最新のM1 Macを徹底活用する為のノウハウ
2020年、AppleはIntelチップを捨てて独自開発のARMベースのチップのM1へと移行しました。かつて、IBMのPowerPCからIntelチップへと移行した時のように大きな変革です。しかし、その結果失ったものも大きく、M1へ移行は大丈夫なのだろうかと躊躇する人も多いでしょう。
このM1はスマフォやChromebook等で使われてるARMベースのCPUで、Intelと違い8コア等が普通で想像以上にパフォーマンスが高いです。そこで、このM1 Macをどこまで活用できるのか?という点に注目して、ノウハウを検証してまとめてみました。
目次
- 1 今回使用する機材
- 2 M1の特徴とmacOS Monterey
- 3 動作検証
- 3.1 仮想環境
- 3.2 USBテザリング
- 3.3 Intel Macアプリ動作検証
- 3.4 過去の資産活用が可能(Rosetta2)
- 3.5 Android連携
- 3.6 ゲームをやってみる
- 3.7 その他の動作検証
- 3.7.1 緊急時のキーコンビネーション
- 3.7.2 Bluetoohゲームパッド
- 3.7.3 LibreOffice Apple Silicon版
- 3.7.4 Gimp Apple Silicon版
- 3.7.5 Premiere Elements
- 3.7.6 Excel for Mac 2021
- 3.7.7 GoPro対応
- 3.7.8 USBハブを使ってみる
- 3.7.9 ポータブルDVDドライブについて
- 3.7.10 動画のサムネイル表示対応追加
- 3.7.11 SSDの読み書きスピード
- 3.7.12 AIに絵を描かせるDiffusionBee
- 3.7.13 Zoom使っていて気になった事
- 3.7.14 Apple Silicon対応Handbrake
- 4 トラブルシューティング
- 5 関連リンク
今回使用する機材
- Macbook Air 2020 M1 - 13inch
- USBメモリ - Thkailar タイプC USBフラッシュドライブを使用しています
今回使用してるモデルはApple StoreでのCTOモデルになります。スペックとしては
- 8コアCPU, 8コアGPU
- 1TBのSSD
- 16GBのRAM
となっています。
M1の特徴とmacOS Monterey
リカバリメディアの作成
M1 Macからはインターネットリカバリ機能が廃止されているため、なにかあった時に復元する手段の1つとして、リカバリメディアの作成をしておく事をオススメします。公式サイトにも作成手順が記載されています。必ず作成するようにしましょう。作成する前に、ディスプレイのスリープがしないように設定しておかないと、スリープ時に作成が一時停止してしまうので要注意。
- 32GB程度のUSBメモリを用意する(Type-C対応が良いでしょう)。接続しておきます。(exFATでフォーマットしておく)
- USBメモリのボリューム名称を控えておく
- 最新のmacOSのインストーラをダウンロードする(今回は、macOS Monterey)
- インストーラが起動してもインストール作業はせずキャンセルする。
- ターミナルを起動して以下のコマンドを実行する(アプリケーションフォルダにインストーラがあることが前提)。ボリューム名は2.のものに置き換えます。
1sudo /Applications/Install\ macOS\ Monterey.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/ボリューム名 - 途中の質問には「Y」キーで答える
- USBメモリのボリュームは全て消去されますので注意が必要です。
リカバリ作業は、このUSBメモリを挿入した状態で、電源ボタン長押しで起動。起動可能ボリュームに於いて、USBメモリを選択し、案内に従って復元を行います。13GBほどあるので結構時間が掛かります。
※アップデータが配信されている場合、まずアップデータを適用してからでないとダウンロードが出来ません。
※こちらのサイトにAppleのサイトのMontereyであるpkgファイルの直リンクがあります。pkgは実行するとappが生成されます。
図:App Storeからダウンロードできる
図:ターミナルから作成が必要
iOSアプリの活用
M1 MacはChromebook上でAndroidアプリが動くように、iOSアプリケーションが動作するようになりました。しかし、Chromebookとは異なりipaファイルをサイドロードして動かすことが不可能です(以前は、iMobile M1 App Checkerを使ってipaファイルをサイドロード出来ていたのですが、Apple側がセキュリティ強化に伴ってブロックするようになりました。
現在は、Mac App Storeアプリから検索して、iPhoneまたはiPad Appに切り替えるとiOSアプリが列挙されます。ここから普通にインストールする事で起動する仕組みです。しかし、このアプリのリストですが、iOSアプリの全てが表示されているわけではなく、作者がM1 Macでの使用をOKにしている場合に表示される為、NGとしてる場合リストに出てこないわけです。
かつては自己署名をするSideloadlyのようなアプリで自己署名でこの制限を回避してインストールも出来ていましたが、これも現在はブロックされています。故に当初期待されていたほどiOSアプリが動くというのが現時点では大したメリットには繋がっていません。一部のアプリはM1 Macで使う上でも威力を発揮するスマートフォンアプリならではの高機能なものもあります(例:infuse)
※PlayCoverを利用すれば野良ipaファイルを動かせるのは確認しましたが、App Storeからダウンロードした多くのipaファイルは動作しません。
図:iOSアプリを検索してる様子
図:AccuWeatherアプリを使ってみた
図:M1 Macでも威力を発揮するアプリもある
AirPlayミラーリング
macOS Montereyから、OS標準でAirPlayレシーバを装備しました。これによりAirPlayにてiOSデバイスからMacに対して画面を飛ばす事が可能になります。この設定は設定の中にある共有⇒AirPlayレシーバにあり、パスワードを設定することも可能です。
オンにすると、iPadなどから画面ミラーリングにて
- コントロールセンターを出す
- 画面ミラーリングのボタンをタップ
- 自分のmacが見えてるので、選ぶ
- 必要な場合パスワードを入力する
- macOS側にiPadの画面が表示される
使ってみた感想ですが、正直あまりよろしくない。というのも、自分はAirServerを以前から使っていたので新鮮味が全く無いだけでなく、このミラーリングを行うと、macOS側での操作が一切出来ない上に、ウィンドウ表示等も出来ないので、他のデスクトップに移動も出来ない。ちょっと出来が悪いなという印象です。
