GSuite Businessプランを選択する利点
個人でどれくらいG Suiteを利用している方がいるかわかりませんが、中小企業の多くでは「G Suite Basic」を利用していると思います。通常のG Suiteでも十分すぎるほど運用は可能ですが、もうワンランク上の「G Suite Business」を採用すると、実はお得な面が非常に多いです。自分は研究の為に個人でG Suite Businessを利用しています。
とりわけ、Basicで利用し続けて4年くらい経過してくるとリテラシーの向上につれて、物足りなさを感じる面があると思います。今回のエントリーはG Suite Businessのお得な面に注目し、レビューしてみたいと思います。現在プロモコード適用で初年度20%割引になっています。
※2020年10月6日のGoogle Workspaceへの以降に伴って大幅にBusinessプランの内容に変更が生じています。ご注意ください。
目次
Google Drive
容量無制限
5名以上のメンバーの場合、BusinessではGoogle Driveの容量は無制限になります。4名以下の場合には1TBまでに増量となります。。共有ドライブの1日あたり転送量750GB制限はありますが、通常使う分には全く問題ないどころか、容量無制限は業界最安値です。すでにBusinessの方はこちらから無制限になっていることを確認可能です。
企業などで利用する場合にはBasicの30GBはすぐに埋まってしまいがちです(これが結構あとで苦しくなるんです)。ちなみに、Googleドキュメント類は消費容量は0バイトです。
有償のGoogle Oneというサービスがありますが、2TBで月に10ドルです(5人までシェア可能)。既存のGoogle Driveに課金をすることで増量されます。100GB増量で250円/月であり、家庭向けで家族でシェアすることも可能。そう考えると、G Suite Businessで1300円払って無制限は非常にお得なプランです。
また、写真の場合はGoogle DriveではなくGoogle Photoでアップロードすることになりますが、1ファイル75MB(写真)、動画は10GBまでは無償でDriveに無制限でアップロードが可能です。クオリティは1600万画素、1080pです。ソレ以上の品質の場合、Google Driveの容量を消費する仕組みになっています。Businessならばこれも無制限となりますので、企業ユースならばBasicよりもBusinessというのは理にかなった選択肢です。
※メールもGoogle Driveの容量を消費します。特に添付ファイル。容量パンパンでメールの整理で容量空けるという作業が、Businessの場合は一切不要です。
図:ドライブ容量無制限で使える時代到来
図:Photosも無制限。画質落とさなくて良いです
Team Drive
Google Driveはファイルサーバとは異なり、中央集権なサーバではありません。個人同士でファイルを共有しあって構成するドライブなので、ファイルやフォルダの構成が人によって異なって見えます。そこで使いたいのがチームドライブ。このドライブは以下の特徴があります。Box for G Suiteをあえて使うならば、この内容を超えるような大規模共有を構築が必要且つお財布に余裕のある企業となりますね。
※但し、Box for G SuiteはたしかにBox内でG Suiteアプリが使えますが、Google Apps Scriptが使えません
- プロジェクト単位で参加者全員で共有するドライブ
- どのユーザが見てもフォルダ構成は同じになる(人によってあるファイルが見えないとか、フォルダが出てくることがない)
- 組織全体のドライブ容量から消費されるので、個人のドライブの容量を消費しない。
- 共有スタイルはチームドライブ単位、ファイル単位。フォルダ単位では共有は出来ない。ファイルの共有もチーム参加者ならば制限を受けない。あくまで第三者が対象となる。
- ファイルにオーナーは存在しない。チームドライブがオーナーとなるので、誰かが退職したといったことで、ファイルが消えたりアクセスできなくなるといった事がない。あくまで組織の持ち物になる。
- Google Drive File Streamでもチームドライブは別扱いになる。
- マイドライブの共有よりも反映が早くすむ
ただしこのドライブは制限もあります。
- 1ドライブにつき40万アイテム
- フォルダは20階層まで
- 1日あたり750GBまでのアップロード制限
- ファイルサイズは5TBまで
- 参加可能グループおよびユーザは600まで(1グループ1とカウント)
- 人数上限は50,000人まで
- ただし延べ人数つまり、同じユーザが複数ドライブに所属しても1人としてカウントされます。
