Windows11で特定のパッチをアンインストールする
昨今、Windows11 24H2に至るまでの間、そして24H2にアプデしてからの致命的なトラブルがあちこちで報告されています。特に大型アップデートである24H2ではトラブル報告が多く、その後も小さな修正パッチが配信される度に障害が発生し、ユーザーのコンピューティング環境に多大な悪影響を与えています。
そこで今回、この修正パッチによる障害を少しでも避ける為に、自身で影響が出る前にアンインストールする手段をまとめてみました。これは今回のケースだけでなく、過去にも同様にパフォーマンスダウンなどを引き起こしてるようなケースで、修正パッチに対する修正が出るまでの間、パッチを排除しておくという手段として非常に有効です。
目次
事の発端
つい最近もSSDが認識できなくなるということで一部の環境に限ってですが、KB5063878 / KB5062660について議論されています。Microsoft公式は関連性はないとして解決済みとしています。しかし、報告をしているユーザー以外でもぽつぽつとSSDが認識されなくなる現象が報告されたり、海外のRedditでも報告があったり(何故か投稿者は投稿を削除している)。
故に現状でまずイメージバックアップをとっておき、万全の体制を取ってから対象となるパッチをアンインストール→再インストールを防ぐという処置をする手順があります。あくまでも自己責任ではありますが、何が影響してるかわからない状態で放置もするわけにもいかないので、対策したいという人向けのエントリーになります。
症状としてはディスクの使用率60%を超えていて特定のコントローラ搭載のSSD、尚且つ50GB以上のデータの移動やアップデートによる書き込み等が発生すると突如として起きるという話ですが、あまり報告事例が無いようです。
※どうもパーティションの先頭に何かが書き込まれてパーティション情報が認識できなくなりRAWディスクになってしまうのが症状のようです。なのでデータそのものが吹き飛んではない可能性がある(つまりBitlockerなどを使ってなければ救出が可能)。
※こちらに今回の事の流れをまとめているサイトがあります。
流行りのwindows11最新バグでSSD逝って重要なデータごとPC死にました
皆さん今まで本当にありがとうございました pic.twitter.com/trw0brYPKG— Hegadel (@Hegadel_ONR) August 27, 2025
その後の報告内容
台湾企業が障害を再現できたという話
SSDメーカーおよびMicrosoftが対象パッチを適用した環境でテストしたが再現出来なかったという話が当初出ていました。結果、ではなぜあちこちで少数ながら報告があがったのか?という問題を棚上げしたままMicrosoftはその後の報告をしていない状態。一方で、台湾企業があるSSDで実験した所再現したと発表。しかし、その内容は「未完成のプロダクト前のテストファーム搭載品のSSD」という、いわゆるレビュー用のファームが搭載されたSSDであり、一般には出回らないハズのシロモノ。
よって、現時点で企業の検証レベルでは答えとは到底言えない結果しかでていない状態です。当然一般品を購入して使ってる一般ユーザーから報告は上がっているわけで。
しかし類似の問題としてWDのSN770が過去似たようなトラブルをWindows11 24H2で引き起こしファームウェアのアップデートを促すという件がありました。自分もこのSSDを使っていた為、ファームアップしています。自作機構築のエントリーでその旨を記述しています。
とあるユーザーの検証報告
一方で、パッチそのものの問題ではなくWindows Updateの配信時に送られてくるマニフェストの内容がおかしかったのではないか?という話が出回っています。これはパッチに含まれているわけではなく、配信時に送られてくるものなので、Microsoft側でサイレント修正された場合何も証拠も残りません。そのマニフェストの結果、日本語圏の環境なのに英語圏向けの設定(特に文字コードの長さ。英語圏は1byte, 日本語圏は3 - 4byte)が流れ込んだことにより、不整合を引き起こしたのでは?という話。
これならば当初日本語圏でしかほとんど報告がなかった事や、米国等で再現できなかった件、さらにはクリーンインストールで同じようなパッチ環境を適用しても問題なかった(つまりマニフェスト配信がその時にはすでに修正されていた)と考えると辻褄が合います。このあたりの流れについては、x.comでのとある人の検証ツイートにまとめられています。
故に現在はWindows Updateをして最新状態にしても問題ないと言えなくも無いですが、MicrosoftはまたWindows11 24H2で別のトラブルを引き起こしている為、アップデートして安心といった状態は存在しないと心得ておくべきでしょう。
なんか、いろいろ聞かれるから
纏めて答えます。(・ω・`)
恐ろしいレベルの長文です。
長文苦手なら🥕食って寝といてください。(・ω・`)【検証レポート】KB5063878とSSD蒸発疑惑の記録
🖥️ 検証環境
OS:Windows 11 Pro
