Chrome OS Flexで古いPCを蘇らせる

以前、古いPCをWindowsではなくオープンなChromium OSを入れることで再生する「Cloud Ready」と呼ばれる仕組みがありました。現在この仕組は、Googleに買収されて、2022年2月19日に「Chrome OS Flex」として正式にリリースされました。オリジナルのCloud Readyとは少々異なる点があるのと、古いPCを活用する手段としては最高の手段であるため、深堀りしていきたいと思います。

図:最新版からロゴが変わった

今回の作業に必要なファイル等

  • Chrome OS Flex
  • USBメモリ - PC側がUSB3.0対応ならば、3.0対応のUSBメモリを使いましょう

16GB程度のUSBメモリがあれば十分です。Chrome OSの様々な設定等についての詳細は以下のエントリーを参考にしてください。

HP Chromebook 14aを徹底的に活用してみる

実際に使ってみる

システム要件

古いPCを再生するといっても、あまりにも古すぎるものはさすがに動かせないようですが、以下の要件に該当するものであれば稼働が可能になっています。自分が色々と調査してみた結果も以下に含めています。

  • 2010年以降発売のPCもしくはMAC
  • 64Bit対応のCPU(IntelとAMDといったx64のCPU) - ARMでは動作しません
  • 4GBのRAM
  • 16GBのストレージ
  • Intel GMA 500、600、3600、3650のGPUでは動作しない
  • VMwareなどの仮想環境では起動自体しない(一部を除く)
  • 実機のChromebookで利用しても起動自体しない
  • 2015年以降のMacbookなどでは起動はしても、トラックパッド・キーボードが認識されない(USB接続のものがあれば動かせる)
  • 割と新しい、マウスコンピュータのG-Tuneデスクトップ機はロゴマークでフリーズする

USBメモリから起動やインストールが必要であるため、USBブートの設定をBIOS画面から起動順番を優位にしておく必要性があります。ここだけが大きな障壁であると思います。公式ページにはChrome OS Flex認定モデルリストがありますが、記載が無いから動かないということではありません。

しかし、印象としては結構動作しないものが多いなという印象です。

※一部マシンではBIOSでSATA Controll ModeをAHCIからCompatibleに変更することで動くという情報があるので、うまく起動しない場合は試してみると良いでしょう。

USBインストーラを作成する

今回は、いつかの環境で動くかどうかチェックしてみようと思います。以下の手順でUSBインストーラを作成しましょう。PCでもMacでも同じものを利用します。

  1. Chromeでこちらのページにアクセスする
  2. 拡張機能である「Chromebookリカバリユーティリティ」をChromeに追加する
  3. 拡張機能としてインストールされるので、Chromeの右上のパズルのアイコンをクリック⇒ Chromebookリカバリユーティリティをクリック
  4. リカバリユーティリティが起動するので、USBメモリをPCに差し込む
  5. 続けるをクリックして次に進む
  6. リストからモデルを選択をクリックする
  7. メーカーを選択をクリックし、「Google Chrome OS Flex」を選択
  8. 続けて下の選択肢では、Google Chrome OS Flex (Developer Unstable)を選ぶ
  9. 続行をクリックする
  10. USBフラッシュドライブまたはSDカードを挿入にて、認識されてるUSBメモリを選ぶ。
  11. 続行をクリックする
  12. 作成画面では「今すぐ作成」をクリックする。するとドライブに起動イメージが書き込まれる(約5分で完了する)
  13. 途中、ChromeからUSBメモリへの直接アクセスの許可を求める画面が出る場合があるので、許可をしてあげます。

完了したら、PCの電源を切り、USBメモリを刺して起動するだけなのですが、PCの場合はBIOS画面にて、事前にUSBメモリからの起動を上位にしておく必要性があります。

