Data Recovery Wizardはどこまでデータを復元出来るのか?
情シス運用をしてると遭遇する厄介な問題が「データが消えた。復元して欲しい」という内容。個人であっても無意識にゴミ箱に捨てて速攻で空にするという作業を行ってしまい、結構な手戻りや取り返しが付かない事が起きたりします。
そんな時に役立つのが「データ復元ソフトウェア」なのですが、他のジャンルと違い一般的にあまり認識されていないことも多いです(復元出来ると思っていない人や、昔の経験から諦めてしまってる人などなど)。そこで今回、EaseUS社さんから支援頂き、一体どこまでデータが復元出来るものなのか?徹底検証してみることにしました。
目次
今回利用するアプリケーション
このアプリはWindows版の他にも、macOS版も存在します。また、データ復旧ソフトとしてFree版も存在するため、まず試してみて納得してから製品版を購入するというステップが用意されている為、買ってから残念といった事がないのがポイントです。
macOSユーザでもある自分の場合、あまり選択肢が無いので数少ない手段になります。
動作要件と注意点
システム要件
システム要件を確認してみると、現代的なPCであれば殆ど問題にならないほどに要求する要件が低いのでこの点で心配する必要性はありません。
- CPUはx86, x64系の1GHz以上、Apple M1以上
- RAMは1GB以上
- ディスク容量は200MB以上
- 対応OSは、WindowsXP〜Windows11まで幅広く対応。(macOSの場合、14.0 Sonomaまで対応)
- Windows Server 2019でも動作するようです。
- 対応ファイルシステムは、FAT, exFAT, NTFS。何故かext2や3, HFS+も対応と表記がある。(macOSの場合はAPFSにも対応)
- HDDやSSDだけじゃなくUSBメモリ、SDカードなどのリムーバブルメディアにも対応。
注意点
プランと制限
エディション比較を見るとFree, Pro,Pro+WinPEの3タイプがあり、それぞれ「1ヶ月ライセンス」「年間ライセンス」「永久ライセンス」の3タイプがあります。2024年現在最新版はVersion17となっていて、過去の古いサイトを見てみるとパッケージもあったようですが、現在はダウンロードオンリーとなってるようです。よくバージョンを確認してページは見る必要性があります。その他のライセンス上の注意点としては
- Pro版は1台オンリーのライセンス
- Pro版+WinPEはブータブルメディアを別途作成することの出来るバージョン(ブート出来ないPCでUSBメモリなどからブートして復元が出来る)
- 事業所向けのTechnicianという特別なバージョンもあるようです(同一事業所内ならば無制限で利用可能)
Free版の場合は制限事項として、復元できるファイル量が最大2GBまでとなっています。スポットで1ファイルだけ急ぎで復元といったようなケースでも有用です。
図:バージョンをよく確認しましょう
サブスク自動更新
永久ライセンスは買い切り版ですので特に問題は無いのですが、1ヶ月ライセンスや年間ライセンスは期間限定のライセンスとなります。これは購入する際に注意が必要です。1ヶ月で切れるのではなく自動的にサブスクとして更新が掛かるので、
- 左上の「細部」をクリック
- ダイアログで自動更新するかしないか?を選択
- 変更を保存をクリックする
として、内容を変更しておきましょう。また、Amazonで購入する場合とVectorで購入する場合、EaseUS公式サイトで購入する場合とで値段に差があり、公式サイトの場合10%オフクーポンが表示されてたりするので、左上のクーポンコードを利用するをクリックして、反映してから購入しましょう。
図:購入する際はここを注意する
その他の注意点
後述のSSDに関する項目について、自分の場合普段はTrimはオフにしています。しかし、当初やけにシステムドライブ(Cドライブ)からのファイル復元が旨く行かず壊れてる物が多かったです。特に動画系や画像系は破損が多く、以下の処置をしたところ結構復元率が高くなったので、参考までに。
- 常駐系ソフトで常に何かを監視するタイプのソフトウェアなどは外しておいたほうが良い(自分も2つほど外したら明らかに復元率が高くなりました)
