大切なファイルが壊れた!!EaseUS Fixoで修復してみる
古いHDDやCD-Rに格納して於いたファイルを開いてみたらエラーで開けない。Sharepointに置いておいた皆で共有してるExcelファイルを開いてみたら「ファイルが破損」。リカバリーソフトで復旧したファイルが結局壊れてる。こういったことは結構遭遇します。大切なファイルなのに、もはや開くことも出来ない。
そういった時に利用するのがファイル復元ソフト。今回EaseUS社様よりソフトウェアを頂けたので、壊れたファイルを用意し実際にどこまで復元出来るものなのか?調査してみました。
目次
今回利用するソフトウェア
HDDやCD-Rなどから消えてしまったファイルの復元は過去に取り上げたData Recovery Wizardで行うことが可能です。ただ、復旧したファイルが開けるとは限らない。そういった場合に利用するのがFixoになります。
今回はWindows版で検証していますが、macOS版も存在します。App Storeから導入が可能です。El Capitan以降対応でApple Siliconにもネイティブ対応しています。
そもそも壊れたファイルとは?
自分も過去に何度かファイルの破損は経験しています。そもそもファイルの破損って何なのか?何故起こるのか?なのですが、ファイルの破損とは文字通りファイルがぶっ壊れることなのですが、PCのファイルには2タイプあって、「テキストのようなデータ」と「バイナリ形式のデータ」の2つがあります。
テキスト形式は見たままなのですが、画像や動画などはバイナリ形式。これらは当然テキストエディタでは見ることは出来ないのですが、中のデータ構造は複雑な形で何かオカシナデータが書き込まれたり、復旧時に不完全なままになるとこの時点でもはや見れなくなる。見れたとしてもノイズや上半分しか見えないなどファイルとしては使えないものになります。
昔はウイルスにやられてファイルが破損であったりも多かったのですが、昨今でファイル破損に会うシーンとしては
- ドラレコのmicroSDカードの動画ファイル(過酷な環境下で動いてますからね)
- SharepointのExcelファイル同時書き込みで破損(これ未だに頻繁にある。企業で運用時は遭遇率高めです)
- SharepointじゃなくてもNASでのExcel共有ブック機能で同時書き込みでの破損
- 古くなったCD-Rからファイルを取り出したら経年劣化で壊れてた(おおよそ、CD-Rの耐久がMax 30年くらい。そろそろ大量に出てくる頃合い。CD-Rは色素で記録してる為、紫外線や経年劣化で破損します)
個人用途であってもこのように遭遇する可能性が結構あります。企業用途だとMicrosoft365のSharepointは本当に鬼門。Excelファイルが結構壊れます。この為に主要ファイルの自動バックアップとか仕掛けていたくらい。Excel自身の修復機能でだいたい戻らないことが多いので、結構泣きを見ました。OneDrive上でも発生したケースがあるようです。
企業で皆が共有するファイルが壊れた場合、手作業で戻すには膨大な時間が掛かります。1日じゃ終わらないし完全に戻せてるかもわからない。そうなると、従業員の労務費考えたら1万2万じゃ効かないのです。
本体のインストール
インストールをしてみる
本体のインストール自体はいたって簡単です。
- ホームページから無料体験をクリックし、インストーラを手に入れる
- インストーラを起動したら今直ぐインストールを実行する
- 完了したら起動するので、下の方にあるライセンスをクリックして、ライセンスキーを入れる
昔と違って本当にインストールが手軽に成りました。また無料体験が出来るのでライセンスキーを入れずとも、修復⇒プレビューまでは確認が可能になっています。
体験版と本番は同じアプリなので、ライセンスキーでいつでも本番用にロックを解除できます。
図:インストールは至って簡単
図:ライセンスキーはここから登録
ライセンス形態
ライセンス形態はサブスクと買い切りの2つになりますが、買い切りは1年間アプデ付きと永続アプデ付きの2つ。企業で買うならば買い切り永続のほうがお得になるでしょう。支払い方法もPayPalなども使えるので個人的にはカードじゃなくこちらを使うパターンが多いので、ありがたい(なかなか国内だとPayPal使える所が少なくて困る)。個人用とならばスポットの月額更新でも十分なのではないかと。
1ライセンス1PCとなってるので、必要な台数分購入するスタイルです。30日間返金保証付きなので、思ったのと違うなといったケースの場合はキャンセルすることも可能。ライブチャットのサポートもあるみたい。
図:そこまで高額ではないのがありがたい
対応フォーマット
ホームページの情報によると対応フォーマットは大きくわけて3タイプ。動画、画像、ファイル。中身を見てみると
動画 | MP4, MOV, M2TS, MKV, MTS, 3GP, AVI, FLV, M4Vなど |
画像 | JPEG, PNG, JPG, GIF, CR2, NEF, NRW, RAFなど |
ファイル | PDF, Excel, Word, PowerPointなど |
MKV形式対応って随分マニアックだな。GIFなども対応してるというけれどアニメーションGIFとかどうなんだろうか?AI搭載の文字が気になる。ここに音声ファイルの修復が含まれていないけれどどうなのだろうか?