図:拡張機能からディスクを作成する

図:Chrome OS Flexを選択する

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ディスクイメージ

Chrome OS Flex

Chrome OS Flexの焼き込み用のディスクイメージは、chromeos_14516.0.0_reven_recovery_dev-channel_mp-v2-quickfever.binとして公開されており、Rufusなどのツールを使って直接USBメモリに焼き込む事も可能です。

ファイルへの直リンクは、こちらから。ZIPで圧縮されてるので解凍してbinファイルを取り出し、これをrufusで焼き込みます。ただしこのイメージをqemu-imgなどでvmdkに変換しても仮想マシンでは利用できません。ISO変換もしてみましたが、利用出来ませんでした。但し、このimageファイルはqcow2ファイルなので、QemuやUTMでは利用できました。以下のエントリーを参照してみてください。

M1 MacやiOSでも動く高機能な仮想環境UTMを使ってみた

CloudReady

どうしても仮想マシンで使いたい人は、CloudReadyの最終版(Chrome 83相当)がVMware用に仮想HDDで公開してるもので我慢しましょう(アプデを4回実行すると、Chrome 94.4.4相当になります)。Intel VT-xをオンにしておかないとLinux仮想環境はオンにできないので要注意(自分の環境ではなぜかオンに失敗した)。

噂によるとそのうち、CloudReadyはアプデでChrome OSになるらしい・・・・

※Redditによると、VMwareやVirtualBoxでは動作しないものの、qemuでは動作したようです。KVMでも動作するようです。

2022/03/01 - 新しいアプデが来ました。96.3.22が来ています

2022/05/14 - なぜか新しいアプデが来ました。96.4.86が来ています。

※Macbook Pro 2016上のVMware Fusion上のCloudReadyでCroshの起動は、CommandではなくControl+Option+Tキーで起動可能

Linux仮想環境ですが、Macbook Pro 2016の場合、どうがんばってもオンに出来ず。(Nested Virtualizationが出来るかどうかで引っかかってるようです)

図:CloudReadyをVMware Fusionで動かしてる様子

図:Linux環境をオンにしてみた

起動してみる

Macbook Airで使用してみる

Macbookの場合は、Windows PCと異なりBIOSと呼ばれるものが有りません。よって、USBメモリからの起動準備は不要ですが、以下の手順で起動が必要です。今回は、Macbook Air 2013(Core i7, 8GB RAM, 500GBのSSDに換装済み, 重量1kg)を利用しています。

  1. Macbookの電源が落ちてる状態で、USBメモリを刺しておく
  2. オプションキーを押したまま電源を入れる
  3. いつもと違う、ブートデバイスを選択する画面が出るので、ネットワーク(WiFi)をまずは選びます。
  4. ブートデバイスは、EFI Bootをクリックし、Enterキーを押す
  5. Welcome to CloudReady 2.0」と出たら、変なダイアログが出てきた場合は、「No Continue without ChromeVox」をクリック
  6. Englishと表示されてる場所をクリックし、Languageを日本語に変更しましょう。キーボードはUSもしくは日本語のどちらかを選べます。
  7. Get Startedをクリックすると、インストールするか?試用するか?を聞いてくるので、今回はとりあえずTry it Firstを選択(Install CloudReady 2.0とすると、内蔵SSDの中身が消去されて、Chrome OSのインストールが開始されます)
  8. Nextをクリックすると、WiFi選択画面が出るので、選びます。
  9. 同意画面が出て、次へ進み、利用者はあなたを選び、次へ進む
  10. googleアカウントログイン画面が出るので、ログインする
  11. デバイスの同期については同意して続行する
  12. 起動します

Macbook Pro 2016では、トラックパッドとキーボードが認識されない為、別途USBハブとUSBのマウス・キーボードがなければ操作自体できません。新しいMacbook用のドライバが開発されていない為と言われています。

また、Macbook Airの場合、初回起動時フリーズしましたが、再度USBブートさせた所問題なく起動しました。インストールをすればLinux仮想環境も使えるようです。すでにセットアップ済みなので、再セットアップは不要です。

