Youtubeのブランドアカウント作成と移管

企業でYoutubeのチャンネル管理を行うにあたって、あまりよろしくない管理手法ではじめてしまったが為に、のちのち困ったことになるというケースがあったりします。通常バリバリのYoutuberの場合メインアカウントにChを作らず、ブランドアカウントと呼ばれる複数名で共有して管理する別のChを用意し、サブチャンなども同じ手法で作成して管理するのが定石です。

こうしておけばオーナーが変わったとしてもCHそのものはURLや投稿された動画類なども変わることなく引き継がれて継続することができますが、メインアカウントに作ってしまうとそのままでは引き継ぐことは出来ません。

今回は、そのブランドアカウントについて移譲方法をまとめてみました。

今回利用するサービス

今回の作業はアカウントのCHから他のアカウントへ・・・ではなく、その下にぶら下がるブランドアカウントをもってして所有権を移転する形でコンテンツを移行してみようと思います。

特に野良アカウントの場合は、他にも問題を抱えているため、企業でYoutube動画の管理を行う場合は、Google Workspaceを導入して、正規のアカウントで管理するようにしましょう。通常のGWSアカウントを複数名で使い回すのは規約違反になるので注意してください。

Google WorkspaceでYoutubeチャンネルを運用するコツ - 前編

ブランドアカウントを作成してみる

ブランドアカウントのメリット・デメリット

メリット

このブランドアカウントなのですが、ちょっとわかりにくい存在というかYoutubeでしか利用されていない特殊なアカウントであるため、混乱する人も多いです。そこでちょっと利点をまとめてみました。

  1. ブランドアカウントは他のGoogleアカウント、Google Workspaceアカウントへ所有権を移譲することが可能です。
  2. 所有権移譲してもCH自体のURLやコンテンツのURLは変わりません
  3. Googleアカウント直下のCHと違い、100個まで個別で作成出来、個別に共有権限を設定することが可能です(俗に言うサブチャンはこれで作成されています)

古い記事だとチャンネル名を自由に決められるであったり、チームで共有する機能がブランドアカウント特有の機能みたく語られていますが、別に現在はGoogleアカウント直下に作成したCHであってもチャンネル名は変更出来ますし、Youtube Studio等で他のユーザのアカウントを権限追加すれば、チームで作業は出来ます。

サブチャンネルのようにメインのCHからスピンオフしたようなものや、関連する独立したCHをまとめて1つのGoogleアカウントの配下に集約できるのがブランドアカウントの大きな特徴なのです。

デメリット

ブランドアカウントにして運営をした場合のデメリットを以下に列挙してみたいと思います。

  • 1つのGoogleアカウントに集約されてるブランドアカウントで1つでもBANされると、他のブランドアカウントも全てBANされる可能性があります。特にGoogleアカウント直下のメインCHでBANされるとその配下にいるブランドアカウントは全部同時にBANされてしまったケースがあります。
  • ブランドアカウントの場合、メンバーシップギフトの受け取りが出来ません。また配ることもできません
  • ブランドアカウントの場合、メンバーシップ登録してたものを移行するとバッジが飛び、継続日数が継承されない。
  • OBSでライブ配信する場合、アカウント連携ではなくストリームキーでの連携を利用する必要があります。

企業で運営する場合

企業で運営する場合には、Google Workspaceアカウントを使うことになります。しかし、個人のGoogle WorkspaceアカウントでYoutubeチャンネルを解説して運営すると、通常のgmail.comアカウントで運営する場合とは異なるデメリットがあります。それが「担当者が退職して、GWSアカウントが情シスに削除され、Youtube CHも消える」問題です。

当然、Youtubeパートナーなどにそのアカウントで参加していて、手動申し立てツールなども使えていた状態がすべて吹き飛びます。

故に企業で運営する場合には以下のような運営方法を取る必要があります。

  • Youtubeの運営用の専用アカウントを用意する(退職で削除されるリスクを除去できる)
  • 専用アカウントはCloud Identityでも良いがメールを受け取れる必要もあるので、原則Google Workspaceアカウントを使う
  • 企業の場合、メンバーシップであったりサブチャンという概念があまり無いので、通常はブランドアカウントでそれぞれの目的にあったCHを用意していく
  • 社内向けの動画しかアップしないということであれば、動画を非公開→ドメイン内の全員と共有とでもすれば社内専用で公開になります。これはGoogle Workspaceアカウントでなければ出来ない機能です。