AirServerはAirPlayだけでなくMiracastにも対応していたり録画も可能だったりと非常に機能が豊富で、もちろん1アプリのウィンドウなのでmacOSも操作可能ですので購入しておいて損はありません。
図:共有設定からパスワードは指定できる
図:こんな感じでミラーリングされる
動作検証
仮想環境
UTM
M1 Macで現在一番熱いQemuベースの仮想環境がUTMです。Windows11 ARM版がかなり軽快に動作します。Parallelsよりも個人的にはオススメです。また、仮想化だけでなくQemuベースであることから様々なCPUをエミュレーションする事が可能であるため、WindowsXPなどのx86なOSも実用的なスピードで動作するため、ARMになってVMware Fusionが使えない現状では、非常にオススメです。
Windows11 ARM自身が、x86とx64エミュレーション機能を装備している為、普通に過去の資産を活用する事が可能です。
以下のエントリーでは、Windows98 SEやMac OS 9.2.2、Windows11 ARM、Chrome OS Flexが普通に運用可能です(サウンドもネットも可能)。古いMac OS Xも動作可能ですが、かなり重いのでそちらはオススメ出来ません。また、M1自身がNested Virtualizationに非対応なので、WSAやWSL2などの仮想環境の入れ子は動作しません。
図:VMwareより軽快さを感じる
CrossOver Mac
オープンソースのWineをさらに昇華して、オリジナルを超えた存在になってるWindowsアプリをmacOS上で動かすための環境がCrossOver Macですが、本来WineはCPUエミュレーションを行わないので、ARMな環境では動作しないのですが、macOSはRosetta2によるx86-x64エミュレーションを介して、CrossOver Macは動作する事が可能です。
仮想環境と異なり、OSの仮想化を行っている訳ではないので非常に軽快に動作し、かなり多くのアプリケーションをmacOS上で動作させる事が可能です。特にARMになって動かなくなったVMware Fusionの代役としてCrossOver MacはむしろM1 Macでは活躍の場が広がるのではないかと思います(と言っても完全な代役は無茶ですが)
また、本来現在のmacOSは32bitアプリは動作せず、Wineも64bitアプリしか動作しないのですが、CrossOver Macは独自技術により32bitのアプリも動作するようになっています(他にもDirectX11対応などオリジナルを超える対応をしていたりします)。
一点不満があるのはゲームパッド対応が渋い・・・興味ある人は以下のエントリーにまとめていますので、御覧ください。
図:らせんの宿を動かしてみた
図:懐かしの3Dピンボールが動いた
Parallels Desktop
現時点で商用製品で最も完成度の高い、M1 MacでWindows11 ARM版やUbuntu on ARMなどを動かせる唯一の製品です。VMware FusionはTech Previewが出てはいますが、M1 Macで動くというだけの状態で実用できるレベルに至っていません。
実際に購入してWindows11のアクティベーションまで検証した記事を以下に追加しました。Steam for WindowsおよびPS5のコントローラでゲームが出来るか?といった検証も行っています。また、もっとも楽にWindows11環境を構築できる手段でもあるので、腕に自信のない人は素直にParallelsを購入したほうが幸せになれると思います。
図:大神がバッチリ動作します
VMware Fusion 13
2022/11/20リリースされたVMware Fusion 13正式版。但し、まだ一部のドライバに未対応等の理由で完全にはWindows11が利用できる状態にはないものの、TPM2.0対応などで正常性チェックだけならばUTMよりも対応してる。まだまだこれからが期待されるが、現状Parallelsのように常用出来るレベルには至っていない。
VirtualBox 7.0 DP
長らく、M1 Macには未対応ということで一時はインストールすら出来ないようにロックされていたVirtualBox。2022/10/10に7.0 Develper Previewがリリースされて、macOSのM1に対応したという。しかし実体はこれまでの仮想化ではなく、Qemuと同じx86エミュレータに生まれ変わっており、x64のOSやARMなWindows11は動かせない。
但し、仮想TPMに対応している等進化は伺えるが、現状はWindows2000等の古いx86なOS専用のエミュレータであり、UTMにまさる優位性は無い。当然、Windows11は動作しない。
USBテザリング
USBテザリングを実現してくれていた「HoRNDIS」ですが、こちらもインストール自体ができなくなっていました。デバイスドライバレベルやかなり深いレベルで実現していたようなツール類は、M1 Macでは動作しないと思って良いでしょう。
※但し、完全に動かなくなったわけではなく、セキュリティレベルを下げて設定を変更する方法を取るとインストールが出来、利用できるようです。詳細については、以下のUSBテザリングのエントリーに手順を追記しました。また、この手順を利用するにはレガシーシステム機能拡張を利用できるようにする必要があります。
※後述のレガシーシステム拡張についてのエントリーも参照してください。
図:変えが効かないのが辛い所
図:セキュリティを落とすと利用できる
Intel Macアプリ動作検証
ほとんどのツールはIntelバイナリのままでも利用が可能になっています。Intel Mac時代のツールをインストールしてみましたが、殆どなんの障害もなく動作しています。
しかし、VMware Fusion、VirtualBoxなどの仮想環境系はARM版でなければ動作しません。また、パフォーマンスを要求するようなツールの場合、Rosetta2を介して動く為、オーバーヘッドが掛かるため、動画編集ソフトなどは動作しますが、場合によってはパフォーマンスが大幅に低下することになるので、ネイティブ対応してるDavinci resolveなどに移行する必要があるかもしれません。
検証している中で全く使えなくなっていたものとしては、Paragon VMDK Mounter。VMwareの仮想HDDをディスクとしてマウントするのに非常に便利なツールでしたが、完全に利用できなくなっていました。
以下は検証して動作OKだった手持ちのアプリケーションです
- Adobe Premiete Element 2020
- Microsoft Excel 2021
- LibreOffice
- FileZilla
- HandBrake
- Visual Studio Code
- X11 ScreenSaver
- Gimp
- Duet Display
- Node.jsなどのIntelバイナリの開発環境
過去の資産活用が可能(Rosetta2)
Rosetta2の概要