※但しインストールした場合は、そのままでは毎回Optionキー押しながら電源を入れる必要があります。ブートローダが必要です。

※売っていない超軽量小型ハイスペックChromebookを作れるのは大きな利点ですね。

※強制シャットダウンですが、電源長押しだと何故か駄目なケースの場合、Option+Command+電源の長押しだと上手く行くケースがありました。

図:ブート時の選択画面

図:無事に利用可能になった

Mac Miniで使ってみる

普段、ホームサーバー用として利用してるMac Miniで起動できるか?試してみました。使用しているのは、Mac Mini Late 2014。キーボードは、Microsoftキーボードの日本語レイアウトなので純正では有りません。

起動時は、Windowsキーボードなので、USBメモリを刺してからAltキーを押しながら電源を投入。EFI Bootを選択して、あとは普通通りにセットアップを進めるだけ。元々がUSB外付けのキーボードとマウスであるので、特に難点もなく起動しました。大画面のChromeboxのような感じで利用できるのが利点かもしれません。macOSの代わりにLinux環境を入れて、Linuxサーバとしてしまうのも良い選択肢かもしれません。

※ちなみに、外付けの初代Magic TrackPadを持ってるのですが、使えました。

図:大画面で使えるのはメリットが大きい

GPD WIN2で使用してみる

ゲーム専用の超小型UMPCであるGPDWIN2ではどうか?テストしてみました。ESCキーでBIOS画面に入り、Boot Optionで#1をUSBメモリにした後、再度起動してみたところ、ロゴのマーク出るまでは結構時間掛かりましたが、無事に起動。ただし、GPDWIN2はUSキーボードなので、日本語キーボード指定にするとあとで、自分がわからなくなるので注意。

タッチパネルは動作しませんが、驚くべきことにアナログコントローラによるマウス操作は普通にできました。ただしまだUnstableな開発版なので、フリーズもするシーンがあるものの、小型のChromebookというものは現時点で販売されていないので、ちょっと面白いのではないかと。Linux環境入れて各種エミュレータ等入れて遊ぶにはWindows10マシンであるよりも利点はあるかもしれません。

他検証した結果としては、USB接続のDACヘッドフォンもバッチリ動作。Youtubeの再生も音声はバッチリ再生されていますし、WiFiも稼働。但し、

  • ログアウトしてユーザを追加しようとするとWiFiを見失うので再起動後に追加が必要
  • 一度USBを抜いてWindowsを起動してしまうと、再度BIOSから設定しないとUSBブートしない

等の細かい問題点がまだまだあるようです。

図:UMPCをChromebook化は面白い

図:Youtubeの再生もバッチリ

安定版のリリース

2022年5月8日、これまでDev版のみであったChrome OS Flexですが、安定版(Stable)がリリースされて、101.0.4951.52がリリースされています。これまで先行してインストールしていた人は、詳細⇒チャンネルから「Stable」に変更して、Powerwashでリセットが必要です。

macOSのUTMの場合は、GPUをvirtio-vgaに戻して遅い状態でセットアップをし直し、セットアップが終わったら、元に戻す作業が必要です(再起動で固まったりするので、強制終了などを何回か行いました)。

無事にセットアップが終わって起動出来ると、以降は安定版リリースのみが配信されるようになります。また、Cloud Readyをインストールしていた人は、新たにアップデートv96.4.36が新たに配信されましたが、今現在はまだ、Chrome OS Flexにはなっていないです。安定版になったことで、新たにLinux環境を入れられるデバイスも増えたのではないかと思います。

※2023/3/9 - ついにChrome OS FlexにLTS版登場。企業で使うにあたってもLong Term Support版という安定版の登場は大きいです。