- マイドライブにはこういった制限がないですが、ファイル数やフォルダ階層が深くなればなるほどパフォーマンス低下する傾向
図:共有画面が通常のドライブとは異なる。
ビジター共有機能
概要
2019年のGoogle I/Oでは発表されていたものの、遅れに遅れて2020年8月31日に早期リリースで公開された「Googleアカウントを持たない人とドライブアプリで協業の出来る機能」であるビジター共有機能がようやく利用可能になりました。
外部の協力会社や協業を行うメンバーとの間でこれまで、相手がGoogleアカウントが無い場合には、1つのスプレッドシートなどで共同作業が出来ませんでした。しかしこの機能を使うことで、アカウント無しでPINコードを使ってログインし、作業が出来るようになるというもの。Businessプラン以上で利用が可能です。この機能の対象となるのは
- ドライブ
- スプレッドシート
- ドキュメント
- スライド
- サイト
のメインとなるアプリです。但し利用するには管理コンソールから有効化する必要があると同時に、組織外とのファイル共有もONにする必要があります。メリットとしては
- PINコードは連絡用メアドがあれば発行して通知まで一括で行えます
- Googleアカウント同様に、そのメアドに対して編集や閲覧などの権限付与をコントロール可能
- 相手はアカウントなしで編集作業が出来る
- こちらは相手にわざわざファイルをダウンロードや変換して、メールベースで渡し合いの手間を掛ける必要がなくなる
しかし、組織外との共有を必要とするため、リスクとして
- 外部共有されたままファイルの管理が放置され、外部流出の可能性が高まる
- 無関係のファイルまで外部共有オッケーになってしまうため、意図せず外部共有してしまい流出の可能性が高まる
- 第三者にPINコードが漏れることで、協業相手以外にファイルを改竄される可能性もある
ということで、日本では正直なかなか使うにはユーザのITリテラシーや管理手法(外部共有用に別ドメイングループをG Suiteに設けてそこで共有させるなど)が必要になってくるので、なかなか使えるかどうか・・・
使えるようにする
管理者権限で管理コンソールから機能をオンにする必要があります。デフォルトではオフになっています。また、前項のようにリスクがある機能なので、よく考えた上でONにする必要があります。
- 管理コンソールに入る
- アプリ⇒G Suite⇒ドライブとドキュメントの設定に入る
- 共有設定を開く
- 共有オプションをクリックする
- オン - オーナーが hogehogeのユーザーであるファイルは、hogehogeの外部で共有できます。この設定はすべての共有ドライブのファイルに適用されます。を有効にする。
- ウェブ上でファイルを公開したり、一般公開ファイルや限定公開ファイルとして一般ユーザーが閲覧できるようにしたりすることを officeforest のユーザーに許可する。をオンにする
- また、一個上のホワイトリストを用いた許可の場合には、hogehogeの外部にいる、Google アカウントを持たないユーザーに共有の招待状を送信することを hogehoge のユーザーに許可する。を有効にする必要がある。こちらのほうがリスクは低くなるが、ホワイトリスト管理にドメイン登録必要。
図:人数の多い組織だとちょっと不安な設定
PINコードの発行と共有方法
実際に、特定のファイルを企業外部の人間にPINコードで共有できるように作業をしてみましょう。以下の手順で行います。
- Googleスプレッドシート等のファイルを右クリック⇒共有をクリック
- メアド欄に普通に相手のメールアドレスを入れる
- 組織外のメンバーと共有しますか?と出るので、「このまま共有」をクリック
- 相手に共有メールが飛んでいく
- メールの中の「Open in Sheets」をクリックする
- メールアドレスの確認画面が出るので「送信」をクリックする
- Google確認コードというPINコードメールが再度自動でメールで送られてくる
- PINコードをログイン画面に入力して、次へをクリック
- You're Currently Signed in as と出るので、OKをクリックして編集作業へ
ただ、現在はまだログイン後のUIが英語のままで変更方法が見当たらない。
また、権限を編集者にしてしまうと、設定者が外さないとずっと権限が残ったままになってしまう。一時的な権限の場合閲覧とコメントのみ。後者の場合、期限を設定可能になってるけれど、なんで編集者にも期限を設けないのか?ちょっと中途半端で扱いにくい機能だ。
図:送り手はこれまで通り普通にメアド入れて送信するだけ
図:相手はこのメールを受け取る
図:PINコードメールが届く
