Paragon NTFS for MacをM1 Macで使ってみた
以前、mounty for NTFSというツールを入れてmacOSでNTFSの読み書き出来るかな?と思ったら、DFUモードとApple Configurator2を使っての復旧という非常に厄介な事に巻き込まれました。ということもあって、Intel MacにParagon NTFS for MacがApple Siliconに対応してるということなので、購入して使ってみた所バッチリ動作しました。
そこでその手順を含めてUTMの仮想環境でM1 Mac上でも動くのか?を検証してみました。
目次
今回利用するツール
macOSはデフォルトではNTFSについては読み取り専用として対応しています。よってそのままでは書き込むことができません。macOSでは昔からNTFS-3GというMacFUSEを使ったフリーの手法があります。しかし、Mountyというのがまさにこの手法であるため、ブリックした過去を考えると使うのが怖い。
Intel MacのMontereyでは問題なくParagonのNTFS for Macは動作したので、UTMの仮想環境にてM1 Macでも動作するのか?を検証すべく、macOSの仮想環境を用意して実験してみることにしました。
但し、macOSでUSBテザリングでも記述しましたがkextのセキュリティに制限がM1 Macは入ってるのでこれを解除してあげないと動作しないソフトウェアであるため、利用する場合にはセキュリティ面では低下することになるので自己責任となりますので要注意です。
※対応環境はSequoia且つM4 Macまで対応してるようです。NTFSについてはWindows7 SP1以降のNTFSバージョンに対応しています。
※Paragonは他にもWindows用としてHFS+ for WindowsやAPFS for Windowsという変わった製品も出しています。
事前準備
前述にもあるようにParagon NTFS for Macは拡張機能を利用してNTFSの読み書きを可能としてるソフトウェアであるため、M1 Macで使う場合には、システム拡張機能を有効化するためにセキュリティポリシーを「低セキュリティ」に変更する必要があります。そうしないと拡張機能がブロックされてしまい使えません。
この作業はM1 Macの電源をシャットダウンした状態から始める必要があります。
- シャットダウン状態のM1 Macの電源ボタンを長押しして起動する(UTMの場合は復旧を実行で簡単に起動できる)
- オプションをクリックして続けるをクリックする
- メニューからユーティリティ→起動セキュリティユーティリティをクリックする
- Macintosh HDが出てるのでクリックする
- 右下のセキュリティポリシーをクリックする
- 出てきたダイアログで「低セキュリティ」にチェックを入れる
- 確認済みの開発元から提供されたカーネル拡張機能のユーザ管理を許可にチェックを入れる
- OKをクリックする
- macOSの管理者のパスワードを入れてOKをクリックする
- セキュリティポリシーが適用される。
- 左上のアップルロゴをクリックして再起動をクリックする
これで再起動して普通にログインしたら準備は完了です。
図:復旧モードのオプションから入ります
図:セキュリティ変更のツールを起動
図:低セキュリティに変更する
インストール
アプリのインストール
今回はとりあえず正規品は持っていますがトライアル版を入れてみようと思います。
- こちらのサイトからトライアル版をダウンロードします。
- ntfsmac17_trial.dmgというようなファイルが手に入るのでダブルクリックしてマウントします。
- インストールNTFS for Macというのが出るのでダブルクリックします。
- 指示に従ってヘルパーをインストールする
- 拡張機能がブロックされたと出るので、システム設定を開くをクリックする
- プライバリートセキュリティの中のセキュリティに於いて、ブロックされてるので「許可」をクリックする
- パスワードを入れて設定変更をクリックする
- とりあえず再起動します
図:アプリのインストールを開始する
図:ブロックを許可する
設定変更を行う
再起動すると、Paragon Software GmbHのシステムソフトウェアの許可というダイアログが出ます。フルディスクアクセスの許可を与える必要があります。
- システム拡張がアップデートされましたのダイアログはOKをクリックする
- ダイアログが出たら「同意する」をクリックする
- システム環境設定を開くのボタンをクリックする
- ここで前述で許可したブロックの許可しろというのが出ますがすでに完了済みなのでスルーしてダイアログは閉じる
- システム環境設定の左サイドバーからプライバシーとセキュリティを開く
- フルディスクアクセスを開く
- com.paragon-softwareのスイッチをオンにして、パスワードを入れる
- 場合によってはアプリケーションフォルダにあるNTFS for Macを手動で追加してスイッチをオンにしておく