図:stableチャンネルを選べるようになった

仮想環境で利用する

VMware Fusionなどの場合、そもそもインストール自体出来ませんが、macOSのUTMなど「Qemu」の場合は、インストールが可能になっています。実際にUTMに仮想環境を用意して動かしてみましたがバッチリ動作しました。ただし現在、Chrome OS Flexはx64版しかリリースされていない為、ARMなM1 Macの場合には、エミュレーションのオーバーヘッドが掛かるため、動作が遅いです。

Chrome OS FlexがいつかARM版をリリースしてくれたら、かなり快適に動作するのではないかと思います。

M1 MacやiOSでも動く高機能な仮想環境UTMを使ってみた

Chrome OS Flexの特徴

Chromeが入ってる

CloudReadyの場合、Chromium OSであるため、搭載されてるウェブブラウザもChromiumブラウザとなっています。そのため両者は兄弟のような関係ではあるものの、厳密にはChromeでは無いのです。しかし、Chrome OS FlexはChromeが搭載されている点が大きくことなります。とはいえ、両者ともに共通して拡張機能が使えますし、実用上の大きな差は開発リリースのタイミングや内容が異なる点くらいです。

故にドックに最初からおなじみのカラーリングのアイコンが登録されています。拡張機能については以下のエントリーを参考にしてみてください。

Chromeは拡張機能でより便利になる

Linux仮想環境が利用可能

概要

USBブートの試用ではなく、インストールをした場合、Linux仮想環境をインストールできる項目が表示されます。インストールをすると、そのChrome OS上では、Linux(Debian)が利用可能になるため、Linuxアプリをインストールして利用することが可能です。WineやKVMなどを導入できれば、Windowsアプリを動かすことも可能と思います。詳細は以下のエントリーを参考にしてみてください。

但し、このLinux環境、「Error starting crostini for terminal: 5」のエラーで起動しないマシンが殆ど。理由は、Chrome OS v91以降の「CPUがSpectre/Meltdown脆弱性に対応してるものである」という条件を満たしていない古いCPU。故に第8世代未満は全部NGという・・・そもそも、有効化しようとしてエラーになってる筈です。

※尚、このLinuxも仮想環境であるので、Intel VT-xが利用できるCPUで無ければ、インストールをしても利用が出来ません(Linuxの項目自体出てこない)

ChromebookでWindowsアプリを動かしてみよう

図:Linux有効化の項目

Linuxがインストール出来ない問題の対応策

厄介な問題「Error starting crostini for terminal: 5」問題。そこで、Redditに投稿されていた内容に従って、以下の処置をしてみました。少し手順を詳しく記述します。以下、Macbook Air 2013の場合の処理を記述しています。(CloudReadyのケースでは使えなかった・・・)

※2022年4月1日、最新版にアップデートするとLinuxのインストールが失敗していた機種の一部で以下の対策をせずとも、インストールできるようになったようです(但し、仮想環境内の場合は、CPUがNested Virtualizationに対応してる必要はある)

  1. もう一本USBメモリを用意する(16GB程度)
  2. Linux Mint 20.1のISOをダウンロードして、RufusやEtcherを使ってブータブルUSBとして焼く(Ubuntuでも可です)
  3. Chrome OS Flexをインストールしたマシンに2.を刺して、Optionキーを押しながら電源投入
  4. EFI Bootの2個目が2.なので、選んで起動。Linux Mint 64bitを選んで起動する
  5. 無事に起動したら、GPartedを起動する。
  6. EFI Systemとなってるパーティションを調べる(今回は/dev/nvme0n1p12がソレでした)
  7. 以下のコマンドを入力してroot権限でファイルマネージャを起動する
  8. さらにターミナルを起動して、6.をマウントする
  9. 7.で起動したファイルマネージャ/mnt/efi/bootを開くと、grub.cfgが入ってるので、ダブルクリックする
  10. 色々書いてあるけれど、下の方に4つほど、Linuxと書かれたエントリーがあり、ブートオプションが記述されているので、「kvm-intel.vmentry_l1d_flush=always」を各Linuxブートオプションのエントリー末尾に追記 (11dではなく、Lの小文字に1dなのが紛らわしいので注意)
  11. 上書き保存して、シャットダウンする(USBメモリは取り外す)
  12. 再度、Chrome OS Flexを起動して、普通にログインする
  13. Chromeを起動して、chrome://flagsを開く
  14. crostiniで検索して、Crostini Use DLCフラグDisabledにしてみる
  15. Restartをクリックすると再起動する。
  16. 設定を開き、もし一回Linuxをインストールしてたら、とりあえず削除しておく。croshからvmc destroy terminaでも可能
  17. 再度、Linuxをオンにすると今度は無事に最後までインストールが成功する