macOSの歴史はCPUのお引越しの歴史と言えるくらい、この数十年で68K⇒Power PC⇒Intel⇒M1 Armとアーキテクチャを変遷して来ています。そしてアーキテクチャの移動時には、68Kエミュレータ、Classic環境、Rosetta、Rosetta2とエミュレーション環境を提供し、役目を終える頃にその機能を廃止して終了するという移行プロセスを経ています。
M1 Macに搭載されてるmacOS MontereyにはRosetta2と呼ばれるx86-x64のエミュレータが搭載されており、これによって以下のことを実現しています。
- IntelバイナリのmacOSアプリケーションが動作する
- CrossOverなどはこれを利用してWindowsアプリの動作を実現
- UTMもこれを利用してエミュレーションをせずに仮想化でWindows11 ARMの動作を実現
- コマンドラインアプリケーション(pythonやNode.js等)も同様にIntelバイナリが動作する
これまでのような単純に過去のアプリを移行させる救済手段というだけでなく、Windowsアプリの動作を実現を支えている為、重要度の高い環境になっています(故にIntelバイナリのmacOSが滅びたら廃止というのは厳しいのではないかと)
Intelバイナリなのか?ARMバイナリなのかはアクティビティモニタを見れば、種類にIntelもしくはAppleと出ている点で判断することが出来ます。
図:IntelがRosetta2で動いてるアプリ
Rosettaを使用して開く
IntelおよびM1両対応のアプリケーションの場合には、通常起動するとARMバイナリとして動作します。しかし、動画作成アプリのようにIntel時代のプラグイン等が動かなくなったりもします。また、ターミナル上で動くアプリも両対応の場合には通常はARMとして動作するようになっています。
そこで、意図的にIntelバイナリとして動作するようにする仕組みが用意されており、ARM対応アプリを右クリックして情報を見るを開くと、「Rosettaを使用して開く」という項目があります。これをオンにする事でIntel時代のプラグインが動くようになったり、ターミナルの場合にはIntelバイナリ時代の追加機能が動く(例えばPythonのpipコマンドでIntel版を追加できたりする)などメリットがあります。
もともとIntelバイナリでしかないアプリの場合このオプションは表示されません。Rosetta2で動くのがデフォルトです。
図:Intelバイナリとして動かすメリットがある
Android連携
scrcpyを使って操作
ADBコマンドを使って、Androidと接続しmacOS側に投射した上で操縦する事が可能です。手っ取り早い方法は、以下の手順です。adb
- Android SDK Platform-Toolsをインストールしておく
- ターミナルを開く
- Android側は開発者オプションにてワイヤレスデバッグを許可しておく
- また、ペア設定コードによるデバイスのペア設定をタップして、ペアコード、IPアドレスとポート番号を控えておく
- 起動したターミナルからは以下のコマンドを実行する。ペアコードの入力を求められるので入れるとペアリング可能。
12adb pair IPアドレス:ポート番号ペアコードを入力 - 続けて、scrcpyコマンドを実行するとAndroidの画面が表示され、macOS上から操作が可能になります。
接続する際に、以下のオプションコマンドを付けて起動すると、M1 MacのキーボードとマウスがAndroid側で認識されて、ゲームなどをキーボードで操作するといった事も可能になります。
1 |
scrcpy --hid-keyboard --hid-mouse |
図:ADBコマンドで接続
図:Androidの画面が表示された
図:キーボード認識された
OpenMTPでファイル操作
これまで、macOSとAndroidスマフォとの間でのファイルのやり取りといったら、有線接続の場合はAndroid File TransferというGoogle公式ツールを使うのが常でしたが、このツール正直あまり出来がよろしくなく、使いにくいことこの上ない。無線の場合はAirmoreアプリなどを使ってブラウザ経由でファイルのやり取りが便利です。
しかし無線では転送速度面で不利なのと、まとめて転送時に不具合があるため、有線で使いたい場合にはOpenMTPがオススメです。Intelバイナリであるため、Rosetta2経由ではあるものの、快適に動作しています。
図:公式ツールより便利です
ゲームをやってみる
Steamを使う
macOSの場合、Steamと言えど対応してるゲームが少なく、ウェブを見てみると絶望であったりだとか、Parallels使ってわざわざ環境構築してリソースを消費した上でSteamを使ってるケースが見受けられます。しかし、この場合かなりオーバーヘッドが掛かる為、高負荷になりがちです。
しかし、CrossOver Macを利用した場合、Windows用Steamを動かす事ができるだけでなく、バリバリ動作します。今回大神絶景版をインストールしてみましたが、PCSX2でエミュレーションよりも綺麗でそれでいて負荷はPCSX2よりも低いです。D3D DXVKバックエンドやパフォーマンスが強化されたグラフィックス機能を備えているので、多くのPCゲームはこれでカバーすることが可能です。Steamの為だけにCrossOver Macを導入するのも大いに有りです。
Steamは32bitなので、CrossOverで64bit変換⇒Rosetta2でエミュレーションを経て動いてるにも関わらず、現実的なスピードと負荷で動いてる為、かなりオススメです。いずれ、Forza Horizon 5なども挑戦してみようと思います。
但しPS5コントローラがCrossOver Macの場合だと認識しないので、使いたい場合は、WineSkinServerを使うことになります。
図:Windows用ゲームが動きます
図:PCゲームの多くをカバーできる
図:CrossOverの設定はここをオン
PCSX2を使う
PS2エミュレータである、PCSX2。すでに本家ではmacOS用がメンテされていないのですが、フォークしたv1.7がGitHubにて配布されています。こちらを使って実験してみました(但し、Intelバイナリです)
Macbook Pro 2016ではかなり動作がキツイ「大神」を動かしてみましたが、バッチリ動作しました。設定はソフトウェアレンダリングにして、スレッド数を4にしただけ。起動まで時間は掛かるものの、M1チップの8コア性能の高さが如実に体験できました。
普段は29℃くらいのCPU温度ですが、流石にRosetta2を挟んだ上にPS2のCPUにエミュレーションしている為、66℃くらいまで上昇。ファンレスのMacbook Airでありながらこれは衝撃です。
図:バッチリ動作に衝撃
AetherSX2を使う
レビュー
前述のPCSX2ですが、Intelバイナリであるため、Rosetta2のエミュレーションが必要であるため、動作はするのですがかなりCPUに負荷が掛かっています。そこで利用してみたのが、ARM向けPS2エミュレータであるAetherSX2。もともとは、Android用のPS2エミュレータなのですが、これをmacOS用にビルドしたものになります。