図:アカウント名がVisitorになってる
図:一時的な権限の場合編集できず、編集権限だと期限を設定できず
外部共有ホワイトリスト
医療機関や企業秘密の多い企業では、通常は外部共有はオフにするのが定石です。ユーザレベルで外部の人間を招待してしまったり、予期せぬレベルでファイルやフォルダが共有され、必要以上に公開しかねない為です。ですが、子会社やグループ企業である場合ならば、逆にこの制限は面倒な事になります。
そこで、ホワイトリスト機能を利用して、特定ドメインのユーザの場合は招待やアクセスが容易にできるように、ホワイトリスト機能が設けられています。50ドメインまでアクセスが可能で、Google Classroomでもこの共有を使えば、グループ企業にe-Learningに参加してもらうことが可能になります。
ホワイトリストは以下の手順で登録が可能です。
- admin.google.comにアクセスする
- ドメインをクリック
- ホワイトリスト登録済み外部ドメインに登録する
図:ホワイトリスト登録画面
メタデータで管理機能
Google Driveのファイルの検索は通常、ドキュメントタイトルおよび本文検索、ドキュメントのタイプにて可能になっています。しかし、実際に業務で使用するとなると、これだけでは足りず、例えば他のウェブサービスにあるような「タグ付け」や「カテゴリ分け」などをして、複数のファイルやファイルタイプに対して、同一のタグを付けることで効率よく目的のファイルにアクセスが可能になります。
とりわけ、ドライブのあちこちに分散され存在するものに対して同一タグをつけておけば検索時に、そのタグがついてるものを簡単にリストアップが可能になるわけです。またDrive APIなどからの検索に於いても、このメタデータを利用すれば非効率なコードを書かずに、ファイルをリストアップできるわけです。
本機能はGoogle Cloud Next 2019で発表された機能で詳細は、Cloud Next 2019のエントリーに追記しました。
Cloud Search
Cloud Searchは以前、Google Springboardと呼ばれていたもので、アーリーアダプタープログラムの時にはBasicプランのユーザでも利用できていたのですが、現在はBusiness以上のユーザでなければ利用が出来ません。
これはG Suite全体を検索対象にするもので、同じキーワードでDrive、メール、カレンダー、グループその他諸々すべてを検索対象とする検索エンジンです。実はAPIが提供されていて、複合検索機能の結果をプログラムから利用することも可能です。この手の複合検索はGoogleならではですね。
ドライブにあったか?メールに添付したのか?そもそも、ファイルだったっけ?など彷徨うシーンの多い人には重宝する検索エンジンです。
※Google Cloud Next 2019にて、サードパーティ製のアプリのデータも検索対象になりました。SAPやSales ForceなどのデータもGoogle Drive上にあるデータはCloud Searchのインデックス対象になれます。
図:G Suite用複合検索エンジン
App Maker
※2020年1月、終了が決定。4月には新規作成ができなくなり、2021年にはシャットダウンします。App MakerではなくAppSheetを使うべしという御触れが出ています。
G Suite Business以上にはもう一つ大きな特典があります。それが、App Makerというアプリ。これ、何をする為のものなのかというと、ノンプログラミングでG Suite上で利用するアプリケーションを構築する事のできる、kintoneのようなサービスです。
UIがまだ英語ですが、日本は利用可能です。容易されているパーツを組み合わせて簡単にアプリを作る為のもので、バックエンドにはCloud SQLのMySQLも利用が可能です。イメージとしてはクラウド版のMicrosoft Accessのようなもの。ノンプログラミングとは書きましたが、もちろんスクリプトを書くことも可能で、GUIでリレーションシップの構築なども可能です。
データベースを基準としたデータの出し入れなどをするアプリはビジネスの基本。イベントもちょっと特別なものが用意されています。作成したものはファイルとしてGoogle Drive上で管理されます。実際に作成したアプリはPublishで生成したURLにアクセスして利用する事になります。作成されたアプリは、HTML Serviceを使ったアプリそのものなので、Google Siteに貼り付けて運用が可能です。