これで、CPUが条件を満たしていないマシンでも、Linuxを使うことが出来るようになりました。

図:問題のエラー

図:コンソールで色々操作が必要

図:GPartedで調査(/dev/sda12がこの場合対象)

図:grub.cfgを編集(追記方法に注意)

図:Node.jsをインストールしてみた

Mozcの設定(日本語入力)

現在まだ、Chromeのflagsにあるcrostini IME Supportは動いていないようなので、Mozcをインストールしてみましたが、ちょっと気になったのが、Command + SpaceだとうまくIMEが起動してくれない。ので、fcitx-configtoolにて以下の設定に変更したら、うまく動くようになりました。

  • 全般設定の「入力メソッドのオンオフ」はCtrl + Spaceではなく、Ctrl+かなのキーの組み合わせにしたら、うまくオンオフ出来るようになりました。

図:Ctrl + かなキーならばうまく動作する

図:geditで日本語入力中の様子

Electronを動かしてみる

Node.jsおよびElectron、SQLite3、Keytarを入れてテスト用のElectronアプリを作り動かしてみましたが、バッチリ動作します。開発は、Visual Studio Codeのみで行っていますが、結構快適です。

サーバー系の運用はまだ試していませんが、ポートフォワーディングも可能なので、なかなか使い勝手が良さそうです。ただし、Androidスマフォと接続してのADBデバッグ等は出来ないので、scrcpyを使って動かすといったような事は出来ませんでした(オプションにも出てこない)

図:Voiceboxを動かしてる人もいるらしい

Wineを入れてみる

2022年3月時点で、Wineは7.0となっていて、色々と進化しています。これをChrome OS Flexに入れてみます。ターミナルを起動して、今回は一気に32bit環境のWineprefixを作ります。

32bitのWine環境でないと、VB4.0ランタイム等が入らないので、このようにしています。最後にwinecfgが起動したら、OSのバージョンはWindowsXPを今回は指定します。しかし、何故かChrome OS Flexではうまく動かなかったので、FlatpakのBottlesを使ってみました。

BottlesでNotepad++をインストールしてみた所、バッチリ動きました。

図:日本語入力をしっかりしておけば使えるね

KVMで仮想環境構築

Macbook Air 2013のChrome OS Flex上のLinux環境ですが、驚くべき事にvirt-managerが使えました。KVMとQemuを合わせた仮想環境なのですが、過去にはChromebookでこれを利用してWindows10を稼働させた人もいます。VirtualBoxはChromebookでは利用が出来ないので、virt-managerで作ってみたいと思います。

以下の手順で構築します(Windows2000を使ってみます)

  1. ターミナルを起動して以下のコマンドでアプリを導入する
  2. アプリとして仮想マシンマネージャが登録されるので起動する
  3. ファイル⇒新しい仮想マシンをクリック
  4. この時点で、warningメッセージが出てるマシンでは使えません
  5. あとは他の仮想環境同様、ISOの指定やマシン構成を決める
  6. サウンドはAC17を指定し、ネットワークはe1000を指定。ビデオは取り敢えずVGAを指定した。CPUはPentiumIIを指定してみた。
  7. Windows2000の場合途中でF8キーを押す機会があるのですが、Chrome OS Flexではキー送信のCtrl+ALt+F8を選んで実行します

