ROG Allyに本物のSteamOSを入れて使ってみた

Steamで有名なValveがSteamdeckに搭載しているSteamOSについて、ROG Allyにもv3.8.0からリリースしていくというニュースを見てから結構日が経ち、調べてみると既にもう使えるといった情報を耳にしたので、現在のWindows11 24H2の環境をバックアップして、手持ちのROG Allyに対して本家本元のSteamOSを入れて運用してみることにしました。

あまりにもトラブルの多いWindows11と別れを告げて、SteamOSのみで果たして運用はできるのか?いくつかの課題点も踏まえてチャレンジです。都度、いろいろな検証を追記していこうと思っています。

今回利用するツール等

過去にSteamOSクローンであるChimeraOSについては以下のエントリーで実際にインストールして運用してみました。その当時はまだまだ完成度もちょっと足りない面もありましたが、十分動作していました。今回は本家本元のSteamOSなのでどんなものなのか?実際に手持ちのゲーム類でテストしています。

今回の作業をするにあたっては、事前にRescueZillaにてWindows11環境を丸ごとイメージバックアップしてから、初期化をしてインストールしています。

※世間一般では、SteamOSクローンとしてはBazziteOSのほうが盛り上がっているようです。

※実際のセットアップ作業では最低でも有線マウスはあったほうが良いです。タッチパネルは動きますが操作しにくい。できれば有線キーボードも欲しいので、USBハブで2個を接続させて今回は作業しています。

ASUS ROG AllyのバックアップとSteamOS?のインストール

GPDWIN2に別のOSを入れて第二の余生を送る

事前準備

ニュースではSteamOS 3.8からROG Allyをサポートみたいな話でしたが、現在SteamOSのサイト上で取得できるイメージファイルのバージョンは3.7。動くのかな?と不安になりながらも実際に作業をしてみてバッチリ動作しました。しかも正直言って快適かも。

今回はmacOSで作業をしていますが、Windowsであっても似たいような手順です。必ず事前に今のWindows11環境はイメージバックアップして復元できるようにしておきましょう。故にSteamOS用とRescueZillaの2本のUSBメモリが必要です。

インストーラUSBの作成

32GB程度のUSBメモリを1つ用意して、以下の手順でインストーラのUSBを作成する必要があります。

  1. macOS用のイメージ書き込みツール「BalenaEtcher」をインストールしておく
  2. SteamOSのイメージ提供サイトから、ZIPで固められたファイルをダウンロードする
  3. ダウンロードしたZIPを解凍するとimg形式のファイルが一個出てくる
  4. balenaEtcherを起動して、イメージファイル指定→USBメモリ指定して、焼き込み開始
  5. 完了したらUSBメモリを取り外す

これで、インストーラについては準備完了。そこまで難しい作業では有りません。

図:イメージファイルをUSBに焼き込む

BIOSの設定変更

SteamOSのインストールには、ROG AllyのBIOSにて事前に作業が必要になっています。ここにちょっと嵌りどころがあるので要注意。

  1. 一旦ROG Allyをシャットダウンする
  2. 音量キーのマイナスを押しながら、電源長押しで起動する
  3. ロゴが出たら電源ボタンだけは離して良い。BIOS画面が出たら音量キーを離す
  4. BIOS画面に入る
  5. セキュリティタブを開く
  6. ユーザレベルでのBIOSパスワードを先にセットする(これを行わないとSecure Bootオフが無効化できない
  7. 次にSecure Bootの項目を開いて、無効を選択する
  8. 設定を保存して終了する

故に毎回起動時にBIOSパスワード入力が必須となるので要注意です。忘れないようにしましょう。ここでは完了したら一旦シャットダウンしましょう。

実際のインストール作業

SteamOSをインストール

USBポートにUSBメモリを挿入した状態で電源を投入後に以下の作業でインストールを行います。インストール作業はそこまで難しいものではありません。

  1. 電源投入するとBIOSパスワード入力が出てくるので、Enterキーを押す前に音量のマイナスキーを押しながらEnterを押して入る
  2. BIOS画面が出てくるので、下部のブートメニューを開いて、UEFIと書かれたWindowsではないものを選ぶ。2個出てきているので、1個目のを選択しましょう
  3. コマンドラインでLinuxが起動します。結構時間が掛かるので辛抱強く待つ
  4. するとSteamOSのデスクトップモードが起動してきます。
  5. デスクトップにRepair SteamOS Installがあるのでダブルクリック。
  6. 指示に従ってインストールを続ける
  7. 完了したらprocessedをクリックして終了となります。

