人事系の会社で仕事をしていると、ペーパーレスがなかなか進まない現状にぶつかることがあります。その原因が地方自治体にあったりすると・・・・何の話かというと、地方自治体に提出する申請書のフォーマットがExcelなどの編集できるものではなく、PDFなどにされていて結局印刷してから作業しなくてはならないという、オカシナ事に出くわすことがあります(就労証明書など)。

ということで、出番になるのがPDF編集ソフトなのですが、Adobe Acrobat DCは高額でおまけにサブスクリプション制。正直、PDF編集ソフトなど大幅な機能強化などに誰も求めないので、買い切りで十分です。しかし一方で実際に他社製のをお試ししてみると出来の悪いソフトがゴロゴロ。今回は国産ではマシなJUSTSYSTEMのJUST PDF 4を触る機会があったので、これについてまとめてみます(国産表記としてますが、出自はnuance社のpdf editを改良して作られてるようです)

個人的なオススメは、Foxit Phantom PDFで高機能且つ扱いやすい。値段はJUSTのそれよりちょっと高いだけ。JUSTもFoxitも買い切りなので安心して使い続ける事が可能です。

今回使用するサンプルファイル

今回は特にサンプルファイルを用意していません。各種自治体等で配布されているPDF形式の就労証明書のようなものや、手持ちのPDFファイルを用意していただき、適宜読み替えながら作成してもらえればと思います。

 

図:入力可能PDF作成中のJUST PDF 4の画面

よく使う機能

今回は○○市の就労証明書を題材に話を進めていきます。様々な機能がたくさん搭載されており豊富なのですが、実際に現場で使うとなるとそこまで手広く使うほど使わないので、その点に絞って解説してみたいと思います。

暗号化

ファイルを開くパスワードの設定、変更・印刷・コピペなどの権限用パスワードなどのいわゆる暗号化を行います。開くためにはパスワードが必要になりますが、この設定だけであるならば、Bullzip PDF Printerpdf_asなどのフリーソフトでも出来る事なので、この為だけに購入するのはもったいないと思います。暗号化手順は以下の通り

  1. PDFファイルを右クリック⇒プログラムから開く⇒JUST PDF 4[高度編集]を開く
  2. セキュリティタブを開く
  3. 暗号化をクリックし、開くパスワードならば「ファイルを開くパスワード」、コピペ印刷を阻止したいなら「権限パスワード」を選びます。
  4. パスワード入力画面が出るので、パスワードを登録し、OKボタンを押します。そしてそのまま保存しましょう。

図:権限パスワードを設定してみてる様子

検索可能PDF

PDFファイルには2種類あります。WordなどのドキュメントファイルをPDF化したもの。そしてもう一つが「スキャナで読み取った画像をPDF化したもの」。前者の場合は特に何の加工することなく、全文検索が可能ですが、後者はただの画像ですので、そのままでは受け取り手は目で追って探さないといけません。

そこで設定してあげる機能がこれで、文字読み取りが可能な綺麗な画像であるならば、OCR機能を用いてテキスト情報を抽出。画像PDFなのに検索が出来るという変わったPDFが作成可能です。

今回は青空文庫の太宰治作「人間失格」をChromeのFirehotにて画像P化⇒PDF化をしました。画像なので文字の選択や検索などは出来ない状態です。以下の手順でOCRを使って検索可能にしてみます。(サンプルのPDF

  1. 作った画像PDFを右クリック⇒プログラムから開く⇒JUST PDF 4[高度編集]を開く
  2. ホームタブ内作成にある「検索可能なPDFの作成」をクリック
  3. なにやら変換のダイアログが出たあと、画像のみのページがないから全体処理して良い?って聞いてくるので、OKをクリック(この画面が出てこない場合にはそこで処理が完了となります)
  4. なにやらダイアログが出てくるので、今回は処理するページの項目を「すべてのページ」としました。
  5. OCRを使用して文書を処理にチェックを入れる
  6. 言語が日本語のままで良いのであればそのままOKを押す。英語である必要があるなら変更しておく。
  7. OKをクリックすると作業開始。
  8. ただし、PDFの長さが長すぎる場合には、怒られて変換できないこともあります。画像PDFの作成は注意しましょう。
  9. 完了したら、Ctrl + Fで検索窓を出して、単語を検索してみて下さい。画像なのにその場所までジャンプします。

図:Fireshotでウェブページ全体の画像キャプチャをしてみた

図:画像なのに検索できるようになった

しおりの作成

Wordなどのワープロソフトに於いて、見出し機能とナビゲーションウィンドウを利用してアウトラインプロセッサな使い方をしている人は殆ど見受けられませんが、本来は物書きならば見出し設定やぶら下がる子見出し設定はすべきです。理由はそれら自体が目次となり、またサイドパネルに表示されるしおりになるからです。