ブランドアカウントの動画に対してGoogle Analyticsなどから計測することも可能です。

図:社内限定で共有できるのを知らない人が多い

ブランドアカウント作成手順

まずは、gmail.comアカウントにてYoutubeのデフォルトのチャンネルとは別にブランドアカウントを作成してみようと思います。ちなみにブランドアカウントの場合、1アカウントで最大100までチャンネルを設けることが可能になります。サブチャンネルなどに利用できるだけじゃなく、1つのブランドアカウントを複数名で共有可能なので、Googleアカウントを使い回すといったNG行為をせずに済みます。

  1. Youtubeを開いてまずは、自身のgmail.comアカウントに切り替える
  2. デフォルトのYoutubeチャンネルがすでにある場合、これは利用しません。無い場合には右上のユーザアイコン→チャンネル作成から作っておきましょう。
  3. 続いて右上のユーザアイコンをクリックして、アカウントを切り替えるをクリックする
  4. チャンネルを全て表示をクリック(この時点では初期チャンネルのみが表示されてる)
  5. チャンネルを作成をクリックする
  6. チャンネル名を入れて作成をクリックする

これで、ブランドアカウント自体が作成されました。ブランドアカウントはメアドなどは持っていない特殊なアカウントなので注意(といっても、IDとしてはxxxx@pages.plusgoogle.comというアドレスは持っていて、Googleアカウントページも用意される)。チャンネルアートや概要欄を適当に埋めたら完成です。

図:アカウントを切り替える場面

図:チャンネルの新規作成

YouTube Studio に権限を移行する

次に、このブランドアカウントに対してたのユーザを招待して権限を付けます。通常はこのアカウント上での権限管理を利用してユーザを招待するわけなのですが、今回はYoutube Studioに対して権限管理を移譲します。移譲した上で他のメンバーを招待してみる。

  1. Youtube Studioのダッシュボードを開く
  2. 左サイドバー一番下の「設定」を開きます。
  3. ダイアログが出てくるので、権限をクリックします。
  4. YouTube Studio に権限を移行するの「権限を移行する」をクリックする
  5. これで、Youtube Studio上でユーザの権限管理を行えるようになります。
  6. ダイアログの右上の招待をクリックする
  7. 今回は自分の持ってるGoogle Workspaceのアカウントを追加してみます。アクセス権は「管理者」として設定します。完了をクリックします。
  8. 自身のGoogle WorkspaceのGmailを開いてみます。ちょっと届くのに時間が掛かります。最大30日まで待ってくれます。
  9. 届いたメールを開くと招待を承諾というボタンがあるのでクリックする
  10. これで、Google Workspaceアカウント側もこのブランドアカウントの管理者になりました。

ただ、元のgmail.comアカウントは所有者であり、招待された側は現在管理者。このブランドアカウントには1本だけテスト用動画をアップしています。

※勘違いしやすいですが、ブランドアカウントでなくとも、アカウントに直接作成されてるCHでもYoutube Studioは使えますし、他のユーザを追加して権限管理は出来ます。

図:権限を移行する

図:移行時に来る招待メール

ブランドアカウントの移管作業をしてみる

注意点

Youtubeのアカウントには、バリバリのYoutuberの場合はパートナープログラムに参加して、収益化やパクリ動画の著作権違反について手動申し立てツールをYoutube Studio上で利用することが出来ます。

このパートナープログラムは参加条件が決まっているので、満たしていれば利用できますが収益化要件クリアが初手でハードルになるかと思います。

問題はこれをブランドアカウントで申請しており、それがオーナー権限の移譲でも引き継がれるのか?といったことはどこにも記載が無い為、できるともできないとも言えない状態です。ただ、その場合は条件を満たしていれば再申請をして承認してもらえればオッケー。また、Youtubeのヘルプセンターに相談すると良いでしょう。