これで一旦シャットダウンし、USBメモリを取り外しましょう。

図:起動中の様子

図:Repair Installを実行する

追加セットアップ

基本セットアップ

問題がなければここでSteamOSがBigPictureモードで起動し、追加セットアップが始まります。以下のセットアップを行います。

  • 言語の選択では日本語を選択しましょう。
  • タイムゾーンの設定では、+9:00の日本のタイムゾーンを選択します。
  • WiFi接続が必要なので、APを選んでパスワード入力し接続します。

これらが完了し、再起動をすると無事にSteamOSが使える状態で起動しますので、Steamへのログイン画面が出てきます。通常通りログインを実行すると見慣れたSteamの画面が出てくるようになります。

開発者モード

必須ではないものの、あくまでも現時点ではβ版的な位置づけのOSである為、最新のテスト環境を望む人は以下のセットアップも行っておくと良いでしょう。

  1. タッチパネルで、左下のSteamメニューをタッチ(もしくはROG Allyの左側の▶マークのキーがSteamメニューキーになっています)
  2. 設定をタッチする
  3. 左サイドバーから「システム」を開き、システム設定の中にある「開発者モードを有効化」のチェックをオンにする
  4. 左サイドパネルに「開発者」が出てくるので開いて、その他の中にある「高度な更新チャネルを表示」のチェックをオンにする
  5. システムに戻って、OS更新チャネルが安定になってるので、ここをメインやベータに変更します。

これで常に最新のテストビルドが降ってくるようになります。自分はそこまで望んでいないのでこのままにしていますが、v3.8.0といったビルドはこちらからのアップデートになるので注意。

図:最新ビルドを試せるようになる

VRRを有効化する

続けて、ROG Allyの右側の「≡」キーの下のキーを押すと、これがコマンドセンターボタンであり、右サイドパネルが出てきます。

  1. ⚡️マークをタップする
  2. パフォーマンス項目が表示され、可変リフレッシュレートを有効にするのチェックを入れる
  3. メニューから抜ける

これで動的にリフレッシュレートが変化するようになり、ゲームに最適化されます。

Decky Loaderのインストール

SteamOSにはない機能を追加で導入するためのツールがDecky Loader。これを入れておくと機能をアドオン形式で追加することができます。例えば起動時のアニメーション変更や、TDP変更、色々とアンロック、ゲームのアートワーク変更、CSSの変更などなど様々です。以下の手順で導入します。

但し、事前に管理者パスワードがセットする必要があるので手順に注意。またこのインストール作業はデスクトップモードでなければできませんし、マウスとキーボードが必須です(仮想キーボードでも入れられなくはない)。

管理者パスワードをセットする

マウスを接続した状態で、作業を行います。

  1. Steamメニュー→デスクトップに切り替えを実行する
  2. デスクトップモードが起動するので、メニューからkonsoleを見つけてターミナルを起動する
  3. ターミナルにて、以下のコマンドを実行する
    passwd
  4. パスワード入力を促されるので、同じパスワードを2回入力してEnterキーを実行
  5. これで管理者パスワードをセットすることができました。

Decky Loaderをインストールする

続けて、ターミナルから以下の作業を行います。こちらのサイトにあるDecky Loaderをインストールします。

  1. ターミナルから以下のコマンドを実行する
    curl -L https://github.com/SteamDeckHomebrew/decky-installer/releases/latest/download/install_release.sh | sh
  2. 管理者パスワードを要求してくるので入力する
  3. しばらく待つとインストールが完了する
  4. デスクトップにあるreturn to gaming modeをダブルクリックする
  5. SteamOSのBigPictureモードに戻るので、「≡」キーの下のキーを押したあと、コンセントアイコンをタッチ
  6. これがDecky Loaderで箱アイコンをクリックする
  7. あとは好きなアドオンを追加すると使えるようになる

いろんなプラグインが用意されていますが、ここには存在しないTDPコントロールするようなアドオンもあったりします。

図:Decky Loaderが追加できました

スクリーンショットの取り方

BigPictureモード

デフォルトで用意されているスクリーンショットの取得キーは、ROG Allyだと左後ろのM1キー + Aボタンで、これが誤動作が多いので自分はチェンジしていましたが、SteamOSの場合は、Steamメニューキー + R1キーを長押しなので、まずご動作することはありません。

