生産性向上にNotebook LMを使わないと勿体ない

2023年12月、Geminiの一部としてNotebook LMは登場しました。その後、2024年6月に日本語での利用が可能となり、2025年2月5日にGoogle Workspaceのコアサービスとして取り込まれ、Notebook LM Plusがプランの範疇で標準装備となりました。

Geminiを利用してる仕組みであり、生成AIのチャットボットを簡単に作れるという触れ込みですが、標準装備されてるGemini Advancedとの違いがわからないという人や、そもそも存在自体知らないという人も割と居たりします。そこで、せっかく標準装備されたNotebook LMを業務で活用する手法についてまとめてみようと思います。

2025年アップデート Google Workspaceの新機能

今回利用するツール等

Notebook LMは個人のGoogleアカウントでも利用することが可能です。また前述にあるようにGoogle Workspaceアカウントの場合には上位のNotebook LM Plusが現時点で利用可能になっています。

更に上位のNotebook LM Enterpriseというサービスも別個用意されており、大企業などで社内運用をする場合、このサービスのみを単独で利用したいといったようなケースで活用が可能となっています。

今回はGoogle Workspaceで利用できるNotebook LM Plusを基準にどのようなことが出来るのか?にフォーカスしてまとめています。Gemini for Google Workspaceについては別のサービスとなる為、以下を参照してください。

Gemini for Google Workspaceの実力ってどれだけあるのか?

Notebook LMとはなにか?

一体何者なのか?

Gemini AdvancedというGeminiを利用した生成AIチャットが存在し、こちらはこちらで最近はGemini 2.0 Pro対応や1.5 Deep Researchに対応など機能増強がなされています(いずれもGoogle Workspaceアカウントで利用が可能になっています)。

その中でのNotebook LMという存在。ファイルを読み取ってのアクションならばGemini Advancedでもドライブ参照が拡張機能によって探索は可能になっています。そうなると存在意義がわからない・・・という人は結構います。

では、Notebook LMは一体何者なのか?というと、これは特定のデータソースをアップロードし、その中身に限定して生成AIとやり取りをする事の出来る「範囲限定の特定分野特化型のAIチャット」であるという点。Advancedは汎用であるため確かに情報が多い反面、社内情報やクローズドな資料に対してアクションを取れない、ノイズ情報が多くハルシネーションが厳しいという弱点があります。

故に使い所というものが存在し、ドライブ内の莫大な情報内を検索・まとめならばGemini Advancedのほうが有利と言えますが、特定情報内部の探索やまとめについてはNotebook LMのほうが有利と言えます。

範囲限定の情報源に基づいて、これまで外部企業のサービスにお金を払って作ってもらっていたような旧来のチャットボットやクラウドサービスが不要になるという点がNotebook LMの大きなポイントになっています。Geminiの土台を使いつつ、面倒な事前準備無しで資料をアップするだけで完成するので、使わないのは勿体ないサービスです。

図:Notebook LM Plusの画面

LMとLM Plusの違いと制約

両者の違い比較表

個人のGoogleアカウントで使えるNotebook LMと、Google Workspaceで利用できるNotebook LM Plus。両者の違いはスペックの差と言うよりも利用できるサービス量の違いになります。ただ、Google Workspace Business StarterではLM Plusはプランに含まれていないので、Business Standard以上のプランで無償で使えるという状況にあります。

よって、Business Starterや個人のGoogleアカウントでLM Plusを使いたい場合には追加課金が必要です。公式の相違点まとめはこちらになります

項目 Notebook LM LM Plus
ノートの数 100 500
ノートに使うリソースの数 50 300
1日のチャット数 50 500
1日の音声生成 3 20
プレミアム機能 無し 有り
データ保護 無し 有り

プレミアム機能とデータ保護

前述最後の行にあるプレミアム機能とデータ保護は、LM Plus以上の重要な差になります。データ保護についてですが、個人のGoogleアカウントで利用可能なNotebook LMはそのデータはGeminiの学習として利用される可能性やGoogle側レビュアーによって中身を見られる可能性があります。一方、LM Plusは学習利用もされずレビュアーにより検閲される事もありません

一方、プレミアム機能についてですが、主なポイントとして

  • 作成したNotebookを組織内の別のユーザと共有することが出来る(個人アカウントだと50人と共有が可能)
  • チャットスタイルのカスタマイズ(応答の長さや反応の仕方など)
  • Notebookの利用状況分析機能(アクセス解析やクエリ実行状況など)

