OneDriveからGoogle Driveへ移行するツールを検証してみた

2024年10月11日、小規模向けのMicrosoft365のOneDrive→Google Driveへの移行ツールが公開されました。これまでの引っ越し手段としては、中規模まではrcloneを使っての移行や大規模だとGoogle Workspace Migrateくらいしか手段が無かった中で、小規模向けですがOneDriveから個別ユーザのファイルの移行手段が出来たのは大きいです。

ただし、小規模向けということもあり制約もあるため、Microsoft365からGoogle Workspaceへの引っ越し手段として使うには色々と考慮する必要があるので要注意。

今回利用するツール

Business Starter以上で利用が可能となっているため、Google Workspaceであれば全エディションで利用できる状況です。管理者用ツールであるため、Google WorkspaceおよびMicrosoft365の特権管理者権限が必要になります。公式ドキュメントはこちらになります。

※ちなみに逆方向のGoogle DriveからMicrosoft365への移行はすでにMicrosoftから移行マネージャというツールが出ており、Gmailについても移行ツールがだいぶ前にリリース済みです。

rclone browserでGoogle Driveにガッツリ同期させる

制約事項

本ツールは以下のような制約要件があります。よって大規模な移行には向いていない為、中規模以上の場合にはrcloneGoogle Workspace Migrateのような専用の引っ越しツールを使う必要性があります。(こちらに詳細が掲載)

  • OneDrive専用であるためSharepointのデータの移行は出来ません。個人のデータを個人のドライブに引っ越す為のツールです。
  • 1度に移行できるユーザは100名までの上限が設けられています
  • ファイル、フォルダ、アクセス権限の3つを移行することが可能です
  • 外部共有をしてる場合のアクセス権も移行しようとすると、外部メンバーに対してバンバン通知が飛ぶことになるので、事前連絡するか?外部共有を外しておきましょう。
  • OneDrive内の以下の特殊フォルダ等は移行対象外です
    • 個人用Vaultのファイル
    • お気に入り
    • フォルダのショートカット
    • フォルダ色
    • ドキュメントの有効期限
  • 共有ドライブへの移行はサポート対象外です。あくまで個人データの移行のみです。
  • 過去のリビジョンは移行対象外。あくまで最新版のファイルのみが移行されます。
  • 外部ユーザが作成したファイル・フォルダは移行対象外です。
  • ダウンロードブロックのポリシーを設定してあるファイルは移行対象外です。
  • ツールに於いてマッピング対象としたユーザのみが移行されます。
  • アクセス権限は移行されますが、カスタム権限ロールではなく標準の権限としてのみ移行されます。

図:ダウンロードブロックは解除しておきましょう

事前準備

以下の作業はすべてGoogle Workspaceの管理コンソール上で行います。既に利用可能な状態になっているので、管理者権限があれば移行を即時に開始することが可能です。

Microsoft365と接続する

以下の手順で移行ツールとMicrosoft365を接続する必要があります。

  1. 管理コンソールにログインする
  2. 左サイドバーより、データ→データのインポートとエクスポート→データ移行(新規)をクリックする
  3. パネルに「Microsoft OneDrive」があるので、移行をクリックする
  4. Microsoft OneDriveに接続するをクリックする
  5. Microsoftアカウントログイン画面になるので、M365側特権管理者のアカウントでログインする
  6. 要求されているアクセス許可が出てくるので、承諾をクリックする

これで接続は完了しました。

図:OneDriveから移行ツールを利用する

図:要求されるスコープ

移行マップデータを作成する

移行スコープCSVを作成する

手順2では移行させるユーザの一覧を100名までを上限でCSVファイルを作成してアップロードします。

  1. 移行のスコープを設定するをクリックする
  2. 手順2にある「サンプルCSVをダウンロード」をクリックする。(migration_maps_sample.csvというファイルがダウンロードされます)
  3. LibreOfficeなどのツールでサンプルCSVを開く
  4. Source OneDrive Userの列にMicrosoft365側のユーザのユーザプリンシパルネーム等を入れる(いわゆるメアド)
  5. CSVとして保存し直す
  6. 管理コンソール側のステップ2の「CSVをアップロード」をクリックして、CSVファイルを指定します。