但し、デフォルトだと非常に深い以下のディレクトリに保存されます。非表示のドットから始まるフォルダ以下に格納されているので、こんなのデスクトップモードで取ってくるのも大変。ということでDecky LoaderのShottyを入れて、Pictureフォルダ直下にコピーしたりしてます。

/home/deck/.local/share/Steam/userdata/数値のディレクトリ/760/remote/7/screenshots

ちなみに、スクショを撮ったものを簡単に他のPCから取り出す方法は

  1. SteamOSのメニュー→メディアを開く
  2. 対象のスクショを長押しして、共有をクリック
  3. Steamで共有をクリック
  4. 自分のみの公開であるのを確認して、アップロードをクリック
  5. 他のPCからSteamのサイトを開いて、ログインしておく
  6. 上部のコミュニティの隣の自分のアカウント名をクリックして、アクティビティをクリック
  7. 右サイドパネルのスクリーンショットを開く
  8. 先ほどアップした画像があるのでクリックして名前をつけて保存する

個別のSteamゲームを開いて、コントローラアイコンをクリックし、レイアウト編集にて、拡張ボタンのL4がROG AllyのM1パッドに該当するので、ここを長押ししたらスクショを取るといったものも自分はセットしています。但しゲーム毎にセットが必要なので、基本は上記の手順を使いましょう。

図:ウェブでスクショを取り出す

図:ゲーム毎のスクショキー設定もしてある

デスクトップモード

デスクトップモードでは、BigPicture時のSteamメニュー+R1ではスクショは取れません。その変わりにSpectacleというアプリがインストール済になっているので、このアプリを使ってのスクショ撮影が可能です。

デフォルトでは、Homeフォルダの中のPicturesフォルダ内に保存されるようになっています。他のPCで取り出せるようにするには、DeckMTPをdecky loaderでインストールしてスマフォからCX File Explorerなどで接続して取り出す他に、デスクトップモードでNASに接続しておいて、そちらにコピーしておくというのが定石です。

図:デスクトップモードのSteamOS

図:NASに接続してすぐアップロードする体制に

デスクトップモードで仮想キーボード

デスクトップモードは画面の小ささもありますが、基本はUSBキーボードを接続しての入力が一番面倒が少ないです。しかし、手持ちにUSBキーボードが無い場合には、以下のキーの組み合わせでスクリーンキーボードを表示できます。

Steamメニューキー + Xキー

なのですが、これちょっと癖があって、Steamメニューキーである▶キーを押してからXキーを押して、ちょっと長めに押してから離すとしないとスクリーンキーボードがすぐ消えてしまいます。慣れると消えずに表示できるようになります。が、このスクリーンキーボードでの入力も小さい画面のタッチパネルで操作なので、結構厳し目です。

ゲームを実際に動かしてみる

SteamOSであることのメリット・デメリット

SteamOSはLinuxベースのOSであり、Windows11と違ってAMDドライバによるAFMFなどの機能は使えずな上に、Linux上でProtonと呼ばれるWineでWindowsアプリを動作させている関係で、オーバーヘッドは掛かるのかな?と思っていたのですが正直、かなり快適でした。

SteamOSであることのデメリットとしては、Steam以外のゲームの動作は用意するのが面倒というのが挙げられます。例えばXbox系のWindowsネイティブゲームや、Epic Gamesのゲーム。古いWindows向けのゲームなどはやろうと思えばこのProtonを使えば動かせなくもないのですが、Windows11で動かす以上に手間が掛かります。

一方、Emulatorに関してはRetroArchで殆ど間に合うので、PS2アプリやPS3アプリの動作が課題(同様にProtonで動かすように仕込みが必要)。逆に言えば、Steamのアプリで間に合うような用途であれば、Windows11に振り回されたり、あのゲームに最適化されていない操作画面にストレスを感じずに済みます。

10fps程度はWindows11上で動かすよりもむしろパフォーマンス向上してるかも・・・それだけ無駄にWindows11はOSが肥大化しすぎてリソースを食ってるということでもある。

※他にもTDPが15w固定になるであったり、細かい制約が付きますがこれだけ動けば十分なのではないかと。

Steamのゲーム

軽く動かしてみた

いくつか手持ちのSteamアプリを使って検証してみました。もっともヘビーなモンスターハンターワイルズはまだ未テストなのですが、ウェブの記事によると、殆どのゲームでWindows11で動かすよりもパフォーマンスが良いという話が。