ブランドアカウントでチャンネル消えた。

ブランドアカウントへの移行

ノーマルアカウントからアカウントへ

親のgmail.comにデフォルトで用意されたチャンネルにコンテンツがある場合、このチャンネルはブランドアカウントではない状態であるので、色々と面倒なことになります。当然同じGoogleアカウントに複数名でログインしての運用はNGです。

故に作成したブランドアカウントに対してコンテンツ関係を移行出来ないか?そういった場合には以下の手順で作成したブランドアカウント側にチャンネルコンテンツを移行することが可能です。

  1. Youtubeのトップを開いて、gmail.comのアカウントでチャンネルを切り替える
  2. 左上のユーザのアイコンをクリックして、設定をクリックする
  3. 左サイドバーの一番下の「詳細設定」を開く
  4. チャンネルをブランド アカウントに移行するをクリックする。
  5. まずgmail.comへのログインを再度促されますのでログインします。
  6. このチャンネルの移行先にするアカウントの選択に作成しておいたブランドアカウントがいるハズなので「置き換える」をクリックする
  7. このチャンネルを削除しますか?と出るので、理解した上で続行するのチェックを入れる
  8. チャンネルを削除をクリックする
  9. チャンネル移行更新をしてもよろしいですか?と出るので、チャンネルを移行をクリックする
  10. チャンネルが移行されました。と出るので、10分程度の時間を置いて、ブランドアカウント側に入ってみる。

統合されるものだと勘違いしてる人がいますが、移行先のブランドアカウントのコンテンツとCHは消滅します。そのブランドアカウントに対して元あったCHとコンテンツが上書きで移行されてくるのです。ですが移行させた動画やCHのURLは変わらないのです。

図:ブランドアカウントへの移行

図:チャンネルを置き換えちゃいます

移行後の内容の変化

さて、これで親のgmail.comから作成したブランドアカウントへコンテンツの移行が行われました。これで何が変わるのか?変わらないのか?が結構重要な要素です。

以下の内容が削除されます。これは元のgmail.comアカウントのCh側の話です。削除されるのでチャンネル無しの状態になります。移行のリスクをよく読んでから移行作業をしましょう。

  • このチャンネル自体(動画、チャンネル登録者、高評価、その他のチャンネルのコンテンツを含む)
  • YouTube で投稿したコメント
  • コメントに対する返信や高評価
  • 検索履歴と再生履歴
  • ギフト設定

さて、移行先のブランドアカウントではどうなるのか?ここがややこしいですが、作成しておいたチャンネルが元のChとそっくりそのまま移行されます。よって、同じアイコンのアカウントが2ついるように見えます(アカウント名も変わっていますが、ブランドアカウントのID自体は変わっていません)。

  • YouTube全体でチャンネル名とアイコンが元のChと同じものにチェンジされます。
  • チャンネルの URLは変更されません。但しこれはブランドアカウントのURLが元のCHに置き換えられたという意味ではなく、ブランドアカウントにあったURLはそのままだという意味です。
  • 一部のコンテンツは転送できません
  • チャンネル所有者によって提供されたクリエイターのユーザー属性情報は削除されます。
  • •権限に基づいて行われたチャンネルの委任はすべて、削除されます。移動して、委任を再度追加する必要があります。
  • 登録者数などの情報はそのまま移管されます。ユーザからしたら移管されたことに気が付かないでしょう。

自身が追加したGoogle Workspaceの管理者アカウントは権限追加も消えてしまうので、Youtube Studioに権限移譲からアカウント追加まですべてやり直しになります。動画につけられた評価やコメント類は消えたりはしません

アカウントのアイコンやチャンネル名は元のCHにあったものに置き換わるため、それまで存在していて上書きされた側のブランドアカウントは消えるので注意。

図:ブランドアカウントに元Chが上書きされた感じ

通常のgmail.comアカウントから所有権移譲

まずはオーナー権限を移譲する

前述までは自身のアカウント→ブランドアカウントへのコンテンツというかCHの移管を行いました。しかしこれは、あくまでも同一所有者の状態になっています。今回は、Google Workspaceの追加ユーザに対して作成したブランドアカウントの所有権をそのまま移譲します。

この時に、権限管理がYoutube Studio上で管理になっている場合には、所有権の移譲が出来ないので、Youtube Studio→設定→権限のダイアログ内にある「YouTube Studio で権限を無効にします。」のリンクをクリックし、指示にしたがって移管しましょう。