これで移行対象ユーザの追加は完了です。

図:ユーザ一覧をCSVとして保存する

移行マップCSVを作成する

次の「移行元と移行先のユーザーをマッピングする」ですが、Google Workspace側で利用してるドメインやユーザのメアドと、Microsoft365側で利用してるドメインとユーザのメアドが異なる場合、そのままでは当然移行が出来ませんので、これを1:1で対応する作業がこの手順になります。

以下の手順でCSVを作成してアップロードする必要があります。

  1. 移行元と移行先のユーザーをマッピングするをクリックする
  2. 管理コンソールの手順3における「サンプルCSVをダウンロード」をクリックしてダウンロードする(identity_maps_sample.csvというファイルがダウンロードされます)Source Emailの列はMicrosoft365側のユーザのユーザプリンシパルネーム等を入れる(いわゆるメアド
  3. Source Emailの列はMicrosoft365側のユーザのユーザプリンシパルネーム等を入れる(いわゆるメアド)
  4. Destination Emailの列はGoogle Workspace側のユーザのメアドを入れる
  5. CSVとして保存し直す
  6. 管理コンソール側の手順3の「CSVをアップロード」をクリックして、CSVファイルを指定します。

これでマッピングまで含めて完了しました。

図:IDマッピングも必要になるでしょう

移行を実行する

いよいよ実行しますが色々と注意点があります。以下の手順をその必要性まで含めて理解し実行する必要があります。

移行実行開始

手順的には手順4の移行するにある「移行を開始ボタン」をクリックするだけなのですが、この時点で

  • データ移行用のクライアントIDが発行されます
  • クライアントIDに対して自動的に対象APIに対するドメイン全体の委任が付与されます。

といった作業が行われます。

移行完了後、レポートを元に失敗した内容などを確認してみたりしますが、これで完了ではなく移行開始時から完了までの間のデータやエラーになってるけれども再実行で救えるものもあるので、次項の差分実行を必ずを行いましょう。

図:レポートを見て差分実行を行う

差分実行をする

前述にもあるように、移行開始時から完了時までの間のデータや、エラーになってるけれどネットワークエラーなどでエラーとなってるものについては再実行をすることで移行できます。再実行で重複することは無いので、「差分移行を実行」をクリックします。(通称デルタ更新と呼ばれてるのがコレ)

移行済みデータはスキップされますので短時間で完了するはずです。

また今回は、移行中にファイルを移動したり追加されたらどうなるのか?を含めて、これらのアクション後に差分実行を行っています(実際相応の量がある場合には、移行実行時から完了までの間のファイルについては処理対象外となってしまうので、差が生じてるハズです)。問題がなさそうであれば「移行を終了する」をクリック→移行を終了して削除を実行して完了となります。

※ファイル移動して再実行した結果、一旦移動されたファイルはきちんと別のフォルダに移動してくれました。重複してファイルがコピーされることはありません。

図:移行終了をクリックするのを忘れずに

移行結果の比較

特に特別なフォルダが作成されてその中にOneDriveのファイルが・・・といったことではなく、マイドライブ直下にそのままの状態でファイルがコピーされていきます。ルート直下のものはそのままルート直下、フォルダに入ってるものはフォルダが作成されて移行されます。

サブフォルダもきちんとツリー構造を保ったまま移行されています。OneNoteのファイルについてだけはoneやらonetoc2といった謎ファイルになっていますが未対応ファイルなので仕方有りません。このあたりは移行前に別の形式に変換しておくと良いでしょう(TextやWordなどのファイル形式に)。

概ね良い感じで移行出来ているのではないかと思います

図:OneDrive側の見え方

図:Google Drive側の見え方

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