Microsoft製ファイル復元ソフトを試してみた
友人より、誤ってフォーマットしてしまったmicroSDカードから過去の画像や動画類を復元出来ないか?という依頼を受けて、さてどうしたものかと考えていた時に、過去にMicrosoft謹製のデータ復元ソフトを思い出したので、今回このツールの使い方や検証を行ってみました。
また海外でおすすめされていたR-Photoと呼ばれる無償の画像復元ツールについても合わせて比較対象として検証をしてみました。
目次
今回利用するツール等
Microsoft謹製ツールであるため無償で利用が可能となっているWindows File Recovery。AOMEIという別のサードパーティがこれをGUIで操作できるようにしたWinfrGUI。この2つが今回のテーマ。Windows File Recovery自体はコマンドラインツールであるため、初心者にはとっつきにくいです。公式ドキュメントはこちらにあります。
また過去に同様のファイル復元ツールとして商用のEaseUS社製のツールは以下のエントリーでレビューしています。合わせてご覧ください。
復元に当たっての前提条件
システム要件
Microsoft謹製ツールということで、このWindows File RecoveryはWindows10/11で利用可能です。自分の場合、macOS上のParallels上に構築したWindows11 ARM版を利用していますが問題なく動いています。
またコマンドラインツールであるためと、ハードウェアレベルで操作するので管理者権限でコマンドプロンプトを利用する必要性があります。
このツールをGUIで扱えるようにしたフロントエンドとしてWinfrGUIというツールも合わせてインストールしておくことで、コマンドラインが苦手な人でも通常のアプリとして使えるので、オススメです。いずれのツールもMicrosoft Storeからインストール可能であるので、Microsoftアカウントでログインしてダウンロードを実行すると良いでしょう。
microSDの状態について
今回は友人から預かったmicroSDカードに対して復元を試みます。この時、SDカードにおいて以下の状況にあるのが重要なポイントです。
- 初期化をしてしまっただけで何もファイルをその後追加したりしていない
- PCなどでリーダーを使って接続してきちんとSDカード自体は認識すること(中身からっぽだけど)
- SDカード自体に不良セクタ的な物理的な損傷が無いこと
- ファイルシステムはFAT32, NTFS, exFATであること(特殊な他のOSのシステムではないこと)
初期化しただけの場合、ファイルシステム的には目次であるインデックスが消えているだけで、実体のファイルはデータとしてまだ消えていません。ただしインデックスが消えてるのでPC上からは対象のファイルは見えません。この状態であれば、復元することが可能です。物理的損傷や、余計なデータの上書きなどをしてしまった場合、それだけでデータの復元率は一気に下がります。
またデバイス的に認識できないケースでは外部業者に依頼して復元をする以外に手段は無いので、余計なことをせずにお金を掛けて復元をお勧めします(ツール類でこの状態のSDカードをスキャンすると損傷が拡大する可能性があります)。
インストール先の注意点
今回は外部メディアなので問題になりませんが、本ツールを使ってPC本体のSSDやHDDなどを対象に復元を試みる場合には、できれば対象のドライブは外してDドライブ以降として外部接続させ、別のWindowsマシンから復元を試みる方が望ましいです。
ツールのインストールによってCドライブに少なからずファイルが上書きされることにもなるので多少復元率が下がります。またOSの稼働によってキャッシュやらの書き込みも頻繁に行われるので、それだけ復元できるファイルが減る可能性もあるため、ファイルを削除してしまった、ゴミ箱をからにしてしまったというケースに於いては、可能な限り現状を保護して起きましょう。
また、Windows File Recoveryは復元対象と同じドライブにファイルを保存は出来ない仕様なので、別途外部の保存用のHDDなどのドライブが必要なるので用意しておきましょう。
Windows File Recoveryを検証
ツールのインストール
本体のインストール
今回はChromeで対象のURLにアクセスし、Downloadをクリック→インストーラを実行してインストールするだけなので、特に複雑な設定や作業はありません。
最後にコマンドプロンプトが起動したら完了になります。
図:ツールをダウンロードする
図:インストール作業中の様子
GUIのインストール
サードパーティ性のツールであるWinfrGUI-APPを同様にダウンロードしてインストールするだけの簡単仕様です。ただし起動時にアップデート通知が来るのですが、ダウンロードを実行してみても404でファイルが無いというエラーになるので無視しましょう。現状メンテナンスされているのか?は不明ですが、ツールとしては問題なく動きます。
図:ツールをダウンロードする
図:GUIツールを起動した様子
復元を実行する
今回は外部のSDカードリーダーを接続し、SDカードを刺して認識。その後ツールを使っての復元を実行してみるという形になります。自分の場合はVM上で復元実行していますが、結構良い感じにファイルが復元できました。今回はEドライブがmicroSDカードという状態になっています。