実際にM1 Macbook Air 2020にて殆ど設定もせずにかなり動作の重いと思われるDragon Quest VIIIを動かしてみました。ARMネイティブであるため、Rosetta2は利用しておらず、そのためM1 Mac用のアプリになるため、Intel Macでは動作しません。
PS5コントローラをつなげて利用してみましたが、まず驚きなのがCPUの利用率は常に20%程度で、温度上昇も30℃程度。フルスピードで常に動作してくれています。ゲームの乱れもなくあっさり動作しました。このパフォーマンスの高さは驚きなのですがCPUの温度上昇も殆ど無く、ARMにかなり最適化されていると思われます。
ゲームデータはISO化して利用していますが、読み込みも高速。実機よりも快適かもしれません。一部だけで25FPSまで落ちて遅くなったシーンが僅かにあったくらいで最期までプレイ出来ました。
図:かなり快適に動作するのに驚き
図:無事ラストまで実行できました
図:スマフォで動作させてみた様子
PARコードも使える
PCSX2などでもいわゆるチートコードであるPARコードが使えましたが、AetherSX2でも使えます。但し、自分でコードファイルを作って配置が必要です。以下の手順で配置して設定を変更する事でISO読み込み時に有効になります。以下はDQ8の場合の手順。
- DQ8用のPARコードを調べる
- AetherSX2でDQ8のISOファイルを読み込ませる
- メニューよりView => Game Propertiesを開く
- EmulationのGame SettingsにあるEnable Cheats、Enable Widescreen Patchesにチェックを入れる
- ダイアログのタイトルバーにあるSLPM-65888_1F3D5031という文字列の1F3D5031の部分がファイル名になるので控えておく
- 1.のコードをこちらのサイトで変換すると、.pnach Codeで出てくるので、これをテキストエディタでテキストに記述。5.のファイル名で1F3D5031.pnachというファイル名にして保存する
- 6.のファイルをフォルダである/Users/ユーザ名/Library/Application Support/AetherSX2/の中のcheatsおよびcheats_wsフォルダ内に配置する
- DQ8のISOを読み込ませてリセットを実行する
- 一応、ESCキーを押して、上部の左から4つ目のアイコンをクリックし、下のほうにあるGame Settings内のEnable CheatsとEnable Widescreen Patchesのトグルをオンにしておく
- リセットを実行
- xx cheat patches and xx widescreen patches are activeと出たら成功。
こんな具合にゲーム毎にファイルを作って配置しておけば次回起動時からは自動でコードが読み込まれて反映するようになります。
図:こちらはグローバル設定になります
図:こっちは個別ゲーム設定になります
図:無事読み込めた
Android Emulatorを使う
インストール手順
M1 Macに於いて現在、Androidアプリを使える環境は、Google純正のAndroid Studioのエミュレータのみです。Nox PlayerやBluestackのようなVirtualBoxを利用したエミュレータなどは動作しません(新登場のmumuplayerも試してみましたが起動しません)。BluestackはARMベースのBluestack5を準備中らしく、GenymotionもQemuベースで作成中という情報があります。
そこで今回はAndroid StudioのAndroidエミュレータでアプリを動かしてみようと思います。ARMのエミュレータになるのでパフォーマンスは良いです(ディスクイメージがqcow2なので、Qemuベースですね)。
- こちらのサイトを開き、Download Optionをクリック
- Mac(64-bit, ARM)というのがあるので、それをクリックしてダウンロード
- DMG形式になってるので普通にマウントしてアプリをインストールする。特にそのまま進んで問題ないです。
- Android Studioを起動する
- メイン画面にて、More Actionをクリックして、Virtual Device Managerをクリックする
- 左上のCreate Deviceをクリックする
- CategoryはPhoneで、PlayStoreにアイコンのあるものを選びます。今回は、Pixel4を選びました
- Nextで次に進んだら、arm64-v8aな環境のものがいくつか出てきますが、Android12のものを選びました
- デバイス名をつけて、Finishをクリックすると仮想デバイスが作成されます。
- Device Mangerに登録されるので、Actionの再生ボンタンをクリックすると起動します。
- Androidが起動するので、Google PlayやADBコマンドからアプリを入れれば動作します。
- 日本語入力は実機と同じです。普通にキーボードからも入力可能です。クリックがタップになります。
- 右サイドに有るツールバーが実機での色々な操作のボタンに該当します。
- 日本語表示や日本語キーボードの設定などを行って日本語化しておきましょう。
開発要なので様々なデバッグオプションを利用する事ができるだけでなく、ARM端末なので軽量で、この点はWindowsなどで動かすのと異なり、ARMであるM1 Macならではの利点と言えます。
よくあるAndroidエミュレータよりも遥かに高機能で、余計なものも入っていないので使いやすい。APKのサイドロード等も可能です。M1 MacのiOS対応がショボいので、Androidアプリでその隙間をガッチリ埋める事が可能です。
図:Google Playも使えます
図:ねこあつめを起動してみた
図:ウマ娘を起動してみた
図:Asphalt9もバッチリ動作します
仮想マシンの容量変更
但し、初期状態ですと、Internal Storageが2GBで作成されてしまってるので、ディスク容量がとても少ない。以下の作業で増やしておきましょう。
- Virtual Device Managerを起動する
- 対象の仮想マシンにある鉛筆マークのアイコンをクリックする。
- Show Advanced Settingsをクリックする
- Memory and StorageにあるInternal Storageの値を増やす(今回は4096MBにしてみました)
- Finishを押して閉じる
- Virtual Device Managerの▼をクリックする
- Wipe Dataをクリックする
これで、ディスク容量が増えるので多くのアプリをインストールすることが可能です。尚、デフォルトではGoogle Playの入ったイメージはRAMサイズ等の指定が出来ないようになっていますが、「~/.android/avd/Pixel_4_API_31.avd/config.ini」が設定ファイルなので、直接書き換えると変更することが可能です。(4096MB指定しましたが無事に起動しました)