2025年6月にクリーンインストールpc。インストール直後に入れたアプリは… pic.twitter.com/6Tjc0ij7KE— ごんた (@TjPqXb5YO700Qs7) September 1, 2025
事前調査
特に問題となってる今回のパッチはKB5063878ということですが、いくつかの手段を使ってアンインストールすることが可能ですが、事前に調査がまず必要です。
リスクを知る
パッチをアンインストールするということは、本来そのパッチが目的としていた修正がなされないということです。そして、そのパッチの適用を封じるための策を取るということは、穴がある状態になるということでもあります。
Windows11 Proではgpeditを使ってポリシーとしてWindows Updateを手動で実行しない限り停止させることが可能ですが、この手段は手動でアプデ実行するまでの間は、自動でアップデートも実行されないとうことなので、対象パッチだけではなく他のパッチやアップデート類も放置状態になるということです。
故に上級者の手段であるとうことと、そのリスクがあるということを認知しておくべきでしょう。
現在のビルド番号を調べておく
これはとても簡単です。パッチが適用済みの状態から外した時にビルド番号が変わるので、その確認の為に行います。コマンドプロンプトからwinverを実行するだけ。タスクバーの検索窓からも直接実行できます。
ダイアログが出たらバージョンとOSビルドの後ろに26100.4484といったビルド番号が出ますので、これを控えておきます。
Redditの報告によると今回のパッチについてだけ言えば、26100.4946がNG、26100.4770がNG、26100.4652がOKという話ですが、それが真実かどうかの立証はされていません。
図:ここにビルド番号が記載されている
設定アプリからアンインストールする
設定アプリから通常はアンインストールすることが可能です。しかし、Windows11はWindows10と違い、これらのパッチをアンインストールしても自動アップデートが強制されている為、次のアプデ実行時にまた再インストールされてしまいます。よって、アンインストールだけでは駄目なのです。
とりあえずアンインストール手法は以下の通りです。
- 設定アプリを開く
- Windows Updateをクリックし、一番下の方にある更新の履歴をクリックする
- 次の画面の一番下の関連設定にある「更新プログラムをアンインストールする」をクリックする
- アンインストールが可能なリストが出てくるので、排除したい対象の「アンインストール」をクリックする
- あとは指示に従って進める
但し、ここにリストアップされていないものや、アンインストールしようとすると問題が出るケースもあります。
図:更新の履歴から調べる
図:この画面からアンインストールする
0x800f0905エラーについて
Windows11 Proの場合、アンインストールを実行しようとすると「0x800f0905」というエラーがでるケースがあります。様々なケースがあるため一概にこのエラーに対する解決策はコレとは言えないのですが、今回のケースについてだけいえば、Windows Sandboxがオンになっているとこのエラーが出てアンインストールできないという報告があります。
故にまずWindows Sandboxの機能を停止することが必要です。以下の手順で停止が可能です。
- コントロールパネルを開く
- 左サイドバーのWindowsの機能の有効化または無効化をクリックする
- Windowsサンドボックスという項目があるのでチェックを外してOKをクリックする
- 今すぐ再起動で再起動すると機能が無効化されます。
図:チェックを外してOKをクリック
自動更新を防ぐ
これは特定のパッチのインストールを防ぐものではなく、Windows Updateを一定期間自動アップデートを阻止するだけの手段です。最大7日間の停止が可能です。
- 設定アプリを開く
- Windows Updateを開く
- 更新の一時停止にある「1週間一時停止する」をクリックする
更新の再開をクリックすることでいつでもアップデートを実行することが可能です。
図:1週間だけ先延ばしに出来る
コマンドラインからアンインストールする
コマンドプロンプトやPowerShellを使ってのアンインストール実行指示を出すことが出来ます。複数の端末に対して一斉に自動起動時の指示を出しておいて、排除する場合などに使うことが可能ですので一般向けというよりは、企業向けの手法になります。
Dismコマンドを使う
こちらはちょっと扱いにくい方法です。対象パッチをインストールすることによるKB5063878のビルド番号を知っておく必要があります。ビルド番号は公式ページの対象のパッチに記述があり、公式ページだと26100.4946とあるので、下4桁を使います(4946がそれに該当します)。
- PowerShellを起動する
- 以下のコマンドを実行して4969に該当するパッチのリストを取得します。
