GTX960からRTX4060にパワーアップしてみた

2015年にマウスコンピュータから購入したG-TuneというPC(im580PA4)。GTX960というGPUが乗っていたけれど壊れてモニターが映らず。仕方なく代替品としてRTX4060を購入してみました。8年越しにアップデートしてこれからも延命できそうか?検証してみました。

RTX4060はMSIの製品を購入するも、このPCは8pinの電源ケーブルが無いので6pin⇒8pinの変換コネクタもついでに購入。装着そのものはとても簡単に終わりました。

今回使用するガジェット

古いデスクトップ機は「H110M-SI01」というマザーボードでmicroATX、500Wの電源を装備しています。CPUはCore i7-6700でRAMは16GB。ある日突然、電源を投入しても起動せず、GTX960を外したところ普通に起動したのでGPUが壊れてることを発見。未来への投資も含めて、消費電力が非常に少ないミドルレンジモデルとしてRTX4060を購入。

※2024年2月2日、GeForce RTRX 3050 6GB(75Wで補助電源不要)というアプデ向けのモデルもリリースされています。

図:Steamゲームも快適に

PCに装着する

購入した理由

様々なGPUが販売されている中で、あえてRTX4060を購入した理由は以下の通り

  • 電源ユニットが500WなのでGTX960と変わらない消費電力のものが欲しかった
  • RTX4060は消費電力が115W、GTX960は120Wなのでむしろ消費電力が下がってパフォーマンスが上がりました。
  • コスト的にも購入可能な予算の範囲内であった。
  • ゲームをする為という目的ではなく、手持ちの動画編集ソフトであるPremiere Element 2023でGPUアクセラレーションが効くというのも理由の1つ

動画制作がほぼ目的のマシンなので、消費電力が大きく値段も高いというものはちょっと手が出しにくい動機でした。その中でRTX4060は目的に合致したGPUということで選択しました。

図:本体重量は546gと軽量。

PCIeスロットに装備

既存のGTX960を取り外し、同じPCIeスロットにそのまま装着。ネジ止めしてオシマイ。非常に手軽に装備できました。他に干渉することもなくコンパクトなデザインなので、将来的な自作PCへの流用も視野にいれています。

ただし、このマシン8pinの電源コネクタがありません。RTX4060は8pinの電源コネクタなので、既存の6pinコネクタから8pinへ変換するコネクタが別途必要でした。

※なお、今回購入したRTX4060はGTX960と同じPCIe x16のサイズとなっていますが、他社のものの中にはPCIe x8のハーフサイズになってるものがあります。購入する際にはスロットの形状をよく確認しましょう。

図:すんなり装着は出来ました

補助電源ケーブル

6pinコネクタに刺して8pinに変換するコネクタは900円くらいで購入出来ます。果たしてこのコネクタを挟んで動くかどうか?と試した所問題なく動作しました。古いマシンの場合、電源から8pinコネクタが無いケースもあり、そういった場合は合わせて購入が必要です。近年のPCであれば、8pinコネクタも余ってる筈です。

デバイスドライバの追加

装着してすぐの状態では、デバイスマネージャはMicrosoftの汎用VGAドライバのままでした。しかししばらく待機してると、NVIDIAのデバイスドライバインストーラが自動で起動し、RTX4060のインストールが開始しました。手動でデバイスドライバを割り当てる場合はこちらからダウンロードして実行します。

再起動したら、デバイスマネージャではきちんとRTX4060が認識されて使えるようになっていました。

図:デバドラインストール中

図:きちんと認識しました

RTX4060の検証

スペックの比較

8年前のGTX960とRTX4060を比較するというのもアレなのですが、ミドルレンジの手頃なGPUがこの8年でどれだけ進化したのか?を見ていくには良い比較材料だと思います。こちらにスペック比較があります。

比較項目 GTX960 RTX4060
ビデオメモリ 2GB 8GB
消費電力 120W 115W
シェーダー数(CUDAコア) 1024 3072
周波数(最大) 1127MHz(1178MHz) 1830MHz(2460MHz)
製造プロセス 28nm 5nm
インターフェース PCIe 3.0 x16 PCIe 4.0 x16(x8のサイズのもある)
メモリ形式 GDDR5 GDDR6
Vulkanサポート 1.3 1.3
DirectXサポート 12.1 12.2
OpenGL 4.4 4.6
CUDAサポート × 8.9
NVEnc × 第8世代×1基
Tensorコア × 96
SM 8 24