同じ要領で、hw.lcd.heightやhw.lcd.widthを変更するとウィンドウサイズを変更できるので(起動時に何やらメッセージは出ますが)、タブレットな感じのウィンドウで動かすことも可能です。iOSアプリを動かすより、Android Emulatorでアプリを動かしたほうがいろいろとお得だと思います。
なお、Google Playが入っていないモデルを選んだ場合もこのconfig.iniの「PlayStore.enabled = false」の部分を探して、以下のように書き換えるとGoogle Playが使えるようになります。
1 2 |
PlayStore.enabled = true image.sysdir.1 = system-images/android-30/google_apis_playstore/arm64-v8a/ |
図:ディスクサイズを増やしてみた
図:メモリサイズを書き換えてみた
図:解像度を変更してみた
シャットダウン手順
Android EmulatorはQemuベースのエミュレータで、シャットダウンする場合いきなりメニューから終了をさせてしまうと、qemu-system-aarch64がクラッシュして終了となります。かといってサイドバーにある電源ボタンを長押しても、Googleアシスタントが起動するだけという(これは設定変更でオフにできます)
正しいシャットダウン手順は以下の通り
- 上から2回下に向かってスワイプさせてメニューを出す
- パワーのアイコンが出てくるのでクリックする
- 電源を切るをクリックする
- シャットダウン中となり、アプリが正常に終了する
- quick bootに関するダイアログが出るけれど、基本的にはNoをクリックすればOK
さて、電源ボタン長押しでアシスタントを起動せず、電源オフにしたいので、以下の手順でGoogleアシスタントをオフにします。
- 設定アプリを開く
- 検索窓で、アシスタントと検索
- 長押しでアシスタントを呼び出すをオフにする
これで、エミュレータの電源ボタンで電源オンオフのコントロールが出来るようになります。
図:きちんとシャットダウンしましょう
図:電源ボタンでオフにできるようにする
RetroArchを使う
様々なレトロゲーム機だけでなく、PC98、X68000のようなレトロPCなどのハードウェアエミュレータを利用する事のできるマルチエミュレータです。ゲームパッド等も利用する事が可能で、過去の資産を活用する手段として利用する事が出来ます。
AndroidやPSP、様々な機種へも移植されており非常に高性能。
※macOSでPSを動かすと、ConnectixのVirtual Game Stationを思い出す。
図:ARM版エミュレータも含まれている
PPSSPPを使う
以前はRetroArchにも含まれていたのですが、なぜか現在は含まれていないPSPエミュレータであるPPSSPP。ただ、RetroArch版は特定のゲームに於いてフォント表示がされないので、修正をユーザが行わければならず、これがRetroArchの場合できない問題がありました(エヴァ2などが代表的)。
また、PSP用ソフトはUMD形式の特殊なディスクであるため、ここから吸い出してISO形式にしておく必要性もあります。
ISOファイルがありフォントの変換も出来ているならば殆どのソフトが動作するのではないかと。今回は自分が手持ちのもので天外魔境コレクションの天外魔境II 卍丸を動かしてみました(メチャクチャ声優さん豪華揃いです。PS2に天外魔境IIは移植されてるので、PSP版じゃないほうが簡単に動かせますが)。
さてPPSSPPは、M1 Mac用としてネイティブ動作するバージョンが用意されてるので、それをダウロード解凍として、アプリケーションフォルダに入れるだけ。あとはアプリで直接ISOファイルを読み込ませればオッケー。非常に高速に動作しますし、もちろんゲームパッドのキーアサイン変更も可能。
当時は声優さんによる音声が聞けるというゲームは、PCエンジンのCD-ROM2の作品くらいだったので、今のゲームでは当たり前の声出しが非常に斬新で次世代感に溢れていました(まだファミコンが現役時代でした)。青野武さんの声が本当に懐かしい。
図:問題なく動作します。
図:懐かしい声を聞けます
その他の動作検証
緊急時のキーコンビネーション
何かがあった時に必要なキーコンビネーションがmacOSにはあります。これまで長らくIntel Macで使われてきたものとM1 Macとではこの点が大きく変更されている為、イザという時に迷うことになります。
以下に主に使う組み合わせを検証してみました。
- SMCリセット:M1 MacではSMCリセットは出来ません
- NVRAMリセット:M1 MacではNVRAMリセットは出来ません。リカバリモードのターミナルからnvram -cを実行する手段はあります。
- インターネットリカバリ:M1 Macではインターネットリカバリは出来ません。
- シングルユーザモード:M1 Macではシングルユーザモードは出来ません。
- verboseモード:M1 Macではverboseモードは出来ません。
- セーフモード:電源長押で起動した後、ボリュームを選択肢Shiftキーを押しながらセーフモードで続行を選択する
- AppleDiagnostics:電源長押で起動し、起動オプションが表示されたらすぐにCommand+Dで入れます
- リカバリモード:電源長押で起動し、オプション⇒続けるをクリックする
- ターゲットディスク:2台をUSB-TypeCケーブルで接続後、電源長押で起動し、オプション⇒続けるをクリック。その後、ユーティリティ⇒ディスク共有に進み、ディスクを選択。別のmacOSでFinderのネットワークを開き、接続手順を踏めば見えます
- DFUモード:Apple Configurator 2を利用してもう1台のmacから復旧を行う機能。電源長押で起動し、起動したら一旦離す。再度電源長押⇒更に左control+左option+右shiftを10秒長押し⇒電源長押しのまま他のキーを離す事では入れます。もう1台には事前にApple Configurator 2をインストールしておきましょう
図:Apple Configurator2 は別途要インストール
Bluetoohゲームパッド
PS5のDualSense5コントローラでいくつかテストしてみました。結論から言えば、CrossOver Mac以外ではきっちり動作します。macOSでも公式対応しているゲームパッドになるので、安心して利用可能です。
但し、CrossOver Macでは認識こそすれど、ゲーム中では一切反応しませんので、enjoypadなどのキーアサイン割当ツールをmacOS側で設定してキーボードとマウス操作を実現するような形では操作が可能でした。詳細については以下のエントリーをご覧ください。
LibreOffice Apple Silicon版
オープンソースなオフィススイートであるLibreOfficeですが、すでにARM版がリリースされており、ダウンロード画面でApple Siliconを選ぶとARM版がダウンロード可能です。合わせてLanguage Packも落としてインストールしましょう。