ただ、公式サイトにもあるように、現在のLinux環境(Crostini)自体が仮想環境であり、その中で更にKVMで動かすというのは、サポートされていないようです。そのため、Qemuのエミュレーションだけで動いてるので、物凄く遅く使い物にはなりませんでした。いつか、Nested Virtualizationがサポートされたらまた挑戦してみたい。

図:Warningも出ず、仮想マシンが使える

図:仮想環境の設定は難しくない

図:遅すぎてリタイヤ

デベロッパーモードにする

Chromebookの場合、ESC+Refreshキー(F3)+電源キーを押した後に、Ctrl+Dキーを押す事で、開発者用のデベロッパーモードに切り替える事が可能です。Chrome OSの裏側までいじれる反面、セキュリティ的には低下した状態となるため、あくまでも開発者向けの機能です。

Chrome OS Flexではこの手法が存在せず、常に通常モードで起動するように作られているようです。しかし、Redditによると、前述のLinux仮想環境が起動しない問題同様に、起動オプションを指定する事で、デベロッパーモードに切り替える事が可能になってるようです。チュートリアルはこちらに投稿されています。

手法はほとんど同じで、手順10のオプション指定が違う点くらいです。

  1. もう一本USBメモリを用意する(16GB程度)
  2. Linux Mint 20.1のISOをダウンロードして、RufusやEtcherを使ってブータブルUSBとして焼く(Ubuntuでも可です)
  3. Chrome OS Flexをインストールしたマシンに2.を刺して、Optionキーを押しながら電源投入
  4. EFI Bootの2個目が2.なので、選んで起動。Linux Mint 64bitを選んで起動する
  5. 無事に起動したら、GPartedを起動する。
  6. EFI Systemとなってるパーティションを調べる(今回は/dev/nvme0n1p12がソレでした)
  7. 以下のコマンドを入力してroot権限でファイルマネージャを起動する
  8. さらにターミナルを起動して、6.をマウントする
  9. 7.で起動したファイルマネージャ/mnt/efi/bootを開くと、grub.cfgが入ってるので、ダブルクリックする
  10. 色々書いてあるけれど、下の方に4つほど、Linuxと書かれたエントリーがあり、ブートオプションが記述されているので、「cros_debug」を各Linuxブートオプションのエントリー末尾に追記 (各オプションはスペース区切りなので注意)
  11. 上書き保存して、シャットダウンする(USBメモリは取り外す)
  12. 再度、Chrome OS Flexを起動して、普通にログインする
  13. Ctrl+Shift+Alt+F2で端末が表示されれば成功。Ctrl+Shift+Alt+F1でChrome OSに戻ります。

日本語入力

WindowsやMacで動かせるChrome OS Flexですが、日本語入力はLinuxに準拠しています。その為、半角/全角であったり、英数/かなで日本語制御ではなく、「Ctrl + Space」もしくは「Command + Space」で日本語入力をオンオフします。

スクリーンショット等は、Chromebook専用ボタンが無いですが、Ctrl + F3でフルスクリーンキャプチャする事が可能です。Ctrl+Shift+F3キーで細かなキャプチャを選べるようになります。

この辺りのキー入力の違いは身につけておく必要性があります。若干気になるのは、ターミナルで日本語入力オンオフが出来ない点。一度オンにしたままターミナルに入るとオフに出来ない・・・バグかな。一度他でオフにしてから戻ればいいだけなんだけれど。

Android実行環境は未搭載

Chrome OS Flexは、Chromebookと異なり現時点では、Android実行環境は搭載されていません。これはCloudReadyの時から変わっていません。しかし、Linux環境が構築できる点から見ても、理屈的には搭載可能と思われます(実機イメージを使ったBrunch FrameworkではAndroidアプリが使えてるようなので)。

また、近い将来GoogleがWindows10/11用にAndroid実行環境を提供する!?といったニュースもあることから、Chrome OS FlexでもAndroidが利用できるようになる未来が来るかもしれません。