図:最近流行りのAI搭載で修復に参加するみたい
ファイル修復を検証
今回の検証にあたって色々な方向性からファイルを用意してみました。画像、動画、Officeファイル、音声ファイル、アニメーションGIF。さらにファイルを壊してくれるサービスや手法を使ってわざと壊してみたものも用意します。
動画ファイル
個人利用の場合、前述にあるようにmicroSDカードから取り出したら壊れてたというケースが結構あります。と言うのもmicroSDカードって結構限界値が低い。しかも安物のSDカードは本当にすぐに壊れる。そこに記録するとファイルが壊れることになります(SDカードが壊れてることに気が付きにくい)。ドラレコの場合、いざという時に取り出してみたら壊れてたとなると、裁判の場合の重要な証拠の1つを失うことになります。
故にドラレコの場合はスマフォなどで使うTLC(安価で大容量ですが書き込み上限1000回)は辞めておいたほうが良いです。高価ですがMLCタイプのものを使うのが定石。
※ちなみに10TBの大容量HDDのフルバックアップで貴重な動画を壊したことがあります。
さて、壊れてしまった動画の修復をしてみたいと思います。頂いたサンプルの動画ファイルであるMP4については修復は問題なし。特に欠損があるわけでもなく再生ができました。
一方、自分が撮影したMOVのドラレコ映像の先頭8バイトをバイナリエディタで削ったケース(映像本体は手を入れていない)場合はどうか?と見た場合、これについてはサムネの時点では行けそうだったのですが、最初の画面から一歩も再生できず。後述のドキュメントや画像などの場合は、ヘッダ情報削った場合でも割りと復元出来ていたのですが、ちょっと動画についてはシビアな感じです。
※他ウェブ上で同様の事例で困ってる人のサンプル動画も試してみましたが、復元ならず。
図:MP4については復元が出来た
図:MOVは修復出来ず
画像ファイル
前述の動画同様に、microSDカードからの取り出しで写真が壊れてるケースは結構あります。写真だけとは言え安価なmicroSDカードは本当によく壊れます。ちなみにサンディスクのSDカードが1年以上も海中に沈んでいたのに復旧できたケースもあったりして伝説になっています。GoProなどのアクションカメラもmicroSDが基本ですので、熱暴走などでファイルがおかしくなったりは十分ありえます。
そこで、2枚のファイルを用意してみました。一個はヘッダはしっかりしてるけれど何故か開けないファイル。もう一個は自分がバイナリエディタで意図的にヘッダ部分を削ったファイル。
ファイルを追加して復元を実行するだけ。復活できるものは殆どクイック修復で復元可能です。逆に高度な復元にまで至った場合、ほぼ治らないケースが多い。同じカメラで撮った別の画像をサンプルとして当て込むのですが治らなかった。そしてその殆どがPNGのケースになります。故に通常のJPEGであれば軽度の破損が殆どなので見込みがあります。
※破損じゃなく滲みのある写真を読み込ませての修復実行はAI補正らしいのですが、自分の場合違いがわからず。
図:クイック修復の様子
図:バイナリエディタで削ってみた
図:修復された様子
図:復元されたファイル
図:高度修復では似た画像を指定して直してくれる
ファイルの種類によって復元のしやすさが異なり、JPEGは壊れながらも表示ができたりする一方、PNGの場合は僅かなファイルの破損が致命的な破壊につながったりします。故に普段はJPEGで撮影しておいたほうが修復率は高まります。
故にファイルリカバリツールで救出したファイルを復元する場合には復元率はかなり下がります(物理的に欠損してるため)。このツールでの修復はデータ本体がある程度残っていてファイルのヘッダが無くなってるなどの場合は救出率が高いのではないかと思います。故にImage Glitcherなどのようなツールで意図的に破損したようなものは、それがそういう正常なファイルとして成立してしまうので、元に戻すことは難しい。
Officeファイル
EaseUSのサイトではWordやExcelについてのTipsがあります。しかし色々な条件で壊れたりするので困ったものです。ということで、最も利用頻度の高いであろう「オフィス系のファイル」の修復を行ってみます。
Wordファイル
手持ちのWordファイルで読めないファイルがあるので試しにWordで起動してみました。修復しますか?という問い合わせに対して、修復すると実行した際に、修復出来てしまえば今回のツールの出番はありません(Officeにも軽微なエラーの修復する機能が備わってる)。それでも修復出来ないケースに於いて、Fixoのツールの出番が来ます。
Excelと違ってあまり複数名で同時に編集といったことが無いので、機会は少ないかもしれませんが、強制終了などでファイルが中途半端な状態になり、結果破損につながって起動できないケースがあります。失って困るとしたら長文の論文などを記述していて大ダメージといったケースでしょうか。