CUDAサポートが使える点が大きく異なる。スピードアップは当然のこととして、スペックがこれだけ上がってるのに、製造プロセスが5nmになったことによって、発熱面や消費電力面で有利になってる点が特徴的。最近のGPUは高性能なのは良いのですが、結果高額化し発熱力も消費電力も莫大になってきていて、ミドルレンジなユーザにとってはかなり気になる点が多い。その点、RTX4060は理想的なミッドレンジの顔になっています。

またこのマシンはすでにRAMも上限いっぱいでSSDもすでに交換済みとなると拡張余地がGPUしかなかったので、良い選択でした。

図:GPU-Zの結果

ベンチマークテスト

DQ10オンラインベンチ

今更DQ10オンラインのベンチマークをとってもアレなのですが、過去からの比較検討として最高品質の1080pとして計測。フルにGPUを使ってる印象は全く無いですが、非常に快適にベンチマークは完了。画面左上の計測値はMSI Afterburnerを利用しています。

図:DQ10ベンチの結果

FFXVベンチ

最新のFF15のベンチマークを実行してみました。こちらは標準画質の1080pでの解像度。GPUがバッチリ効いているのが確認出来ます。とても快適に動作することが検証できました。ただ、ベンチマーク中はところどころ僅かに「引っ掛かり」を感じるシーンがありました。これはおそらくCPUが完全に足を引っ張ってるのではないかと思います。ので、近年のマシンであれば全く問題なく動作するでしょう。

図:FF15ベンチの結果

3DMark Time Spyベンチ

ベンチマークで有名な3DMarkでTime Spyをテスト。Graphic Scoreは理想値が出ています。CPUは全然弱いのでだいぶ足を引っ張ってるのが見て取れますが、映像自体は非常にスムーズ。GPUが相当効いてるのがわかります。

RTX4090だとこの3.6倍の数値が出るというのでGPUの世界の奥深さを感じます。

図:CPUが足を引っ張ってる

Premiere Elements 2023

CUDAを有効化する

Pemiere Elements 2023という動画編集ソフトを愛用しています。現在は2024が販売されています。昔はGPUの能力を活かしてのレンダリングなどはPremiere Proのほうでなければ対応していなかったのですが、最近は買い切り版のElementでもGPUアクセラレーションに対応していて、対応してる場合は、プロジェクトの一般の設定を見ると「Mercury Playback Engine - GPU高速処理(CUDA)」と出てきます。

RTX4060は対応しているのでこれで普段の動画編集や最後の出力時に大幅なパフォーマンス向上が期待出来ます(対応リストには無いですが・・・)

レンダリングで有効化するには、環境設定=>一般に「選択した GPU 上で GPU 高速化エフェクト、トランジションおよびワークフローを使用して再生および書き出しのパフォーマンスを向上」というチェックがあるのでオンにします。

実際にレンダリングしてみる

10分くらいのGoProの動画(1080p 60fps)を取り込んでみました。通常の作業中でのスクロールに於いて、全く引っかかりやモッサリ感は無し。快適でした。さて、動画出力に於いては、1080pの60fpsで出力を実施。10分くらいの動画ですが、1.6GBのファイルサイズの動画として20分程度で出力出来ました。

ゲームのように常時GPUが張り付くといった感じではないですが、しっかり仕事をしてるのがわかります。

図:GPU使用率の推移

図:出力中の様子

OBS Studio

RTXシリーズなどを使ってる場合、GPUを利用したハードウェアエンコードを利用できます。OBS設定における出力に於いて、映像エンコーダを「NVIDIA NVENC H.264」に変更します。

出力をリスケールするのチェックは外しておきましょう。Nvidiaの場合は追加の設定があり

  1. Look-aheadのチェックは外しておく
  2. 心理視覚チューニングはチェックを入れておく
  3. GPUは0を指定
  4. 最大Bフレームは2の設定のまま
  5. プリセットは高品質を自分は選びました。
  6. プロファイルはHighを選択する

図:GPUでエンコードしながら配信が可能

Stable Diffusion Web UI

macOSでもお世話になってる画像生成系のAIジェネレータであるStable DiffusionをWindowsで利用することの出来るソフトウェアがStable Diffusion Web UIです。相応のGPUが搭載されていないと利用できない仕組みになります。但し、macOSと違い環境構築に手間が掛かります。

環境構築手順は以下の通り。以下はWindows10 64bitを前提でススメます。

インストール作業

Python最新版の3.12.xを入れたらエラーになったため、Pythonはv3.10.6をインストールしたほうが良さそうです。また環境変数に他のPythonバージョンへのPathが優先で入ってると同様にエラーになりますので要注意

