替えといったことが可能ですが、300名400名もいるような企業の場合、まず「予算確保が出来ない」「交換する人員が全然いない」といったさらなる悪夢に陥ることになります。ただそのような企業は横川レンタリースのPCレンタル事業などを頼ったほうが良いです。1台1台キッティングなんてやってられるような時代じゃありませんし、調達も大変です。

※ちなみにOffice2019はWindows10同様に2025年10月14日にサポート終了しますので実質Office2021を購入が必要です。

Chromebookに乗り換える

さらに、高額なPCやOfficeでITコストが鰻登りで耐えられないということも発生してくるでしょう。更に言えば社内ヘルプデスクの業務負荷も一気にあがるかもしれない。ということなので、同じ業務負荷を掛けるならば、Chromebook + Google Workspaceに移行してしまったほうが良いのではないでしょうか?

Chromebookのレンタル事業はサテライトオフィスなどで行っており、価格が安いので買い切り導入であれば電算システムにて依頼なんて手法もあります。ITコストの増大で身動き取れなくなる前に、社内のインフラやサービスの棚卸しをして絞り込み、脱Windows, 脱Microsoft Officeを図りましょう。

更には、OSがWindowsでなくなるだけでPC端末に無駄に掛けていたヘルプデスク業務セキュリティホールのリスクインフラの大幅な簡略化が可能になります。Windows11になると爆発的に問い合わせが更に増えるでしょう(しかも下らない内容のものが)。その業務その人員そのコスト、本当に必要ですか?莫大なパワーとお金と時間を掛けてまで、WindowsやMicrosoft Officeでなければならない理由は殆どありません。

※ちなみにこのお話は自分の実話だったりします。

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延長サポートの対象

サポート内容

サポート内容は事前に発表済みです。

  • 技術サポートはありません
  • 重大なセキュリティパッチのみを配信します。
  • 新機能は追加されません

これだけです。よって、必要最低限守られるというのが延長サポートであり、これまでと同様のサポートが保証されるわけでもなんでもありません。これが提供期間3年間サポート対象となります。

2024年10月からESUについては購入が可能になるということ。

サポート範囲

このESUを購入するといってもサポート内容はあくまでもセキュリティパッチのみ。その対象については現時点では「法人利用のお客のみ」となっていて、個人利用や教育機関向けは別になるようです。

また、Windows365の場合は自動的にESUがアクティブになり追加費用はないとのこと(しかしこの導入も非常に大変ですよ)。

Azure ADことEntra IDと加えて、IntuneやAutopatchをサービスとして利用してる場合には、25%割引が入るようです。が、コレ使ってるのは大企業のみになるでしょう(中小企業ではコスト高いので、ローカルADが存続していくのでは?)

個人でも購入ができる模様

2024年10月31日、この拡張セキュリティ更新を個人でも購入できるようになったようです。法人でも無い個人が果たして買うのか?といった疑念はありますが、$30で1年間のセキュリティパッチなどの更新を延長することができるようです。

新機能追加やバグ修正、テクニカルサポートが無い点は変わり無し。

リリース文はこちらから確認可能です。Windowsのライフサイクルに記載の内容はこちら

価格面

年額が毎年異なる

問題の価格面。セキュリティパッチにお金を払うということなので、どこまでその価値を見出すかになりますが、以下カッコの中身は為替は150円で計算しています。料金は年ごとに異なります。

  • 1年目は1台あたり$61(9150円)
  • 2年目はこの金額が倍になり、$122(18,300円)
  • 3年目はさらに倍の$244(36,600円)

2年目から参加とした場合であっても、1年目の分を払う必要があるので途中参加は意味がありません。この価格払う価値ありますか?300名規模ならば、2,745,000円が初年度、3年目ならば10,980,000円もの莫大な金額を払う必要があります。ちなみにGoogle Workspace Business Standardを年額で300名分ならば、4,896,000円(1360 x 300 x 12)。

このパッチを払ってる分で3年目などGWSを普通に利用する料金をはるかに上回る金額です。延長できるから少し我慢しようなんて考えがどれだけコスト増になるのか?