但しこのLanguage Packですが、Spotlightにてディスク全体を除外対象に入れているとLibreOfficeの場所を見失い日本語化が出来ないというしょうもない問題があるので、必ず除外対象にディスク全体を指定せずにインストールをするようにしましょう。また、Finderの拡張子を表示にチェックを入れていてもインストールが出来ないということが過去に報告されています。
図:無事に日本語化出来た
図:きちんとAppleとして動いてる
Gimp Apple Silicon版
2022年12月5日、M1 Macネイティブで動作するApple Silicon版のGIMPがリリースされました。Intel Mac版とは異なりまた、Univarsal形式ではないのでインストールする場合は注意が必要。
最近はWebPでのエクスポートなども対応してるので、手放せないアプリになっています。オープンソースのアプリもApple Silicon対応版が徐々に増えてきていますね。
図:ネイティブ動作なので軽快に動きます
Premiere Elements
Intel版を動かしてみた
Intel版の廉価版動画編集ソフトであるAdobe Premiere Element 2020。自分のメインの動画作成環境ですが、M1 Macでも動作はします。しかしセットアップ直後だと「音」が出ません。
理由を調べて見ると、以下の作業をしてアクセス許可をする事で音声が出るようになりました。
- Adobe Premiere Element 2020を起動する
- メニューより環境設定⇒オーディオハードウェアを開く
- デフォルト入力を「Macbook Airのマイク」に変更する
- アクセス許可を求めてくるので、許可をする
- するとMacbook Airのスピーカーも利用可能になり音声が出るようになる。
- macOSの環境設定のセキュリティ⇒プライバシー⇒マイクでもその設定が可能です。
実際に編集してみた感想ですが、1080p程度の動画であれば、ややモッサリ感はあるものの問題なく編集可能。しかし、4K動画となるとプレビューしながらの編集はカクカクでちょっと実用は難しいです。
図:この設定をしないとnot workingのまま
図:この設定で躓くことが多い
M1 Mac版を使ってみた
M1 Mac対応版のPremiere Elements 2023を購入してみました。前述のRosetta2で動かしたPremiere Elements 2020と比較してこちらはM1チップネイティブで動作するため、非常に軽快に動作します。今回30GB程度の1080p 60fpsのMP4(39分サイズ)を読み込ませて、レンダリングをしてみました。温度上昇は65℃、メモリ消費量は5GB程度、CPU稼働率平均は30%、GPUが57%程度でエンコードされました。エンコード終了まではおよそ7分。
当たり前ですが、Rosetta2の動作とは比較にならないほど快適。もっさり感もなくレンダリング無しのプレビューしながらの編集でも非常に快適でした。これながら、M1 Macbook Air 2020であっても十分な動画編集が可能です。
また、動画出力ではx264, 動画ビットレート32M, オーディオビットレート160kbps, 1080pの60fpsで実行してみたところ、ファイルサイズが9GBで生成されて、完了まで2時間15分程度でした(CPUは96%, 温度上昇は76℃、GPUは54%、メモリ消費量は3.5GBほど)。
図:極めて軽快に動きます
図:CPUとGPUの稼働状況
図:メモリ消費量
図:GPUの設定
Excel for Mac 2021
自分は買い切りのExcel 2021 for Macを現在M1 Macで利用していますが、すでに2020年の頃よりM1ネイティブ対応されています。よって、現在のExcelはARM向けにビルドされてるものになるので、Rosetta2を介さずに動かせています。動作自体はIntel版よりも軽快でもっさり感もなく非常に良好です。
また、現在、Microsoft 365版ExcelおよびOffice 2019 for Mac, Office LTSC 2021 for Mac, Office 2021 for Mac v16.57ではネイティブ対応したPower Queryも利用可能になったようです(Rosetta2は不要)。但し単品買い切りのExcel for Mac 2021では使えないみたいです。利用するためにはM365版かOffice版のExcelでなければならないようで、またアプデ配信チャネルも「ベータ」でなければなりません(つまり、Office Insiderで配信されてる版)。
対象製品の場合、アプデするとデータタブに「データの取得」が現れて、Windows版よりも接続先が少ないですが、接続しPower Queryを使えるようになるとのこと。
※この機能差がわかりにくい上に、単品製品冷遇が最近は特に酷い。
図:現在はベータチャネルじゃないと使えない
GoPro対応
手持ちのGoPro Hero 9を使って、M1 Macで使えるか検証してみました。
まず、ウェブカメラとして使用し、TeamsやGoogle Meetで使えるか検証してみましたが、バッチリ使えました。きちんとユーティリティを入れておけば問題なく利用可能です(GoPro Connectモードにする必要)。
一方データの取り出しですが、USB接続にてMTPで接続し、macOS標準のイメージキャプチャで取り出せるか?やってみた所、こちらも全く問題なく撮影した画像・動画を取り出す事が出来ました。
図:バッチリ動画を取り出せます。
USBハブを使ってみる
シンプルなUSBハブ
Intel Mac用に購入し、Chromebookでも使ってるUSBハブが手元にあったので、M1 Macでもそのまま使い回せるかどうかテストしてみましたが、なんの問題もなく利用出来ました。
使用してるUSBハブはNovoo USB Type-Cハブなのですが、特徴は
- USB Type-Cポート:電源供給のみ
- USB Type-Aポート:問題なく使える(x2個ついてる)
- HDMIポート:全く問題なく出力可能
色々なデバイスで問題なく使えて持ち運びも容易なこういったアクセサリは常に携帯しておきたい所。
多機能マルチハブ
Macbook Airの一番の問題点は、USB Type-Cポートが2個しかない点。よって、現場の業務でプレゼンをするような仕事の際に
- 本体への給電
- プロジェクターへの出力
- GoPro等のパーツの接続
- カードリーダ等を利用する
といった場合にポートが涸渇する点。多くのUSBハブが前述のような結局、拡張されるUSB Type-Cポートが一個だけというケースが多く、1つのポートからUSB Type-Cを2つ以上拡張したい場合には問題の解決にならないため、Type-Aコンバータ等余計なものが必要になってしまいます。そこで購入したのがGIISSMO USB Type-C ハブ 7-in-1。