テストしてみたのは、大神DQ11SDQ3 HD2Dです。他にもRetroArch等も動かせるので、一通り動かしてみました。RetroArchはマルチOS対応なので例外として、他のゲームはすべてWindows専用。しかしWineで動かしてるとは思えないほど快適で動作しました。

ROG Allyのスペックでは厳しいようなゲームでなければ、殆どの主要なゲームはSteamOSのProton経由で動かせると思いますので、Windows11ではないことのデメリットはかなり薄いのではないかと思います。

※ベースのスペックは、ROG AllyのほうがSteamdeckよりも上であるので、ROG AllyでSteamOSがベストプラクティスなのかもしれない。

図:SteamOS上でDQ11Sを動かしてみた

図:続編開発決まった大神

図:DQ3 HD2Dも問題なく動作

MODを導入してみる

SteamでゲームはPCゲームそのものであるため、いわゆるゲーム改造用のMODを導入することが可能です。例えばオリジナルのゲームが未対応のものを対応させたり、改造することで難易度を下げるであったり様々です。代表的な事例では大神絶景版は16:9のワイド画面未対応なのですが、これを対応させたり30fpsのゲームなのですが60fps対応させたり。FF9などでは高画質のテクスチャパックというMODがあったりします。

今回はDQ11のMODでいくつかテストしてみました。但し、海外のMODサイトはウイルスが混じっていたりと危険も沢山あるので、自己責任で使うことになります。試しにEasy Slot MachineというMODを入れてみることにしました。

  1. modの拡張子はpakと呼ばれるものになってるので、これを手に入れておく
  2. 手に入れたpakファイルをUSBメモリもしくはNASにでも格納しておく
  3. SteamOSのシャットダウン→デスクトップモードに切り替える
  4. ファイラであるDolphinを起動して、Homeディレクトリを開く
  5. Dolphinの右上の「☰」をクリックして、Show Hidden Filesにチェックを入れると、非表示ファイルが表示されるようになる
  6. その状態で、以下のフォルダの場所まで潜っていく
    .local/share/Steam/steamapps\common\DRAGON QUEST XI S\Game\Content\Paks
  7. 6.のフォルダ内にpakファイルを入れる
  8. Return to Gaming ModeでBigPictureモードに戻る
  9. ゲームをプレイ開始
  10. スロットマシンを回して、小さな当たりでも30万コイン手に入ったらMODがきちんと動いてる証拠

今回はうまく動きましたが、動かないパターンや入れたことで起動しなくなるといったようなケースもあります。MODは何があっても自己責任なので要注意です。

図:隠しファイルを非表示にする

図:MODファイルを入れる場所

図:きちんとMODが動いた

Epic Gamesのゲーム

Epic Gamesのゲームも何本か持っているのですが、代表的な作品といえばSteamには無い「Fall Guys」。Steamではリリースされていない名作というのも結構あったりするので、動かせたらなぁと思っていたら、動かすことができます。

こちらのサイトを元に、デスクトップモードでLauncherをインストールして、Steamに登録。Protonで動くように仕込みをして、BigPictureモードでも、直接Epic Games Launcherを起動してFall Guysを動かせました。

起動が若干もたつきますが、起動してしまえば問題なく動作。画面の乱れもなくサウンドもバッチリ。この面倒なインストール手順を除けば、SteamOSでも十分Epic Gamesのアプリも動かせます。

図:Fall Guysがバッチリ動作

SDカードを使ってみる

Steamのゲームの例えばセーブデータ等はすべてSteam側にクラウドバックアップされていたりするので、ローカル環境でSDカードを使う目的と言ったら、ファイルの受け渡しであったり、ゲームのインストール先に使うといった用途ですが、250GBのSandiskのSDカードを指してみました。

ディスクの検証もフォーマットも問題なく完了。きちんと認識されて使えています

デスクトップモードに切り替えてみてDophinの一番下にRemovable DevicesにMassStorageClassという形できっちり認識もしていました。SteamOSでも問題なくSDカードが使えることがわかりました。

図:バッチリ認識しました

図:デスクトップモードからも使える

関連動画

ROG AllyにSteamOSを入れてDQ11をプレイしてみた

じゃあROG AllyにSteamOS入れたら最強って事?

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