コマンドラインから実行
コマンドラインツールであるので、以下の手順で復元を実行することができます。
- コマンドプロンプトを管理者権限で起動する
- 以下のコマンド事例ではCドライブを探索し、Eドライブに復元します。
1winfr c: e: /signature - ただし、復元対象となるファイルは以下のコマンドで出てきた拡張子のファイルのみとなります。主要なファイルは大体復元可能です。
1winfr /# - 復元が完了すると、指定のドライブ直下にRecoveryという名前と日付で出来たフォルダ内にファイルが生成されます。
このツールはコマンドラインでのオプション指定も結構豊富で、またモードが2つ存在します。
- Regular : 最近削除されたファイルの復元(NTFSのみ)
- Extensive:NTFS/FAT/exFATの全ファイルを対象に復元
今回は特に上記モードを意識せずに実行してるのでデフォルトのExtensiveが適用されます(microSDはFAT32であるため)。保存場所の指定などもオプション指定が可能です。今回の事例だとCドライブ直下にフォルダが作られて保存されるようになっています。
図:復元作業中の様子
GUIツールから実行
そう頻繁に使うツールでも無いのでコマンドラインはちょっとという人向けなのがGUI。起動したら以下の手順で復元を実行可能です。
- Select a partition to scanではEドライブなど復元したいドライブをクリックする
- Save toでは保存先のフォルダを指定します。(復元したいドライブとは違うドライブを指定が必要)
- Sccaning modeでは通常はDeep scanを選択します(Quick Scanは早いけれど復元率は高く無い)
- Start Recoveryをクリックすると復元が実行されますので終了するまで待つ
手っ取り早い上に簡単なのでこのツールを使うのが一番オススメです。
図:実にシンプルな操作画面
復元結果
過去にもこのツールは別のエントリーで検証を行っていて、その時はまだ出たばかりの時期でもあったということもありますが、そこそこ使えるツールという印象でした。その際にはゴミ箱に捨てて削除。その後復元を試みましたが一部しか当時は復元できませんでした。
今回はmicroSDカードからの復元で初期化しちゃってるケースなのでどうだろうか?と考えていましたが、
- 3500個のjpeg画像がバッチリ復元できました。
- 256個の動画ファイルがそこそこの確率で復元できました。一部は破損。
- 60個のpng画像が復元できました。
- トータル15GBものファイルを復元できました
過去にスマートフォンやカメラ、ドラレコで使いまわしていたということもあって、いろいろなものが出てきましたが、概ね良い結果と言えるのではないでしょうか?無償で使えてここまで使えるのであれば、まず最初に試してみるツールとしては十分アリではないかという結果です。
現状昔は流行ったRecuvaなどの復元ツール類はもはや現在のWindowsでは使い物にならない状態であり、他の選択肢も無償の範囲では復元できるファイルサイズに上限があったり個数に制限があったりするので、公式からこういった復元ツールが出てるのはありがたい。
図:復元されたファイル群
R-Photoを試してみた
Windows File Recoveryは結構良い結果で、無事に復元したものはUSBメモリにでも詰め込んで渡せそうです。一方で、海外のRedditなどではよく話題にあがるけれど、日本じゃ全く話題を見かけない写真復元ソフトとしてR-Photoというのがあり、これも合わせて今回試してみようと思い、仮想環境にインストールして同様に復元を試みてみました。
無償で使えるツールですが、結果はどうか?やや日本語が変なUIですが大丈夫なのだろうか。
- 起動したら、ディスクタブのEドライブのファイル表示をクリック
- ファイルタブがアクティブになるので、左サイドバーの写真もしくは動画をクリックする(とりあえず写真のままで)
- 左下のディープスキャンのボタンをクリックする(32GBのSDカードでしたが、およそ15分くらい掛かりました)
- メインページと場合によってはセカンダリページの2つが表示されて、このうちRecovery ChancesがGoodのものが復元可能。
- スキャンだけではファイルはまだ取り戻せてないので全てにチェックを入れて、左下の復旧ボタンをクリックする
- 復元先を指定しして実行する。(3500個で1分30秒程度で取り出しは完了しました)
- 同様に動画についても同じ作業をして復元を実行すると良いでしょう。
ファイルの復元率に関して言えば、Windows File Recoveryと同じくらいの復元率といった感じです。動画も復元できますが、Windows File Recoveryと異なり「画像と動画」に特化してるツールなので、オフィスファイルなどの復元はできませんので要注意。
若干の差でWindows File Recoveryよりも復元できた画像数はこちらが多いです。
図:起動してみた様子
図:ディープスキャン中
図:リカバリの実行