USB Type-Cが2つに拡張可能(1つはPD給電用、1つはデータ転送専用)、HDMIポート、Type-Aが2個、SDおよびMicroSDカードの2つを兼ねているので、マルチカードリーダ兼務でありながら2個にUSB Type-Cが増やせる点がポイント。
HDMIは4K 60Hz対応、Type AもCも3.0対応なので高速伝送(5Gbps)が可能。おかげでMicroSDカードリーダが不要になると共に、Type-Cポート不足で悩むことがなくなりました。Type-Cのみ拡張するタイプのも出てきてるので、いよいよType-Cの時代だなと感じます。
※このハブですが、Androidに刺しても利用できました。
ポータブルDVDドライブについて
M1 macOS 11 BigSurでは、標準のDVDプレイヤーでDVDが再生できないという報告が過去あったようです。しかし、少なくとも、macOS 12.3 Montereyで試してみましたが、普通にDVDドライブを接続し、標準のDVDプレイヤーで自然に再生ができました(ショーシャンクの空にを再生してみた)。
DVDプレイヤーそのものは、「/System/Library/CoreServices/Applications」に存在し、どうしても再生できないケースでは、DVDプレイヤーを右クリック⇒情報を見る⇒Rosettaを使用して開くにチェックを入れて再度再生すれば見ることはできるはずです。
図:Montereyなら問題なく見られる
動画のサムネイル表示対応追加
FLVやAVI、WMVなどの動画形式の場合、macOSでは標準ではサムネイル表示してくれません。そのため、開かないとどんな動画なのかわからないという問題点を解決してくれるのが、QLVideo。インストールするだけでオッケーというお手軽仕様で、古い動画形式もサムネイルで確認できるようになります。M1 Macでも問題なく利用出来ています。
アンインストールする場合は、以下のファイルを削除するだけ。
- /Library/Application Support/QLVideo
/Library/QuickLook/Video.qlgenerator
/Library/Spotlight/Video.mdimporter
図:FLV形式もちゃんとサムネイルで見られる
SSDの読み書きスピード
Blackmagic Disk Speed Testを使って、Read/Writeのテストをしてみた。ReadよりもWriteのほうが少し早いという結果に。確かに体感上もかなりこのスピードアップは実感してるところ。
ただ、問題はこのSSDの品質がどうもバラけてるという情報があり、M2 Macに至っては、M1よりも遅いものがあると(しかも半分近く遅い。。どうやら256GBのSSDを選択するとこのハズレに当たるらしい)。以前から、MacbookのSSDにはこういうスピードのばらつきがちょいちょい報告されていて、Macbook Air 2013などは後で交換したほうが全然早かったケースもあるので、困ったものです。
図:なかなか良い結果なのではないかと
AIに絵を描かせるDiffusionBee
AIに複数のキーワードを渡して絵を描かせる「Stable Diffusion」というツールが話題ですが、M1 Macで動かすには色々と大変です。これを手軽に動かせるようにアプリ化したものが、DiffusionBee。インストールして適当なキーワードを与えるだけで、自動でダウンロードした学習モデルに応じて色々勝手に作ってくれる面白いツールです。
M1 Mac用に作られてる為、Intel Macでは動作しないと思います。
テキストからイメージだけでなく、イメージからイメージを生成する事も出来るようです(将来実装されるようです)。イメージに対して生成オプションを指定する事が可能で、それによって、単一のイメージから複数のイメージを描くようになってるようで、毎回違う感じで作成してくれます。
スタイル指定では普通の実写以外にもチョークで書いたようなイメージみたいな指定も可能。イメージギャラリーはこちらから見られます。
図:なかなか面白いイメージを作ってくれます
図:生成された画像サンプル
図:エージェント・スミスを作らせてみた
Zoom使っていて気になった事
Google MeetやTeams等の場合は殆どのケースで、「相手の音が聞こえない」といったことや、逆にこちらの音声が通じていないといった事はなかったのですが、Zoomについては何かとこの手の問題がよく発生します。
注意点としては
- Apple Silicon用のインストーラは別に用意されている事(Or, for Macs with Apple Silicon chips, click here to downloadというところにある)
- セキュリティとプライバシーのプライバシーに於いて、アクセシビリティおよびマイクに於いて、許可が与えられてる事(Intel版のだと入っていなかった)
- 左下の自分の画面の音声がミュート解除になっていない事
- サウンド設定がMacbookのマイクとスピーカーになっている事
気になったのが、AndroidにZoomのアプリをインストールして自分のMacbook Airにつなげた所、声がMacbook Airから出てこない・・・よく調べてみると、Macbook Air側は問題ないのですが、Androidアプリ側の右下が「WiFiまたは携帯データ」になっていて、通常の「ミュート」というアイコンじゃない点。
これ、ちょっと問題だと思うのですが、Androidアプリから権限要求が来なかったので気が付かなかったのですが、これだとスマフォから音声が送れず
- 電話と付近のデバイスという権限を付与
した所、正常に動作。必ず使う前にスマフォ側はココ注意が必要です。手動でなくとも、2,3回アプリを起動したりスワイプで消したりしてたら、権限要求が来ました。なんで初回で来なかったのか?一番手っ取り早い方法はお互い、ミュート解除の状態でしゃべってハウリングが発生していれば、相互の設定に問題はありません。
図:macOSだとここが鬼門だったりする
図:ここが違うデバイスになってたら問題
図:正直ちょっと使いづらい
Apple Silicon対応Handbrake
Version 1.4以降のUniversal BinaryとなったHandbrakeはM1 MacのARM64に対応したようです。しかし、アクティビティモニタを見てみたら、Handbrakeの種類はIntelのまま・・・不穏に思いつつ1つISOファイルを取り込んでエンコードを実行してみた所、HandbrakeXPCServiceというプロセスはAppleとなっており、どうやらUIはIntelバイナリのままで、バックエンドのエンコードするモジュールはApple Siliconという具合になってるようです。
図:バックエンドがApple M1に対応してた
トラブルシューティング
iOSアプリが起動しない
macOS BigSurからはM1 MacでiOSアプリが動作するようになっているのですが、後述の「レガシーシステム拡張」にてセキュリティポリシーを変更してしまった場合、iOSアプリが起動しなくなります。
よって、またiOSアプリを動かしたい場合には、以下の作業をします。