青空文庫のコピーを意図的にdocxを解凍し、中のDocument.xmlのタグのいくつかを破損させたものを再びZIPで固めて、Word自身では修復できないファイルを用意しました(壊れるパターンでよくあるケース)。Fixoにて修復を試みてみましたところ、見事に修復出来ました。他にもいくつかヘッダ部分を削ってみたりしましたが、問題なく修復。
さすがに同梱されてる他のxmlファイルを消した場合には復元は出来ませんでしたが、復元率は非常に高いと思います。ただし、全部が全部修復されるとは限らないので今回のケースでも60%の文字列の復元となっていました。
図:復元された様子。
図:こんなエラーが出るファイルが対象
図:Word自身で修復出来ないケースがこれ
Excelファイル
どちらかというと、Excelのほうが利用頻度が高い上に破損ファイルに出くわす可能性が高く、また失った時のダメージも大きい。共有ブック機能やSharepointで複数名でのファイル保存により破損することは以前から知られていますが、それでもバックアップを取らない現場は多いです。結果、相当数の手戻りや修復に時間を費やすことになります。
実際にFixoにて修復を掛けてみましたが、無事に復元されて中身を確認することが出来ました。
そこで別の手法で破壊したものを復元できるかどうか実験。
- こちらの手法で破壊した場合に復元できるか?
- バイナリエディタで雑に頭部分の一部を削って保存
前者の手法で開くと読めますがsheet1.xmlに何らかの不具合が発生中。これをそのまま別名保存し直すと治るのですが、逆にFixoで修復すると何故か復元できずに壊れました。
後者の手法で開くと全く開けません。ZIPで固められた頭部分が削られたのでExcelファイルとして認識せず。この状態をFixoで復元するとエラーは出るものの、今度はExcel自身の修復機能で修復されて開くことが出来ました。結構雑に削ったので駄目か?と思いましたが、なかなかの修復率ではあります。
図:文字化けで修復も出来ず
図:Excelの復旧率は高い
図:バイナリ削りは見事に直った
その他の検証
復旧対象にGIFはあれどアニメーションGIFはどうなのか?また音声ファイルはどうなのか?の記述が無かったのでこちらを試してみたいと思います。とは言え、あえてファイルを破壊するために、PINETOOLのCorrupt a flie onlineで30%破損させた音楽ファイルを生成。これを生成後にFixoで読めるように拡張子をmp4に変換して修復を実行してみました。30%破損でテストしています。
- ファイル修復を実行してみるも、クイック修復では治らず
- 高度修復を実行し、オリジナルの音源を指定して修復を実行してみる(似たような音源を通常は指定するようです)
- 修復完了ということで開いてみる(拡張子をm4aに戻す)
しかし、音源は修復されず。さすがに未対応の音源ファイルは修復出来ませんでした。
続いて、アニメーションGIFならばどうか?imgurにアップされていた猫のおもしろGIFで挑戦してみました。
- ファイル修復を実行してみると、クイック修復で修復が出来た!!
- しかし開いてみると破損してる
- 5%破損でテストしても駄目でした。
という具合に未対応フォーマットでの修復はやはり無理がありました。
図:ファイルを破壊してくれるサイト
図:音源ファイルは修復完了でも再生出来ず
図:アニメーションGIFは駄目でした
雑感
自分が今回このツールを使ってみての感想としては、個人での利用よりも法人での利用のほうが向いてるツールであるなと感じる。昔のdocやxls時代のフォーマットはバイナリデータであったので、修復が困難であったものの現代のOfficeファイルはZIPで固めたXML形式のオープンドキュメントフォーマットに近い形なので、ツールでの復元がしやすくなっている。
一方で個人の場合は複数名で同時に保存といったようなケースはまず無いので、ファイル破損の危機は法人よりもずっと少ないので出番が少ないかもしれない。
またメディアデータ(画像や動画)などは思わぬシャットダウンなどで破壊されるシーンはあるものの、どちらかというとファイルサルベージ時の残念な復元のほうが機会は多いように思える。Data Recovery Wizardを過去に取り扱っていますが、そちらに機能を搭載したほうがしっくり来る。
GUIの操作性については簡単ではあるものの、ドラッグアンドドロップに対応していなかったり、高度な修復がちょっと特殊な手順で似たような別のファイルを指定するという感覚が最初意味がわからなかったなどの惜しい点がある。
Office本体でも修復系は備えているものの、回復出来るのは軽微なもので開けない時点でアウトなものを救えている点でやはり事業所に一本置いておくのに向いているのではないかと思ます。
関連リンク
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- file-examples.com