さて、同じ事がPDFに対しても言えます。サムネイル表示さえあればOKといって実際に作ってみるとわかりますが、全然OKじゃありません。何のサムネイルなのかサッパリで、結局ひとつひとつページを見たり、検索掛けたり。しおりがあればそれが何のページで何の内容なのかを知ることが可能です。ボリュームのあるファイルの場合には、必ず作るようにしましょう。作成手順は以下の通りです(しおり付きPDFの事例

今回は以前作成した光回線比較資料(しおり無しのパワポスライドを元にしたPDF)に対して、しおりを追加してみたいと思います。しおりを追加した完成品のPDFこちらになります。

  1. ダウンロードしたPDFファイルを右クリック⇒プログラムから開く⇒JUST PDF 4[高度編集]を開く
  2. しおりを設定したいページまで移動する。
  3. ドキュメントタブ内ナビゲーション項目にある「しおり」をクリックする
  4. 左サイドにしおりのサイドバーが開くので、+ボタンをクリックする。
  5. しおりの名前を付ける(これが親のしおりになる)
  6. 次に5.にぶら下がるセクションのページまで移動する。
  7. 親しおりを右クリック⇒「子しおりを追加」にて、ぶら下がるしおりを追加可能。名前を付ける(これが子しおりになる)
  8. さらに詳細につけたい場合、孫しおりもつけられるがその場合、子しおりを右クリックして、子しおりを追加を選択する
  9. 別の子しおりを同レベルで追加すると上に追加されてしまうので、これを掴んでドラッグすれば、順序を入れ替え可。ただし、離す位置に2種類あり、ただの順番入れ替えのドラッグと、その項目の子しおりになるドラッグの2つあるので操作注意!!
  10. しおり名をクリックしてジャンプするようになってるのを確認したら、保存する。

図:左サイドの目次みたいなのがしおり

図:見出しのレベルで文章が見やすく管理できる

図:しおり追加をしている様子

入力可能PDF

PDF編集ソフトを使う上での最大のメリットは「入力可能なPDF」の作成にあると思います。指定の場所だけテキスト編集が可能で、チェックボックスやラジオボタンで選択、ドロップダウンメニューを選ぶなどの機能を、PDF上で用意する事が可能です。Excelと違い特定の部分だけが編集可能なので、レイアウト破壊やおかしな値の入力を防ぐ事も可能です。

とりわけ地方自治体ではExcel形式ではなく、PDF形式でのみ提供といった困ったパターンが最近増えており、申請書類を作るのに一回印刷しないといけないという馬鹿げた現象に遭遇する事もしばしば(最初からExcel形式ならその必要がない)。以下に入力可能PDFの作り方を記述します。今回は小平市の就労証明書をベースに作ってみたいと思います。

  1. ダウンロードしたPDFファイルを右クリック⇒プログラムから開く⇒JUST PDF 4[高度編集]を開く
  2. フォームタブを開きます。
  3. FormTyperをクリックするとレイアウトから自動で最適なフォームを自動で生成してくれます。ただし7割程度。オカシナ点も多いので、これでスパッと作ってから、残りを手動で作り込むと手間が省けるかもしれません。
  4. テキストフィールドツールをクリックしてドラッグすれば、テキストボックスが作れます。
  5. テキストフィールドのプロパティ画面では、例えばフォントサイズ、フィールド名重複しないように注意!!)、複数行可、文字数制限、文字列の位置、通貨などのフォーマット、自動計算やアクションの設定など細かく高度に設定が可能です。
  6. チェックボックスツールクリックして、□の部分を囲えば、チェックボックスが作成可能です。同じくプロパティ設定が可能です。
  7. 他にもコンボボックスやボタン、リスト、ラジオボタンなどが設定可能ですが、使用頻度は高くないです。
  8. 高速にフォームを作り込むにはテクニックが必要です。次項のフォーム作成テクニックを参照してください。

図:FormTyperはざっくり作る時だけ有効!!

図:プロパティ設定画面

PDFの結合などの作業

PDFの結合、分解、削除、差し替え、回転などの諸作業は意外と現場では遭遇するケースが多いです。こちらにある記事のように会議資料作成時などにも大活躍します(印刷してから紙を拾ってホチキス止は不毛です)。これらは、pdf_asPDF Split and Mergeなどのフリーソフトを使うことで簡単に実現が可能ですので、正直なところこの部分はそちらのソフトのほうが手っ取り早いです。

JUST PDFでも出来なくはないです。以下の手順で結合だけやってみましょう。

  1. 結合する予定のPDFファイルを用意する
  2. そのうちの1つの頭に配置するファイルを選択して右クリック⇒プログラムから開く⇒JUST PDF 4[高度編集]を開く
  3. ドキュメントタブを開き、ページサムネイルをクリックする
  4. 同じタブ内に「挿入」があるので、クリックし、ファイルから挿入を選びます。結合するファイルを選びます。
  5. ダイアログが出たら「最後のページ」にチェックを入れてOKを押す事で、1個目の最後に2個目のPDFが挿入されます。
  6. 保存すれば結合完了。
  7. 差し替えやファイル順番の変更などはページサムネイル内で出来ます。