- Trimはオンにすると明確に復元率が悪くなります
- 以上の設定をしてから再起動するして以降のファイル削除はシステムドライブであっても検出率が良くなった(特にMP4系)。
また、サルベージしたファイルが破損している場合、画像や動画の場合は他の修復ソフトを合わせて使うことで復活できる可能性があります。動画の場合はVLCを使って再変換を掛けることで見られるようになるケースがあるため、持ち出し無しで復元が可能です。
データ復元にあたっての留意点
一般的なデータ削除のポイント
PCに於けるデータの消去というものは、1つ留意しなければならないことがあります。ゴミ箱に捨ててゴミ箱を空にするといった行動や、同じファイルで上書きするといった行為。どちらもデータの復元であり得るパターンなのですが、それぞれディスクへの書き込みにあたって以下のポイントがあります
- ゴミ箱を空にしても、ファイルの目次から消去しただけでディスク上にデータそのものは残ってる(表面上アクセスは出来ない)
- データの上書きの場合、同じ記憶領域に対してデータを上書きなので復元率は落ちる
- データを消去後、色々とディスクに書き込み等をする作業を行うと、1.の領域に書き込まれると復元率は落ちる
故に、データの復元をしたい場合、消去する作業をしてしまった直後であればあるほど復元出来る可能性が高く、また逆を言えばセキュリティ面で言えばゴミ箱を空にしただけではデータは簡単に復元されてしまう可能性があると言えます。
また、専門業者に頼んでの復元は割と高額ですが、ソフトウェアを利用しての自力救済は低額です。その場合も復元先は別のディスクを保存場所にするべきで、こちらも逆に完全消去したいような事業所での廃棄時などはソフトウェアで自力よりも専門の廃棄業者に頼んでマニフェストを取得しておくことをオススメします。
SSD特有のポイント
他の復元系ソフトウェアについても同様に言えることなのですが、EaseUSのサイトでも言及されているように今どきのPCのほとんどはローカルディスクはHDDではなく高速なSSDを採用しています。また一昔前のSSDとは異なり高速化するために標準でTrimが有効化されており、データ削除とともにTrimが発動してディスクからデータが永久に削除されるため、SSD搭載のマシンの場合はデータ復元ソフトでの復元が困難になっています。
つまり、Cドライブのユーザフォルダ(ドキュメントやデスクトップ)といったディレクトリ内にファイルを置いてデータを消去した場合、復元がしにくい(出来ないわけじゃないけれど、復元率が悪くなる:ファイルは見えるけれどファイルを復元すると壊れてる)といったことが起きます。実際今回の検証でも、内蔵SSDでは復元率が非常に悪く、対して外部HDDやUSBメモリなどでは割とあっさり復元されてたりします。
Trimが有効化されているかどうかはコマンドプロンプトにて以下のコマンドを実行し、値が0に設定されてる場合は有効化されており、1に設定されてる場合は無効化されている。但し、Trimコマンドを無効化すると速度が落ちることになるので通常はオンにしておくべきです。
1 2 3 4 5 |
//Trim設定の確認 fsutil behavior query disabledeletenotify //Trimを有効化(要管理者権限) fsutil behavior set disabledeletenotify NTFS 0 |
データ復元のしやすさを取るならば、以下のような選択肢を取ることになります。
- スピードを犠牲にして、Trimをオフにする
- デスクトップ機の場合は、内蔵SSDのTrimはオンのままにし、マイドキュメントやデスクトップのパスをHDD等の別のフォルダに変更しておく。但しノートPCの場合はHDDを二機目として搭載出来ないので、この手は使えない。
- ローカルディスクにファイルは置かず、Box DriveやGoogle Driveアプリなどを利用し、ファイルのバージョン管理等はクラウド側に任せる(セキュリティ要求が強い企業の場合、通常こちらの手段が取られてるはずです)
- 同じSSDでもシステムドライブとユーザデータを格納する場所はパーティションを分けて用意し、デスクトップやマイドキュメント類は後者のユーザデータエリアに移動させておけば復旧率が格段に上がるので、会社などで使う場合は、あえてパーティションを切っておくこの方法のほうが望ましいでしょう。