  1. Python3.10.6 64bitをインストールしておく(Add  Python 3.x to PATHにチェックは必ず入れる)
  2. Git 64bitをインストールしておく(色々聞かれますがすべてデフォルトのままで)
  3. 一旦再起動します。
  4. マイドキュメントのドキュメントフォルダ以下などに適当なフォルダを作成する
  5. 3.のフォルダを右クリック⇒Open Git Bash hereを選択する
  6. ターミナルが開かれるので、以下のコマンドを実行する
  7. すると、3.のディレクトリ内にstable-diffusion-webuiのフォルダが作られるので開く
  8. webui-user.batというファイルがあるのでダブルクリックしてインストール開始
  9. 色々とダウンロードが始まる(結構時間が掛かります)
  10. 完了すると、Running on local URL: http://127.0.0.1:7860と表示されStable Diffusionが自動で起動する
  11. ブラウザで、10.のアドレスを開いてみる
  12. 次回起動したい場合は、8.を実行するだけでオッケーです。(通常は自動的に開かれます)

図:色々ダウンロード中の様子

実際に使ってみる

ウェブブラウザで開かれるので、Promptに対して入れていきますが、非常に多岐にわたる機能があるので紹介しきれるものじゃないのですが、取り敢えずは以下の条件でテストをしてみました。

  1. 英語しか受け付けないので、Google翻訳などを活用します。
  2. txt2imgのタブを開いておく
  3. 近未来な世界を歩く猫というテーマで、Promptに「a cat walking in a futuristic landscape」と入力
  4. Generateをクリック

画像は保存したり出来るので、動画素材の生成であったり、ブログ素材の生成などに大きく貢献するのではないかと思います。

図:生成してみた画像のサンプル

図:生成画面の様子

HandBrake

nvencに対応した動画変換ソフトであれば、これまでのCPUに頼って動画変換していた作業が大幅に短縮されるだけでなく、クオリティ向上が期待出来ます。その中でオープンソースで手軽に利用できるのがHandbrake

nvencを利用するには設定が必要なので、以下の手順で設定します。

  1. Handbrakeをインストールします。
  2. 起動すると.net framework 6.xのインストールを促されるので、ダウンロードしてインストールする
  3. 再度handbrakeを起動します。
  4. ツール=>基本設定を開きます
  5. 「動画」を開きます
  6. Nvidia NVENCエンコーダの使用を許可するにチェックを入れる。その下のチェックも入れておきましょう。
  7. メイン画面に戻ります。
  8. 試しに1つ動画ソースをドラッグアンドドロップする
  9. コンテナはMP4を指定しておきます
  10. フィルタなどはCPU処理となるためGPUは利用しません。
  11. 下の動画タブを開きます。
  12. 動画エンコーダはH.264ではなくH.264(NVEnc)など、NVEncとついてるものを選択(H.265も選べますがエンコードに時間が掛かります)
  13. 追加のオプションはNVEncとして利用できるものがこちらのページに掲載されています。
  14. エンコード開始をクリック

実際には細かいプリセットを指定したり、音声の指定などたくさんありますが、これで動画エンコードのスピード向上やクオリティ向上が出来るので、RTX4060をフル活用出来ます。

※類似の動画変換ソフトとしては、HD Video Converter Factoryといったnvenc対応のエンコーダがあります。

図:エンコーダにNVEncを利用できるようにする設定

図:実際にNVEncを指定してエンコード

図:タスクマネージャでの様子

Chat with RTX

まだ自分がWindows11のデスクトップ機を持っていないため検証は出来ていないのですが、Windows11 + RTXシリーズのGPUを持っている場合には、NvidiaがリリースしたChat with RTXにてオンプレのChatGPTのような「AIチャットボット」を作成・運用することが可能です。

システム要件としては

  • Windows11
  • RAMは16GB以上
  • RTX30もしくは40シリーズ以上(VRAM8GB以上)
  • GPUドライバは535.11以降

となっています。RTX4060でも利用可能ですが、いずれ検証をしたいと思います。但し、このソフトウェアが39GBもある巨大なファイルで、セットアップ自体はインストーラで簡単に出来ます。ChatGPTのように情報漏洩のリスクが無い利点やオンラインでは使えない病院のような環境で社内に構築し利用してもらうなどが想定できます。

セッティング関係はWeb UIで設定可能のようです。詳細についてはこちらでレビューされてるので一見の価値があります。

関連リンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)