Google Apps Scriptでフルスクラッチで組むのよりも画面遷移を伴うアプリなどは非常に簡単に作れるのは良いポイントですね。デザイン苦手な自分にとっても👍。また、Access的な使い方で構築できるものは他に代替がないのと、kintoneと違いガチのDBが使えるので、自由度も可用性も高いので、このサイトでもいろいろ紹介していきたいですね。
図:UI構築画面
図:テーブル間のリレーションシップ作成画面
図:もちろん、Google Apps Scriptも利用可能
高度な管理機能
Google Vault
Google Vaultとはそういった名のアプリがあるわけじゃなく、G Suiteに備えられている仕組みで、Basicの場合1名あたり600円で追加装備のできる機能です。アプリではないので普段気にすることはないですが、例えば企業が訴訟に巻き込まれた際に、組織、部門、個人単位でのメールやチャット内容のアーカイブを、すばやく情報開示できるようにする為の機能です。
おもに情報漏えい時やなんらかの訴訟時に、提出を求められるときに電子的にそれを提出する必要があります。しかし、専門の担当がいない、またその情報の開示は骨の折れる作業なので、これをお助けする為の機能です。データのエクスポートも可能。設定自体はこちらのサイトから行います。指定した期間データを保持し、開示要求に備えます。
図:えらくシンプルなインターフェース
Driveの監査ログ
Google Driveの各種ファイル類について、個々のファイルは編集履歴を見ることで編集した結果だけは見る事が可能です。しかし、閲覧履歴やどのように編集したのか?また誰がいつどのような形でといったデータはBasicでは得る事ができません。
G Suite Businessでは匿名ユーザまで含めてありとあらゆるアクセス履歴を得る事が可能になっています。過去に自分のいた組織でも、特定のファイルに対して目を通してるかどうかをチェックしたいという所属長の方の要望がありました(申送り事項や連絡内容など)。これらはG Suite Businessでは監査ログとして取得する事が可能です。
また、この機能はBasicではActivity API、BusinessではDrive Activity Report APIでアクセスが可能です。管理者向け機能ではありますが、特定の管理職にアクセス権限を付与してAPIを用いた管理アプリをGASで作ったら、現在のG Suiteアプリに更なる付加価値をつけることができますね。
図:細かなユーザ単位、ドキュメント単位の追跡が可能
端末監査ログ
端末監査ログとは、PCやモバイルデバイスの使用状況に於いて、不正使用がないか?アカウントなどを新しいデバイスに追加した場合のアクティビティ、アプリの導入状況などを監査できる機能です。MDMなアプリケーションなどでも見かける機能ですね。それのG Suite版です。iOSやAndroidが対象になっています。
PCに於いてはWindows, macOS, Chrome OSが対象になっていることから、ChromeBookもその対象になります。
※他にも細かく、パスワードセッションを長くする設定や、サードアプリに対するシングルサインオンの自動プロビジョニング、また最近では、BigQueryコネクタ for スプレッドシートなどのサービスは、Business以上になってます。差別化が始まってますね。
Google Apps Script実行時間の緩和
恩恵はこれだけではありません。Google Apps Scriptを実行する上でのQuota、つまりGoogle Apps Scriptの連続実行時間制限が6分⇒30分に緩和されます。アプリを作る幅が広がりますね。
30分に緩和されることによって、6分の壁を突破するテクニックや高速化するテクニックを使わずとも、また多少ラフなスクリプトでも制限をクリアできるようになります(だからといってこれらのテクニック身につけなくて良いという事でもないですが)。
Meetの会議参加上限数
Googleのリモート会議システムであるMeet。TeamsやSkypeと同じジャンルのアプリケーションですが、テレワークやリモート会議などで普段から活用されてる人も多いでしょう。今回のコロナ騒動でMeetを使ってのリモートワークで出張旅費の削減や時間の削減、研修なども同時に多数の地域で展開など、企業のコスト低減ではもはや当たり前の存在になりました。
現在は、Meetはフリーアカウントでも利用が可能になっているので、外部のお客様でも無償のGoogleアカウントがあればブラウザのみで利用が可能です。
このMeetもBasicとBusinessでは以下の差があります
- Basicは最大100名まで。Businessでは150名まで同時に参加が可能です。
- 会議の録画はEnterprise限定でどちらも使えません
中小企業の全体会議や大規模ライブ研修などで50名の差は意外と大きいかもしれません。