- また、Windows10搭載の自動メンテナンスにて、Trimコマンドの発行やHDDのデフラグの自動実行などを行ってるようです。自動メンテナンスはオフにすることも可能。
図:Trim設定を確認中
色々復元検証をしてみた
まずは素直に試してみる
まずは適当なディレクトリにExcelファイルやpng画像、mp4の動画などを格納して復元できるかどうかをテストしてみる。
内蔵ディスクから復元
デスクトップにbackフォルダを作成し、適当なファイルを格納後削除。その後ゴミ箱を空にした直後にテストをしてみました。復元先はDドライブの内蔵HDDとして実験してみます。Cドライブ全体を指定でも良いのですが時間が掛かるので、今回はフォルダを指定しての復元です。
- Data Recovery Wizardを起動して、Cドライブをクリック
- するとすぐに探索が始まります。ディープスキャンが終わるまで待ちましょう。
- 紛失ファイル=>削除済みと辿っていく。更に自分が削除したと場所までフォルダを掘っていく。
- 削除された内容にはディレクトリ構造としてリストアップされています。
ディープスキャン中はCPUがフルで動くため、他のアプリケーションの動作が非常に遅くなります。試しに1個復元してみます。
- 対象のファイルを右クリックして復元をクリック
- Dドライブなど復元元とは異なる他のドライブを指定する
- ファイルが復元される。
特徴的なのがまずクイックスキャンをし、リストアップ後に引き続きディープスキャンが開始するという点。クイックスキャンは復元率はどのソフトでも高くはないので今回は念入りにディープスキャンを終えてからの復元を実行しています。
但し前項で記述したように現代のPCはシステムドライブがSSDのケースが多く、内蔵SSDのシステムドライブの場合は復元率が悪かったです。但し、別途搭載してる内蔵HDDの場合は復元率が非常に高かったので、キッティング時点で分けてデスクトップやマイドキュメントはHDD側や別パーティション側に移動して保存しておくような仕組みにしておくほうがデータの損失を可能な限り防げて良いのではないかと思います(パーティション分けておけばシステムが起動しなくなっても、別パーティションから取り出せるので)
バッチリ復元できるケースもあれば、何度やっても旨く復元できないケースもあったり、テキスト系はほとんど復元出来ても、pngやmp4だと途端に悪くなるといった感じです。これはアプリの問題と言うよりも、SSDの特性上の問題と言えるので、前述の項目にあるようになんらかの対処をした上で使うと、いざという時の復元でモタつかなくて済むのではないかと思います。
図:素直にリストアップされて一安心
外付けディスクから復元
動画素材保存用の外部HDDとして裸族のお立ち台を使った3.5inchのHDDを自分は用意しています。USB3.0のディスクですがこちらにファイルを配置して、削除=>ゴミ箱を空にしてみて復元ができるか?をチャレンジしてみました。Fドライブとして認識されたので、Fドライブをスキャン開始。後述USBメモリと違って外付けHDDの場合は削除しても直接削除されるわけじゃなく、きちんとゴミ箱に入ります。
実際に復元を試みてみました。動画もテキスト類もドキュメント類も全く問題なく復元が出来ました。USBメモリのようなリムーバブルメディア上での作業は直接削除される可能性があるので、できれば一旦外付けHDDなどに格納してから消すといったような習慣を身に着けたほうが良さそうです。
図:外部HDDからの救出も無事に成功
リムーバブルメディアから復元
現場でのトラブルというか事故で割りと多いのがリムーバブルメディアからファイルを削除してしまった場合、ゴミ箱に入ることなく直接削除される件。故に、SDカードやUSBメモリなどの取り外し可能なメディア上でのファイルの削除というものは慎重に行わなければなりません。Data Recovery Wizardではリムーバブルメディアも対応してるとのことなので、同じ条件でUSBメモリにファイルを配置=>削除をした直後に、復元を試みてみました。