また、Google Workspaceのコアサービスとなっているため、Googleによるサポート対象となっています。

図:チャットスタイルを変更中

共通のデータの制約

Notebook LMおよびLM Plus共通のデータ上の制約が別に存在します。公式ドキュメントはこちら

  • 1つのソースで含めることの出来る文字数は上限500,000語です。
  • ファイルサイズの上限は1つのソースで200MBまでです。

また対応してるデータソースとしては以下のようなものがサポートされています。

  • Googleドキュメントとスライド(スプレッドシートは未対応
  • PDF、テキスト、Markdown、HTML
  • ウェブサイトのURL(テキストのみが対象且つログインが不要なページのみ
  • Youtubeの動画のURL(字幕付き一般公開動画のみで長さではなく発言内容が上限500,000語の上限は同じ)
  • オーディオファイル(MP3やWAV、M4Aなどに対応。文字起こしが出来、多数の言語に対応)

となっています。ドキュメント以外のものまで対応している為、実は思っているよりも幅広い活用が出来るのではないかと思います。よくある質問の内容にも目を通して、活用出来るシーンを一考してみると良いでしょう。

活用法

社内文書を読み込ませて検索

最も企業内でのポピュラーな使い方としては、就業規則や品質管理基準などの規定集を読み込ませて、要約や検索とジャンプが出来る仕組みを構築してしまう点。500,000語の上限があるので、ある程度の塊に分割しておき複数ソースとして登録しておくことがポイント。これまではWordやPDFがポンとアップしてあるだけで、自分の目的の内容がどこにあるのか?は「明確にそのワードを知っていてピンポイントにたどり着ける人」以外は、順番に探索が必要でした。

Notebook LMに食わせておくだけで単なるPDF文書が規定集検索システムへと早変わりします。全文検索システムなど不要ですし、Google Driveでは他のノイズ情報が多すぎて検索の邪魔にすらなってる。Notebook LMならではの使い方になります。これを社内メンバーに共有し(グループアドレスで共有が可能)、規定が更新されたらソースを削除し入れ替えるだけ。

試しに厚労省の就業規則モデルのPDFをアップして、育児休業について聞いてみたところ、結果の要約および該当規定へのジャンプが出てきて、目的の情報にたどり着けました。社内展開することで問い合わせに時間を消費することが減るかもしれません

他にも契約書の類を読み込ませて質問を読み込ませて添削をしたり、読み込ませた内容に対する法令チェックなど業務に直結するような使い方も出来る為、自分の業務でどんな用途でNotebook LMに仕事をやらせることが出来るか?が業務改善の大きなポイントになります。

個人利用では製品の莫大なページ数のマニュアルを読み込ませて、使い方や注意点などをわかりやすい解説でピックアップしてもらうというのがお気に入りです。製品マニュアルって読みづらい上に堅苦しい説明で理解が難しいケースが多いですから。

図:自作の専用AIチャットボット

図:就業規則を読み込ませてみた

URLを読み込ませて利用する

自分のブログはもともと自分のための知見を集めて整理し、蓄積しておくためのナレッジベースとしてのブログであり、自分自身も活用しています。例えば、Windows11に関する情報であったりは数多くのこれまでのノウハウやナレッジを蓄積していますが、同じような事例でGoogle Workspaceのアップデート情報を毎年まとめています。

これらURLを全部ソースとして追加して、串刺しにした上でナレッジデータベース検索として活用することが可能です。試しにWindows11関連の複数のブログページを追加してみて質問をしてみました。

ARM版Windows11の特徴と活用方法について聞いてみました。ただし内容が一部古い状態のものがあるため、ナレッジの日々のメンテナンスは人間がしっかり行う必要性があります。

結果は自分が書いた文章ですが、一部情報が古い場所が見つかったりしたので後で書き直しておこうといったようなチェックをすることが出来、またハルシネーションが無い非常に正確な情報をピックアップすることが出来ました。バグ情報やアップデート情報なども蓄積してるので、それらの情報を瞬時に取り出せる点からもヘルプデスクの助けになるのではないかと思います。自分の書いたページも膨大な文字数と酷目があるので単純検索でここから探すのは正直ちょっと苦痛でした。