図:2つのPDFを結合させるにはちょっと手順が必要

編集不可制限(セキュアモード)のPDFを編集する

政府などで配布されているPDFの中に、閲覧や印刷は問題ないものの、編集に関してはセキュリティが掛かっていて編集ができないようになってるPDFというものがよく配布されています。このPDFをJUST PDFで開くと閲覧は出来ますが編集機能の全てがグレーアウト状態であり、直接的に編集が必要な部分があっても弄る事ができません。

しかし、このPDFは以下の手順で別のPDFとして生成すれば編集する事が可能です。

  1. 該当のPDFを開き、印刷を実行
  2. 印刷する時に利用するプリンターは、PDFプリンター(例:Bullzip PDF Printerなど)
  3. 普通にファイルとして保存する。
  4. 3.で保存したファイルをJUST PDFで開くと普通に編集が可能。

印刷に関して制限が掛けられていない為、印刷で別のPDFにしてしまえば、編集ができちゃいます。古いフォーマットのままで年号が「平成」のままになってるだとか、そういうケースで活躍するかもしれません。

図:セキュアモードなので閲覧のみで編集不可

フォーム作成ノウハウ

基本的な作り方などについては前項までに記述しました。しかし実際には、それだけでは高速に入力可能PDFの作成は出来ません。かといって何かの機能でそれを実現するのではなく、アナログな手法ですが、以下の手法を使う事で、綺麗で高速な入力可能PDFを作成出来るようになります。

パーツを作ってコピペ

年月日や円表記など、就労証明書などの場合、同じような何度も出てくる事があります。これらはワンセット取り敢えず作っておき、それらを選択してコピペではめていくとスピーディ且つ位置合わせを一発で作れます。注意点は以下の通り。

  • 複数コントロールの選択方法は、1個選んだらShiftキーを押しながら横方向にある各コントロールをクリックする。間にあるコントロールも選択対象になります。
  • コピペしたコントロールのプロパティを開き、フィールド名を見るとコピー元と同じになっています。このままだと片方入力時にもう片方も同じ文字が入ってしまいます。必ず唯一無二のコントロール名をつけ直してあげて下さい。
  • コントロールの微調整はマウスで行うよりは、キーボードの方向キーで調整したほうが微調整はしやすいです。
  • また、そのコントロールのプロパティ値を最初に決めて設定しておくと、コピーした後もその属性もコピーされます。
  • また、プロパティを決めたコントロールを右クリック⇒デフォルトプロパティとして設定をクリックすると、そのコントロールを新規作成時にプロパティが自動適用されます。

図:入力欄をワンセット作って、あとはコピペしていく

文字入力の工夫

実際に入力可能PDFを作っているとぶつかる壁がこの文字入力の工夫。例示すると「複数行入力可能」「フォントサイズ」「3桁区切りの通貨表記」などが細かく設定が必要なケースがあります。その場合テキストボックスに対してどのようなプロパティを設定すべきかは、入力する値のタイプにおって変わってきます。

提供されてる元PDFのレイアウトが狭すぎて、担当者名とか入らないケースもある。対象のコントロールを右クリック⇒プロパティで細かく設定して行きましょう。入るような工夫や入力が楽になるようなプロパティ設定を予めやっておくと良いでしょう。主な入力欄での工夫は

  • 事業所所在地・住所欄 – 他と同じ長さのテキストボックスだと、欄の長さが足りなくなるかも。フォントサイズを小さめに(8ptくらい)
  • 事業所所在地・住所欄その2 – 通常は左揃えにすべしなので、プロパティ=>オプション=>整列にて左揃えにすると良いでしょう。
  • 担当者名 – 用意されていない事もある。問題は用意されていて、すごく狭い場合。フォントサイズを小さくし、複数行入力可にしてあげると良いかも。
  • 年月日 – 入力欄が狭すぎて入り切らないことがある。フォントサイズを小さめにしましょう。
  • チェックボックス – 小さいものの場合、ドラッグしても生成されないことも。一度作ってから小さくサイズ変更するとうまくいく。
  • 備考欄 – 大きく取られているケースが多いので、複数行入力可且つ左揃えにしておくと良いでしょう。
  • フリガナ – 非常に高さが低く設定されてる事が多いので、フォントサイズを極小にしましょう(6ptくらい)
  • ○で選択するタイプ – これはあえてPDF編集ソフトで作らなくても良いかもしれません。通常のリーダーでも作成が可能です。
  • 金額入力欄 – 整列は右揃えにし、3桁カンマ区切りのフォーマット、小数点以下は0桁で設定すると良いでしょう。
  • フォント – テキストフィールドのフォント指定がおかしなフォント指定の場合、リーダーで見ると入力した文字が異常に小さくなる事があります。フォントを変更して保存すると良いでしょう。

動画資料

関連リンク

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