今回USBメモリはFドライブなので、Fドライブをスキャン開始。すると、すぐに削除したばかりの内容が出てきました。紛失したファイル=>削除済みを開き、backのフォルダを掘ると出てきました。こちらのケースではディレクトリの名称がおかしな表記になることはありませんでした。実際に動画やその他のファイルを復元してみましたが、全く問題なく復元することが出来ました。
図:USBメモリからバッチリ復元出来た
NAS復元をテストしてみた
Data Recovery Wizardを見ていると、NASからの復元という項目を見つけました。NAS上のファイルは削除をするとゴミ箱に入ることなく直接削除されるため、事故が後を絶たないです。業務での事故は多分ローカルよりもNASのファイル削除のほうが多いのではないかと思うくらい。
そこで、NASに削除しても構わないディレクトリを用意してファイルを配置=>削除をしてみました。そして以下の手順で復元チャレンジ。ちなみに、自分のNASはASUSのルータに外付けHDD(HFS+フォーマット)のものを接続したものになります。
※但し、NASにSSHでログインできる設定があり、オンにできる事が必要です。
- Data Recovery Wizardを起動して左サイドバーから「NAS復元」を実行
- 今すぐ開始を実行
- 自分のNASが出てくるので、スキャンを実行。
- IP、ID、PWを入力して接続開始。
うまく行けばここで接続できるようですが、自分の場合サービスの起動で失敗。原因がわからない。コマンドプロンプトにて「ssh hoge@192.168.50.1 -p 22」で接続すると、こちらはきちんと接続出来たのでSSH自体はうまく行ってる。SynologyのようなWindows Serverを使ったNAS製品なら旨く行くのかも。ルーターにぶら下げたNASだと接続は出来ないようです。
図:ルータのSSHをオンにしてから作業開始
図:NASからなんて復元できるのかな?
図:接続に失敗した
Shift+Deleteで消した場合
ゴミ箱運用が嫌いだからといって、Shift+Deleteで直接削除する癖がついてしまってる人がいたりします。ただ、ゴミ箱というワンクッションが無いのでダイレクトに削除されて消えてしまうので、よっぽどこのことがない限り、あまり多用しないほうが良いとは思います。
果たしてこのケースでも復元できるかどうか?をテストしてみました。Cドライブを指定して探索開始。紛失ファイル=>削除済みを開いて、自分のデスクトップの場所までフォルダを辿る。すると、削除したファイルが出てきて見事に復元ができました。
図:見事に出てきて復元もできました
他のOSで検証してみる
古いOSでも本当に動くのか?
WindowsXPにも対応してるということでしたので、macOS上のUTM上、Windows上のVMware Workstation Player 16上で構築したWindowsXP SP3の仮想環境にインストールして果たして動作するのか?試してみました。ウェブからダウンロードしたインストーラを起動してみる。但し、XPに対応してるのはVersion16までのようです。途中ネットワークエラーが出てオフラインインストールをクリックしてしまうと、Version17がインストールされてしまう(どうもこの現象は仮想環境特有の現象のようです)。
ということで、Version16のインストーラを頂いたので、XPにインストールしてみました。驚くべきことに、v16では本当にXPに対応していてインストール完了後に起動し、スキャンも実行出来ました。検出した結果を見てみると
- ディレクトリ名やファイル名がちょっとおかしな表記になってる
- 画像やテキストファイルは問題なく取り出せました。
- ゴミ箱に入れてからであるからなのか、RECYCLERを開くと削除したファイルが出てくる。
- 動画についてもプレビューは出来ませんでしたが取り出して再生することが出来ました。
- 削除したサブディレクトリ内はファイル名は正常でしたが逆に復元しても壊れていました。
正直なところ、XPで動くとは思っていなかったので1つ前のバージョンとは言え、本当に動きましたし、若干変な箇所もありつつもサルベージも出来ました。この頃はRecuvaを使っていた時代なのでデスクトップにRecuvaが残っていました・・・ひょっとしたら時代を超えて当時諦めたファイルが取り出せたりするのかもしれません。Recuvaでも検索してみましたが、どれがどのファイルなのかさっぱりわからないのと、ようやく見つけて復元は出来ましたがちょっとこれでは実用的ではない(また現在のRecuvaは動作がVista以上となっている)。