Get-WindowsPackage -Online | Where-Object {$_.PackageName -match "4946"} - RollupFixという名前がついているもので、「Package_for_RollupFix~31bf3856ad364e35~amd64~~26100.4946.1.26」というものが見つかります。
- 以下のコマンドを実行してアンインストールを実行します。
Remove-WindowsPackage -Online -PackageName "Package_for_RollupFix~31bf3856ad364e35~amd64~~26100.4946.1.26"
- 進捗と数分の時間を持ってしてアンインストールが実行されます。再起動を促されるのでyを入力して実行します。
- 再起動後、2. のコマンドを実行して、同名のRollupFixのパッケージが出てこなければ成功です。
wusaコマンドを使う
こちらも古くからあるコマンドでこちらは簡単です。KBのパッケージ指定のみでいけます。コマンドプロンプトから実行可能です。
wusa /uninstall /kb:5063878
実行後に再起動して、PowerShellにて以下のコマンドを実行してパッケージが表示されなければ成功です。
Get-HotFix -id "KB5063878"
再配信をブロックする
アンインストールされても強制アップデートで再度インストールされるという点は前述に記載した通り。コマンドを実行してブロックが可能です。但しこのコマンドは別途モジュールのインストールが必要です。まずはモジュールをインストールしましょう。
- 管理者権限でPowerShellを起動します。
- 以下のコマンドを実行してインストールする
Install-Module -Name PSWindowsUpdate -Force Import-Module PSWindowsUpdate
- Get-WindowsUpdateを実行してみてWindows Updateのリストが出てくるか確認します。
- 以下のコマンドを実行して、Hide-WindowsUpdateが見つかればオッケーです。
get-command | sls windowsupdate
- これで準備完了
そしたら、以下のコマンドを実行して特定のパッチのみをインストールブロックすることが可能です。
Hide-WindowsUpdate -KBArticleID "KB5063878"
逆にあとでインストールしたい場合には以下のようなコマンドを実行します。
Install-WindowsUpdate -KBArticleID "KB5063878" -AcceptAll -AutoReboot
WinUpdateRemover
こちらは有志により作成されたパッチをアンインストールと自動更新を防ぐ為のコマンドをワンパッケージにしたものです。Githubにて公開されており、こちらの内容をローカルでテキストエディタなどを使って保存しておき、PowerShellから叩きます。
- 管理者権限でPowerShellを起動する
- 以下のコマンドで削除を実行できます。
.\WinUpdateRemover.ps1 -KBNumbers "KB5063878" -Force
- 以下のコマンドで再配信のブロックを行います。
.\WinUpdateRemover.ps1 -KBNumbers "KB5063878" -HideUpdate
- 再起動を実行する
ただあえてこのスクリプトが必要か?といったら前述のコマンドで十分とも思うので、中身を理解して使いたい人向けですね。
Windows Updateの無効化
この方法はWindows11 Proのみで有効です。Windows11 Homeの場合はサービスからWindows Updateサービスを無効化することで実現は出来ますが一切アップデートが出来なくなります。今回の方法は手動ではアップデートは可能になる為、適宜自分で手動実行で対応するという上級者向けの設定になります。
以下の設定を元に戻す場合には、「未構成」にして、再起動しないと戻りません。
- タスクバーの検索ボックスより、gpedit.mscと入力し、グループポリシーエディタを起動する
- コンピュータの構成の中の管理用テンプレートを開く
- Windowsコンポーネントの中の「Windows Update」の項目を開く
- エンドユーザエクスペリエンスの管理を開く
- 「スケジュールされた時刻に常に自動的に再起動する」を無効にする
- 「自動更新を構成する」を無効にする
- 従来のポリシーを開く
- 「windows updateの電源管理を有効にして、システムのスリープ状態が自動的に解除され、スケジュールされた更新がインストールされるようにする」を無効にする
- 「自動更新を直ちにインストールすることを許可する」を無効にする
- これで、設定⇒更新とセキュリティ⇒Windows Updateの中の詳細オプション画面が、「一部の設定は組織によって管理されています」に変更されます。
- アップデートは自分で「更新プログラムのチェック」ボタンを押さないと、アップデートは実行されません。
図:gpeditで設定を変更中の画面
図:Windows10とちょっと場所が違ってる
図:従来のポリシーも見る必要がある