ここで起動すると10日間の使用開始と出るのでチェックを入れて次へ進んで処理を行う。自分は製品版を持ってるのでここでアクティベーションを行いますので、次の手順を行います。左下の有効化でいつでもシリアルナンバー入れてアクティベーションを実行できます。
図:同意をクリックして進める
図:フルディスクアクセスを許可
図:トライアルは10日間使える
アクティベーションを行う
Paragon NTFS for Macのアクティベーションは実はちょっと厄介な手法です。シリアルナンバー入れればアクティベーション出来るわけじゃありません。製品版買うとシリアルナンバーがついてきますが、まずParagonにアカウントを作ってそこに登録する所からスタートが必要です。
- こちらのサイトを開いてアカウントを作成する
- アカウントを作成し普通にこちらからログインする。
- 左サイドバーのMy Product→Redeem Couponをクリックして開く
- Redeem Couponボタンをクリックする
- Coupon Numberに製品版についてきたシリアルナンバーを入れてSubmitをクリックする
- 登録完了したMy Product→Productsに飛ばされて製品が登録されたことが確認出来る
- この状態でNTFS for Macを起動して有効化をクリックする
- ダイアログが出て製品を有効化するにチェックが入ってるので次へをクリックする
- マイアカウントにログインが出てくるので、作成したアカウントでログインする
- アクティベーションが行われて承認される
図:有効化をクリックする
図:シリアルナンバーをアカウントに登録
図:製品が登録されたのでアクティベーション出来る
実際に使ってみる
NTFSのディスクを用意する
さてこの状態で、NTFSでフォーマット済みのUSBメモリや外付けHDD、仮想HDDなどをマウント出来るはずです。仮想環境の場合には、UTMで作っておいたWindows VistaのOSに空のQcow2のディスクを入れてNTFSでフォーマットしたものを用意しています。
コントロールパネルのシステム管理ツール→コンピュータの管理を開き、ディスクの管理から対象のディスクが認識されるのでNTFSでフォーマットを実行。シャットダウン後に対象のqcow2ディスクをデスクトップにコピーして、macOSの仮想環境に対して追加しています。
図:仮想HDDをNTFSでフォーマット
ディスクをマウント
macOSにNTFSのディスクを接続してNTFS for Macを起動します。するとディスクが認識されてるはずなので、マウントして読み書きが出来るようになります。
10TBの実際のNTFSディスクを用意して接続しマウントしています。
マウントすると普通に読み書きの出来るディスクとなるので他のソフトウェアからもなんら問題なく読み書きが出来るようになります。なので自分はバックアップ専用マシンに対してParagon NTFS for Macをインストールし定期的にバックアップソフトでAPFSのディスクからNTFSのディスクにフルバックアップを取るといった用途で使っています。
Mountyのようなブリックするといったことは起きなかったので安心して使えるのではないかと思います。但し書き込みスピードはおそらくAPFSやHFS+よりは遅くなるので(実際フルバックアップの時間はちょっと増えました)、パフォーマンスに関してはそこまで高いというわけではないものの、Windows環境も併用してる自分としては非常にありがたいソフトウェアでした。
※ちなみにParagon NTFS for Mac上からNTFSでフォーマットも実行可能です。
図:無事にNTFSディスクをマウントできました
バックアップを実行してみた
古いツールですが、macOSで差分バックアップも出来る優秀なツールである「Sync!Sync!Sync!」を使って2つの10TBのHDDの間でフルバックアップを実行してみました(Chromeだと何故か作者のサイトにアクセスできないのでSafariでアクセスしました)。
BackupドライブはAPFSでフォーマット、DESKSTARドライブはNTFSでフォーマットされています。Backup→DESKSTARに対してフルバックアップを実施しています。ファイル容量は7TB程度で小さいものからバカでかい仮想環境まで様々なファイルが格納されています。実施してみたところ、トータルの完了までの時間は60時間と出ました。
実際に完了までに掛かった時間は7TBで94時間でした(1TBあたり13時間)。なかなか時間がかかりましたね
Paragon NTFS for MacはNTFSへのアクセスに関して高速化も施しているという話ですが、フルバックアップだとなかなか掛かります。以前はHFS+→APFSでバックアップしていましたがもう少し早かったような・・・とは言え以降は差分バックアップとなるので初回以外ではParagon NTFS for Macを使っていても大きな問題にはならないと思います。
図:バックアップツールでNTFSへアクセス