図:WindowsXPで動いてる様子
図:対するRecuvaの様子
macOS版を試してみる
macOS Sonomaにも対応してるということでしたので、M1 MacのSonomaマシンにインストールしてテストしてみました。IntelバイナリではなくきちんとApple Siliconネイティブ対応として起動し、ディスクアクセスの許可を与える必要があります。再度、起動して以下の条件で探索しました。
- ユーザディレクトリ以下にフォルダを作成し、中に複数のタイプのファイルを格納(1つはディレクトリ構造アリ)
- ファイルシステムはAPFSである
- 1.のファイルを全削除してゴミ箱を空にしてみた直後にテストしています
ディスクドライブを選択して次に進むと自動的にファイル探索がまず始まる。探索活動が終わったら、特定のファイル名を指定して、復元を実行してみます。保存先を同じマシンのデスクトップを指定して実行。macOS版のFree版の制限は復元は最大3回(総ファイルサイズ:2GBまで)可能です。
macOS版の製品版を利用してみました。Windows版とは少しだけUIが異なりますが、概ね同じUIです。肝心の動作ですがかなり検出率が良く、SSDでM1なmacOSなのですがバッチリ動作し、クラウドへの保存機能も充実していてmacOS使いの自分としてはかなり嬉しい。2年位前に作業して捨てた動画が出てきて普通に復元出来ました。
図:macOS版でもしっかり動作は確認
図:動画ファイルをプレビューしてみた
図:対応クラウド保存の一覧
他のファイルシステムはどうか?
Windows版のData Recovery Wizardに対応ファイルシステムの中になぜか入ってるext2とext3の文字列。Linuxのかつての標準ファイルシステムなのですが、なぜ対応してるのだろうか?と思いチャレンジ。Windowsなので当然標準ではこれらのファイルシステムは認識もマウントも出来ません。ということで、テストしてみました。
- 仮想環境でテストしてるので、フリー版のWindows用のアプリを利用しています。
- Intel Mac上のVMware Fusionの仮想環境のWindows10 64bitに、別の仮想マシンのUbuntu上のext2ファイルシステムのディスクを接続
- ext2上のディスクではファイルをコピーして即削除しています。
- Data Recovery Wizardを起動してみる
OSレベルではLinuxのext2のディスクは認識されていないのですが、Data Recovery Wizard上ではきっちりドライブが認識。探索すると削除したファイルがきちんと出てきました。画像のプレビューレベルでは成功しています。本当にext2のファイルシステムに対応していました・・・
図:Disk2をext2としてフォーマット
図:なぜかちゃんとディスクを認識
図:ファイルもきちんと出てきた
Windows11 ARM版でも動くのか試してみた
Surface ProやWindows開発キット2023, macOS上のParallelsなどで利用可能になってるWindows11 ARM版。その環境にインストールして果たして起動するのかどうか?試してみました。
今回macOS上のParallels上でWindows11 ARM環境を用意し、インストール・起動してみました。結論から言えば起動するのですが、高DPIだからなのか、文字がちょっと小さい状態で起動したので互換性タブを開いて、高DPIの時のスケーリングを調整したら問題のない大きさになりました。実用上は問題なく動作しました。
ARMといってもファイルシステムはx64と同じですので問題なく動作するようです。きちんとプレビューまでは確認済みです。
厳しい条件で試してみる
巨大なファイルを復元してみる
今回このテストでは、Windows11 23H2のISOファイルと、10GBクラスの巨大な動画ファイルをデスクトップに配置して、削除=>ゴミ箱を空にして、復元開始。クイックスキャン中はリストに出てこなく、ディープスキャンの55%を超えたらリストに出てきたので、2つを復元してみました。