アップデート情報やバグに関する情報はRSSなどを活用して随時ドライブに蓄積しておくといった仕組みを併用するとメンテナンスに掛かる労力を減らしつつこの恩恵を受けるといったものが作れるでしょう。

図:URLを複数追加してあげる

図:Gemini Advancedとは違い正確な情報を手に入れられる

図:バグ情報を取り出してみた

Windows11についてまとめてみた

Youtubeを利用する

Youtubeで公開されてる動画をそのまま読み込ませてNotebook LMで問い合わせが可能です。要件に字幕が・・・みたいな話はありますが、自分の動画は字幕設定入れていませんが取り込むことは出来ました。後述の音声取り込みと同じ動画ソースです。

動画を取り込み音声を取り出して文字起こしをして問い合わせは同じです。ただし動画なので特定のチャプターや時間への直接ジャンプなどの機能が無いのが残念。ピンポイントに飛べたら最高なのですが。

動画の場合、非公開になると30日以内にノートブックが自動削除されたりするので要注意です。

このURLインポートをより手軽に行えるChromeの拡張機能などもサードパーティ作られていたりされていたりするので、拡張機能も併用すると尚効率よくNotebook LMが使えるかもしれない。

図:動画に対してもノートを作れる

Deep Research結果を利用する

2025年2月20日、Google WorkspaceのGemini AdvancedにてGemini 1.5 Deep Researchが有効化されて、プラン内で追加課金無しで使えるようになりました。通常のチャットでの返答と異なり、深い情報収集とレポート作成を行ってくれる本来は高価なサービスなのですが、これと併用してみました。生成AI界隈では今一番ホットな機能です。

  1. テーマとしては「氷河期世代の原因と少子化、高齢化が招く未来について情報をまとめてください」。
  2. リサーチ開始をクリックして待ちます。
  3. 様々なウェブサイトを探索して情報をまとめあげてくれます。まとめ作成までは数分掛かります(今回のテーマだと7分くらい掛かりました。文字数は6800文字で出力されました)。
  4. その後レポートが出来ましたら、Googleドキュメント形式で出力が出来るのでドライブに保存しておく。
  5. ファイルはマイドライブ直下に生成されます。
  6. Chromeでポップアップがブロックされることがあるのでgemini.google.comでは許可しておいて上げましょう。
  7. そしてこのGoogleドキュメントをNotebook LMに食わせて探索してみる。

内容は言わずもがなであったり、また個人的に経験してきた内容からすると随分とマイルドな内容だなぁと思う一方、Deep Researchの内容も文字数は莫大なので、Notebook LMでの検索性を組み合わせると、真実に一気にたどり着けるかもしれない。

図:Deep Researchをまず行う

図:レポートを読み込ませて探索を実行する

図:生成レポートに対してNotebookを作成する

音声ファイルを利用する

Gemini for Google WorkspaceにはMeetによるミーティングの場合、自動で議事録を取ってくれる機能がありますが2025年2月時点では英語にしか対応しておらず、使えない状態です。

また、講演会や研修会などの内容をICレコーダを利用して録音した内容からの文字起こしというシーンはGemini for Google Workspaceでは対応出来ません。よって、これらのシーンに於いては音声ファイルからの文字起こし→その内容に対してNotebook LMで探索といったことが可能になっています。

試しにPower Queryの動画内の音声をM4Aで取り出したものを、アップロードしてみてNotebook LMで問い合わせをしてみました。

  • 各項目についてるポイントのリンクをクリックするとソースガイドが表示され、文字起こし内容が要約して出てくる
  • 取り込んだデータをテキスト化し、発言内容に対してNotebook LMでチャット問い合わせが可能。
  • 各ポイントの数字をクリックすると、文字起こしした場所にジャンプする

自分が作った動画のVoiceroidで作った音声ではありましたが、よくまとまっている上に、問い合わせに対しての返しも適切でした。講演会等や研修会などは録音しておき、後で動画で振り返るのも良いのですが、音声文字起こしならではの利点を得られるのがNotebook LMと言えます(動画だと全部見なければならないし、欲しい情報が何分の場所にあるのか?なんてわからない)。

図:音声に対してテキスト同様問い合わせが可能

図:ソースガイドに文字起こしされる

Google Apps ScriptとCloud Speech APIで文字起こし【GAS】

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