OSのアップデートについて

インストールした場合も、お試し状態であっても、Chrome OSのバージョン表記の画面で最新版のチェックをする事で、アップデートを行うことが可能です。通常のChromebookの場合も同じですが、現時点ではUnstableな為、利用できてるOSは、Developerバージョンの64bit(Version 100.0.4880.0)となっています。故に不安定やバグ有りのバージョンとなるため、かなり細かく配信が来るのではないかと思います。

Stable版が出たら、通常のChromebookのように安定版リリースの時にだけアプデが来ると思われます。

2022/03/01 - アプデ来ました。100.0.4896.16が来ています

Googleアシスタント

CloudReadyと異なり、Chrome OS FlexはGoogleアシスタントが使えるようになっています。マイクが必要ですが、VoiceMatchしておくと、お使いのマシン上でGoogleアシスタントが使えるようになるのは結構地味に大きな機能です。

但し、Google Workspaceアカウントの場合まだ、アシスタント機能が開放されていないので、個人のGoogleアカウントでログインしておく必要性があります。設定から左サイドパネルにVoiceMatchなどの設定があるので確かめておきましょう。

図:アシスタントの設定

ローカルディスクが見えてしまう

かつてあった、Live CD LinuxのKnoppix等の類にも言えることなのですが、HDDやSSDを暗号化(WindowsならばBitlocker、macOSならばFileVault)していない場合、Chrome OS FlexのUSBメモリで起動すると、ローカルディスクの中身は丸見えです。

故に、イザという時にファイルのサルベージが可能なのですが、企業用PC等の場合には暗号化しておかないと、このように丸見え状態なので、いくらWindows上でアクセス権限を切った所で意味がありません。ベースがLinuxなので、WindowsのNTFSでもmacOSのHFS+でも読めるのは便利なのですが、そこにはリスクがあるので、企業用PCの場合はUSBポートを無効化しておくであったり、ディスク暗号化は必須だと思います。

※APFSは読み書きは出来ないようですが、ドライブを開く事は可能(故にサルベージは不可能)

図:ディスク暗号化をすると読めなくなる

図:このように未暗号だと丸見え

GIGAスクールに最適

現在日本中の小中学校でGIGAスクール構想と称して、小中学生にChromebookやiPadなどを購入させて、持ち運ばせて、何故かオンライン講義はマチマチという状態ですが、Chrome OS FlexはこのGIGAスクール構想には一番マッチするのではないかと思います。利点は

  1. いちいち、Chromebook実機を持ち運びする必要が無い(学校にディスクレスの端末だけ置いておけば良い)。故に、小中学生はUSBメモリを持ち運ぶだけでOK
  2. 使うアカウントだけ、学校側でGoogle Workspace Educationにて作成し、管理コンソールからMDM管理するだけで良い
  3. 故に、自宅からでも同じ環境に同じUSBメモリを使ってログインし動かす事も可能。
  4. USBディスクや使ってる端末にデータを残す必要が無いので、データ漏洩の心配も無い(Google Driveで全て管理する)。
  5. 端末を買い切りではなく、学校での備品として貸与するだけで良いので、何度も買ったり保護者の負担が増えなくて済む
  6. USBメモリを紛失した所で、5分で作成し直しが可能

もともと、Google Workspace自体が、いつでもどこでも同じ環境で仕事ができる事を目的として作られており、端末や場所を選ばないでブラウザ上のみで完結できるのが売りであるため、実機と場所に縛られてるのは愚考。古い端末を使い倒せるのと、SSDやHDD無しで問題無いので、電源とメモリが壊れるまで使えます。

※正直、GIGAスクールの内容ならば、Google Workspace Education契約あるならば、Raspberry Pi 4でも十分かなとは思います。Chrome入れれば済む話なので。Office使う場ではないし、社畜養成よりもLinux使えるエンジニアになったほうが未来があります。

図:消して軽くないマシンを携帯しなくて良い

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