巨大な動画ファイルの場合は、ファイル名が若干おかしな状態でしたが、動画そのものは最後まで閲覧可能な状態でした。ISOファイルのほうはダブルクリックしてOS側にマウントされるかどうかをテストしてみました。ISOファイルも無事にサルベージ出来て無事にマウントが出来ました。なかなかの復元率です。
図:内蔵SSDでしたが復元出来ました
パーティション毎消去した場合
EaseUS社のページを眺めていたら、「ESD-USBになった外付けハードドライブを元に戻す方法」というページを発見し、どうやらData Recovery Wizardでパーティションレベルで上書きというか変更を掛けてしまったUSBメモリや外付けHDDでも復元ができるらしい・・・確かに自分も少ないUSBメモリをやりくりしてる中で、間違ってデータ用のUSBメモリをWindows11のインストール用USBに書き換えてしまってデータが飛ぶという類のことはしばしばやりがち。
と言うことで実際にこのケースを再現してみて、元のUSBメモリに入っていたデータを取り出せるか?試してみました。Windows11のISOをRufusで焼き込むことで物理的にパーティションレベルで構成が変わってしまうのでそのまま作成続行。出来上がって見事にデータの消え失せたUSBメモリに対して復元を実行してみました。但しそのままではサルベージ出来ないので以下の手順で実行します。
- タスクバーの検索窓から、「コンピュータの管理」を検索して実行
- 左サイドバーからディスクの管理を開く
- USBメモリと思われるFAT32のESD-USBというパーティションを見つける
- 右クリック=>ボリュームの削除を実行して消去する(未割り当ての状態になる)
- Data Recovery Wizardを起動する
- USBメモリを選んでスキャン実行(外付けドライブの喪失パーティションがそれになります)
- クイックスキャンでは流石に何も出てきませんでした。
- 種類タブを開き、例えばmp4などのビデオファイルを指定して絞り込みをする
- ターゲットのファイルが出てくるかどうか?
実際にテストをしてみましたが、ESD-USB前のファイルは一切引っかからず。逆にボリューム削除前のデータならば引っかかってきた。といった状態でした。一応念のため新規ボリュームをセットしてFAT32としてフォーマットしてからもテストしてみましたが同じ結果でした。USBメモリじゃなくHDDならば旨くいくのかもしれません。
図:対象のボリュームを間違えないように
データ消去ソフトで消した領域に対して
データ復元ソフトとは正反対に位置する「確実にファイルを痕跡すら残さず消すソフトウェア」というものもあります。機密データであったり他人に見られなくないようなデータを消去する場合、通常のゴミ箱空では今回のようなファイル復元ソフトで結構あっさり復元されたりします(USBメモリのような単純なものの場合は特に)。ということで、今回はDeleteOnClickというフリーウェアを使って、内蔵HDD側に配置したファイルを削除し、Data Recovery Wizardで復元できるか?チャレンジしてみます。
DeleteOnClickは「U.S. DOD 5220.22-M」という方式に準拠してるソフトウェアと銘打ってるのでピッタリ。ファイルを選択して右クリック=>Security Deleteを実行。この状態で復元を実行してみます。今回はtomatoというディレクトリの中に入れています。アプリで消してるのでゴミ箱も経由しません。
Dドライブが内蔵HDDでしたのでスキャンしてみたところ、多くのファイルがzzzzという謎のファイル名に変更され、はっきりファイル名がわかるものでも復元は出来ず。動画ファイルも復元してみても再生可能ではあるもののノイズだけが流れるという状況でした。流石に消去ソフトウェアによる破壊の場合は復元は不可能なようです。
図:ファイルの名前だけはわかりました。
Google Driveアプリで試してみる
自分は普段あまり、BoxドライブやらGoogle Drive PC版といったローカルとクラウドを同期して利用するアプリは使いません。そこまでして使うよりもブラウザ一本で完結するほうが余計なトラブルもないということが理由ですが、実際の企業の現場では、ローカルとクラウド同期を利用したこの手段を非常に活用してるケースが多く見かけます。