実際の概算金額

では、Windows11およびオフィス乗り換えで、300名規模の企業、PCレンタル、オフィスの買い替えを含めてどれだけのコストが必要になるのか?税込みで計算してみます。

  • PCレンタル費用は1ヶ月1台7000円とする
  • オフィスはMicrosoft365 Apps for  Businessとする(1人あたり1ヶ月1236円)
  • イメージキッティングをレンタル企業に頼むとしての他の作業は1台あたり30分とする(時間給を1500円とすると、1台あたり750円)。これは発送や回収返却の時間も含む。

レンタルPCにWindows11は含まれていますし、追加オプションでオフィスをキッティング時点で含めることも可能です。1台ずつセットアップなんてやりません。この価格を元に年額を計算すると概算金額は以下のようになります。

  • レンタル費用:7000 x 300 x 12 = 25,200,000円
  • オフィス利用料:1236 x 300 x 12 = 4,449,600円
  • 作業人件費:750 x 300 = 225,000円

トータル合計年間で、29,649,600円(初年度だけ29,874,600円)。決して贅沢な構成でもなんでもないですが、毎年3000万円ものキャッシュがITコストの名のもとに出ていくことになります。しかもこれは、ヘルプデスクの工賃やWindowsであるがゆえのセキュリティ製品のコストは含めていません。また、不穏な噂として、Windows11が毎月課金になるかもという話も出ていたりする。

サテライトオフィスの2021年時点の記事でのレンタル費用を元に計算してみると

  • レンタル費用:25,000 x 300 = 7,500,000円(1台年額で25,000円)
  • オフィス利用料:1,360 x 300 x 12 = 4,896,000円Business Standardの場合。Chatや管理機能まで含めている)
  • 作業工賃:ほぼ0円です

ここにChrome Enterprise Upgradeの料金である1台年額7000円(2,100,000円)が加わることになります。トータル合計年間で14,496,000円。業態によってはオフィス利用料の部分が、一部のメンバーをFrontlineなどに変更することで大きく減額されますし(病院や工場の現場のメンバーなどはこれに該当する)、最低限の利用で良いCloud Identity Freeで良い人間ならば無償なのでライセンス費用不要です(メールやカレンダーは使えないけれど)。

※但し、300名を超えた場合Enterprise Standardにする必要があるので、FrontlineやCloud Identity Freeなどを組み合わせて実際の利用する人を絞ると収められる場合があります。

概算の値差だけでも、15,153,600円(1人あたり50,512円/年)。さて、Microsoft Officeじゃなければであったり、Windowsでなければというその拘り。そして従業員の実際のスキル。それを鑑みた時にこの値差受け入れる価値ありますか?

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個人向けや教育機関向けは?

個人でも購入できるという発表が以前にありました。また教育機関向けについてはすでにサイトが用意されています。教育機関向けは前述の馬鹿げた金額ではなく、1年目$1、2年目$2、3年目$3という価格設定になるようです。

個人向けESUについての購入についてはこちらのページで時期が来たら発表されるという話ですが、正直言って個人でコレ購入して延長サポートしてもらおうという人いるんでしょうか?個人ならばとっとと次のWindows11マシンを買うか?サポートなんてなんぼのもんじゃとWindows10を使い続けてしまうか?

どちらかになるかと思います。昨今のMicrosoftの異常な値上げ、Windows11での所業は正直ラインを超えてると思います。そこまでITに予算を投下しなければならないのでしょうか?結果、EUではデジタル市場法に基づき、Microsoftなどの排除が始まっていたりします。ITコストの為に事業を行っているのではありません。

ゲーマーな人やフリーランスの人はどうでしょうか?また話が違ってくるかもしれません。そうではない人はもうWindowsでなくても良いのでは?というかPCを卒業してスマートデバイスオンリーでも良いかと。

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