以下の手順で所有権管理を移譲します。

  1. Youtubeのトップページを開く
  2. 右上のユーザのアイコンをクリックして設定をクリックする
  3. チャンネル管理者の「管理者を追加または削除する」をクリックする
  4. 権限を管理をクリックする
  5. ダイアログ右上の「新しいユーザを招待」をクリック
  6. ユーザのアドレス(今回はGoogle Workspaceのアカウント)を入力して、すぐ下の権限は「オーナー」を指定します。
  7. 招待をクリック。6.のアカウントにメールが飛ぶ。
  8. 招待メールを開いて「招待に応じる」をクリックし、承認をクリックする。

これでオーナーとしてブランドアカウントの所有権を持った・・・ことにはならないです。実は確かにオーナーではあるのですが、まだ自分のGoogle Workspaceアカウントにこのブランドアカウントは出てこないで、元のオーナーのアカウントにぶら下がってる状態になります。

図:ブランドアカウントで権限管理が必要

図:ユーザを追加して招待する

図:オーナー承認をする

7日後以降にメインオーナーに移譲

Google Workspaceアカウントが元のGoogleアカウント配下にあったブランドアカウントのオーナーにはなりました。しかし、真の所有権移転がされておらず、足らないのです。この作業は前述の承認をしてから7日を経過しないと実行することが出来ません

対象のブランドアカウントの権限管理画面を出してから、以下の作業を行います。

  1. 権限管理をクリックする
  2. 自分のGoogle Workspaceアカウントがオーナーとなってるので、それをクリックしてメインのオーナーに変更する
  3. プライマリオーナー云々のメッセージが出てくるので、譲渡をクリックします。
  4. あとは古い元のオーナーのアカウントの権限を削除しておきます

これで真のオーナーになり、元のgmail.comアカウントからGoogle Workspaceアカウント側へブランドアカウントの移譲が完了します。

図:メインのオーナーになって初めて完了

図:すべてのチャンネルに無事表示された

勘違いしやすい問題

メインのオーナー移転によって、gmail.comの所有していたブランドアカウントはGoogle Workspaceアカウントの対象の新メインのオーナーの下に所属するようになるので、Youtube上のチャンネル変更でリストに出てくるようになります。

しかし、ここで混乱というか勘違いしやすいのが

  • xxxx@pages.plusgoogle.comというブランドアカウントの本体のGoogleアカウントは変わらず存在してる
  • Googleアカウントの名前が当然ですが、YoutubeのCH名とイコールではない
  • 当然設定したCHのアイコンはそのまま、Googleアカウントとは違うアイコンである。
  • 移行されてるのに、前者だと勘違いして移行されていない・・・と思ってしまう

YoutubeはYoutube、GoogleアカウントはGoogleアカウントで全くアイコンも名前も別個独立した存在なので、オーナー移転する前に移転させるブランドアカウントの名前とアイコンを覚えておきましょう。

野良のドメインアカウントからの移管

Google Workspaceのテナントドメインを使ってるけれども、中身は管理対象外なユーザという野良アカウント。見た目はGoogle Workspaceのユーザみたいに見えますが、実態はgmail.comと変わらないです。このアカウントでCh展開をしていて自社でGoogle Workspaceを導入済みならば本来はアカウントの移管を行わなければならない対象です。

しかし野良の状態にあるため、以下のエントリーにある管理対象外ユーザの移行ツールを用いて、対象アカウントに対して移行依頼のメールを送信し、相手側アカウントで承認をすることでドライブのデータなども含めて、同じメールアドレスのまま本来あるべきテナント側にアカウントやYoutubeチャンネルはすべて移行されます。

実際に野良アカウントを作成して、メインCHおよびブランドアカウントを作成し、それぞれに動画1本アップして移管してみましたが、テナントのユーザ(今回はCloud Identity Freeライセンス)として追加され、YoutubeのCHおよびブランドアカウントを対象アカウントで確認したところ、CHのURLや動画のURLは変更なく、またブランドアカウントについても合わせてバッチリ移管されていました。

Google Workspaceの管理対象に含まれないユーザ用の移行ツールを検証してみた

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