Google Drive PC版の場合、GドライブとしてGoogleドライブがマウントされますが、このマウント先ディレクトリは「%USERPROFILE%\AppData\Local\Google\DriveFS」となっているため通常はPCのシステムドライブの中に存在します。さらに仮想的にGというドライブレターが割り当てられてるので、まずはbackフォルダとファイルをアップして削除してみる。ゴミ箱はもちろん空にする(ちなみに、Gドライブからファイルを削除してゴミ箱を空にすると、Google Drive上でのゴミ箱にも入るので、実はクラウド上では30日以内ならば簡単に復元できたりする)。
Data Recovery WizardにはきちんとGドライブが出てくるのでスキャン開始。こっちで復元出来なくてもブラウザ上では30日以内であればドライブのゴミ箱から削除できるので安心です。スキャン結果はというと全く何も検出されない・・・逆にマウント先があるCドライブスキャンならば出てくるか?ということでチャレンジしてみました。こちらもシステム系のファイルのみでファイルの実態は何も検出されませんでした。
図:仮想ドライブなので検出されない
他のアプリも試してみた
これまで自分が利用した、触れる機会があったリカバリ系のツールを取り上げてみました。しかし、その多くはData Recovery Wizardのような期待する結果が出ず。Windows公式ツールは結構期待したのですが、削除直後にも関わらず目的のファイルが出てこない・・・そういった意味ではやはり、データ復元系は有償のツールとは大きな差があることがわかりました。
Windows File Recovery
Windows11に公式から公開されてるWindows File Recoveryというツール。まだ出たばかりのツールな上にコマンドラインで扱うツールなので正直言って初心者向きじゃない。そこでこのツールのフロントエンドになるWinfrGUIを導入してみました。ただしインターフェースは英語となります。
また同じドライブに保存が出来ないように制限がかかってるので、Dドライブ以降のHDD等保存場所を必要とします。
さて、実際にフォルダからファイルを削除してゴミ箱を空にしてみて検証してみましたが、Deep Scan・Quick Scan共に検証をしてみたのですが、いずれのケースでも目的のファイル以外は引っかかるのですが肝心のファイルがヒットしない。GUIのお陰でいくばくかハードルは下がったとはいえ、環境準備も決して容易じゃないので、ちょっと残念な結果です。
図:見た目はとても良いのだけれど
Recuva
自分のかつて削除されてしまったデータを復旧するために何度かお世話になったことがあるツール。今現在はCCleanerの配下となっているようで、現在は2023年のリリースで最終リリースとして開発が終了している。スキャンは特定のフォルダを対象に絞ることが可能で、Deep Scanをオンにした状態でテストしてみた。
ただしインターフェースは英語であり日本語に変更する必要があります。検索して絞り込みも出来なくもないのですが、実際にテストをしてみましたが、対象のファイルはサルベージ出来ませんでした。
図:かつては救われたソフトでしたが
Glary Undelete
XP時代から存在し、Windows8.1を最後に開発が終わってるかつては利用されたデータ復元ソフトがGlary Undelete。当時はリムーバブルメディアにも対応したツールというものはなかなか無かった時代であったので、良い選択肢ではありました。
改めて、Windows11の環境で起動してみましたが、まずフランス語なので日本語に変更。スキャンをしてみると異様に早く終わる。
色々とヒットはするものの、今すぐ削除したものがヒットしない状態。
図:非常に高速だけれども救えなかった
DataRecovery
かなりの昔に何回か利用したことのあるデータ復元のフリーソフトがDataRecovery。すでに開発も止まっている上に、すでにオープンソースとしても公開されているもののその後の動きもなく。非常に簡単なUIで、スキャンしてファイル名でフィルタする形式。FAT32/NTFSに対応してる。
試しにWindows11環境にて2個ファイルをコピーして即削除。後にこのツールで復元を試みてみた。
しかし1つもヒットすることなく。過去の事例では出てきたもののファイルが破損していたりとこのツールで復旧が出来なかった記憶がある。
図:データはサルベージ出来ませんでした
雑感
気になる点
コンテキストメニューからの復元
Data Recovery Wizardは、右クリックのコンテキストメニューに復元の項目が登録されるので、例えばbackフォルダを右クリックやゴミ箱を右クリックして、復元を実行することが可能です。しかし、対象のフォルダを指定しての起動ではなく、通常のアプリの起動だけにとどまっているので、素早く対象のディレクトリをターゲットに復元実行してくれたら良いかなぁと思う次第。ユーザが期待する動作は素早く復元であるので、パスを指定する作業がなくなると手間がなくなります。
図:右クリックのメニューに登録される
ディレクトリ名について
今回の簡単な復元時には、おかしな点はbackフォルダ内に用意したフォルダ名は「ディレクトリ」としていたのですが、「ディレ~1」となってる点。その中のファイルは特に問題なくファイル名もおかしな状態ではない形でリストアップされています。必ずしもこうなるわけじゃなく、他にリストアップされた別のファイルの場合、ディレクトリ名もきちんと表示されていたりするのでケースバイケースのようです。
図:ディレクトリ名がおかしいケースがある
ドライブ検索のほうが検出率が良い
Data Recovery Wizardは、ドライブ単位と特定のディレクトリ指定の2つが利用出来ます。しかし、今回テストしていて感じた点がドライブ指定のほうが明らかに削除したファイルの検出率が良い。一方で同じファイルなのに、削除したディレクトリのパスを指定しての検出だと出てこなかったケースがしばしば。デスクトップ指定も同様で、またゴミ箱指定をしての復元の場合はファイル名がおかしな状態のものがほとんどで、復元も出来ませんでした。
故に、復元したい場合時間は掛かりますが、通常のドライブ指定のほうが望ましいです。クイックスキャンレベルでも検出してプレビューできるファイルはディープスキャン中でも復元が実行出来ますし、クイックスキャンでプレビューできないものは、復元しても壊れてるケースが多いです(但し巨大なファイルの場合、ディープスキャンで50%以上経過してから出ないと逆に復元率が悪い)
利用してみた感想
正直、データ復元系のソフトはXP時代からお世話になりつつも、まともに復元できた試しがなかったので期待していなかったという点と、Windows11から公式で搭載されたということで使ってみたら思ったものとは違って・・・という具合にこの領域のソフトウェアは他のソフトと違ってかなり高度で難しいソフトウェアなのだなと思っていました。しかし、実際に今回利用してみてシステムドライブのSSDという特異なものを除けば、ここまで復元できるものなのかという知見を得ることが出来ました。
情シス担当をしていると、データ喪失のケースはUSBメモリ、NASが殆んどでローカルの場合は自宅で動画編集やファイル管理をしてる中でミスで消してしまうというのは結構あるものです。そうしたケースを防ぐために高いお金を払ってHDDをミラーリングしてみたりもしていますが量が多いため莫大な時間と手間が掛かります。その点、このソフトウェアがあればそういったちょっとしたミスで大きな手戻りややり直しが、取り返せるという点では1本手元に置いておいて損はないのではないかと思います。
事務系のファイルはどうしてもローカル作業が必要なので、パーティションを切ってシステムとデータ置き場は分けて運用すれば、ミスで消してしまったとしても作り直す莫大な時間と労力・体力を考えたら・・・自分も何度もそういったシーンがあるので作り直しだけは勘弁してほしいのでありがたい存在だと思います(たいてい最初に作ったものよりクオリティが落ちたものになりがちなので)。
もちろん普段からバックアップを取っておけば、復元するという手間暇を軽減出来るので、同じEaseUS社のTodo Backup Freeがあるので併用することで地獄みたいなやり直しとおさらば出来るのではないかと思います。
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