- 一旦シャットダウンして、電源長押で再起動する
- オプションを選択して続行します
- アカウントにログインする
- メニューからユーティリティ⇒起動セキュリティユーティリティを開く
- セキュリティポリシーを開く
- オプションより、「完全なセキュリティ」にチェックを入れて反映する
- 動セキュリティユーティリティを終了します
- メニューからユーティリティ⇒ターミナルを開きます。
1csrutil enable - Succeccfullyと出たら成功。再起動する
これで、iOSアプリが再び起動するようになります。iOSのアプリの起動に対してかなり厳格なセキュリティ制限を掛けているということですね。
図:システムレポートで整合性が有効化されてるので確認
レガシーシステム機能拡張が動かない
M1 Macからはこれまで以上にアプリケーションの動作に対しての縛りが強化されており、Intel Mac等では使えていたレガシーシステム機能拡張が動作しないケースが増えており、この結果としてアプリが動作しないパターンがあります。しかし、このポリシーを変更する事で動作するようになるケースがあります。特にドライバ関係など。
しかしこの手順はセキュリティポリシーをIntel Macの時代と同じレベルに落とす必要があるので、利用するには自己責任が伴います。以下の手順で設定変更する事が可能です。
- 一旦シャットダウンして、電源長押で再起動する
- オプションを選択して続行します
- アカウントにログインする
- メニューからユーティリティ⇒起動セキュリティユーティリティを開く
- セキュリティポリシーを開く
- オプションより「セキュリティの低下」をチェックし、他の2つのオプションにもチェックを入れます
- 起動セキュリティユーティリティを終了します
- メニューからユーティリティ⇒ターミナルを開きます。
- 以下のコマンドを入力して実行。途中の問に対しては「Y」と入力してEnter
1csrutil enable --without kext - System Integrity Prtection is onとメッセージが出たら、macOSを再起動します
これで再起動後に、使いたいレガシーシステム拡張のkextファイルをインストールする事で有効化ができるようになります。現在のcsrutilの状況を確認する場合と、disableにする場合は以下のコマンドを入力します。いろいろなフラグについては、こちらのサイトに纏められています。
1 2 3 4 5 6 7 8 |
//状況を確認する csrutil status //無効化する csrutil disable //元に戻す(完全なセキュリティに設定後に) csrutil enable |
図:csrutilで状況確認
NTFSの読み書き
macOSは昔からリードオンリーならばNTFSにアクセス出来ても、読み書きは別のソフトウェアが必要です。有名所だとParagonのNTFS for Macなどがよく利用されてきました。他にも、EaseUS NTFS for Macなども出てきています。かつてNTFS3gと呼ばれていたものも、現在は別の名前で販売されていますが、M1対応状況は不明。
ドネーションウェアですが、Mounty for NTFSという新しいタイプのアプリも出てきており、個人的にはこちらを試してみたいと思っています。
昔と違い、Windows環境も混在する中では必須のソフトウェアといえるので、マルチな環境でmacOSを使ってる人は導入しておくと気苦労が減って良いのではないかと思います。
SSD異常書き込み問題
ちょっと最近まで話題になっていた、M1 MacにおけるSSDの異常書き込み問題。Spotlightのインデックス作成が原因ナノでは?であったり、RAM 8GBモデルに多く発生していたという事から、スワップが多数発生していたのでは?といった色々な憶測が流れていましたが、後者のスワップの問題と稼働時間のレポートが異常値が送られていたため、実際にはそこまで異常な書き込みがされていたわけではないということで決着しています。
現在はすでにmacOSで修正されており、このような問題は発生していないとのことです。
外付けSSDにて速度が遅い問題
M1 Macに於いてUSB接続のSSDの読み書きが以上に遅いという問題が結構前から報告されています。実際にベンチマークを取って検証しているサイトもあります。主にM1で発生しているようで、M1 MaxやM1 Proでは解消しているとする検証を報告しているサイトもあります。
おおよそ30%ほど遅いというのが主な内容で、ハードウェアの問題であろうということなので、OSでどうこう出来る問題ではないのではないかと思います。M2チップが出る際にはこの問題が解消してると良いのですが。
以前もUSBでのEthernet接続で十分な速度出ていない問題などがあったので、M1のチップセットに関する潜在的な問題かもしれません。いずれにせよこれは修正できるものではないので、対処法はありません。
位置情報がWiFiの速度低下を招く問題
2022年5月に指摘された内容で、macOSの位置情報をオンにしているとWiFiの速度が低下するという問題が報告されました。システム環境設定⇒セキュリティとプライバシー⇒プライバシータブの中にある「位置情報」で、60秒ごとに通信が途切れるという問題です。
Twitterでも何件か同様の事例が報告されており、特にApple Mapが頻繁にGPS要求を出していたのが特に原因のようです。PCの場合殆どGPSを要求するシーンは存在しないので、基本的にMacを探すの機能以外はオフで問題ないです。
図:正直この機能はPCではあまり活躍しない
マルチモニター問題
M1 Mac発売当初から言われていた事ですが、USB Type-CのケーブルからHDMIのモニタへの出力は1台に限られています。2台以上のモニタに出力してといったことがM1 Macはそのままでは出来ません。出力は6K 60Hzまで。
この問題点の回避策としては、Display Link対応のUSBドックを利用するという手段があります。これにより最大4台まで出力が可能になります。手持ちのUSBドックがDisplay Linkに対応していればすぐに試すことが可能です。手順としては
- Display Linkからこれを可能にするためのmacOS用ソフトウェアをダウンロード
- インストールをする
- ソフトウェアを起動してUSBドックを接続すると、警告画面が出るのでシステム環境設定から許可をしてあげる
- 当たり前ですがドックが2つ以上のHDMIポートを装備している必要があります。
これでマルチディスプレイ環境を構築できます。安いものでは数千円で手に入る機材なので、マルチディスプレイが必要な人は対応ドックを導入しましょう。
また、最近Ankerより、最大3台出力の出来る「Anker 563 USB-C Docking Station (10-in-1)」が海外で販売されており、結構高価ですが、ドッキングステーションですので、HDMI出力以外にも豊富な機能が全て揃ってるのでお金に余裕のある人は一個持っておくと幸せになれるかもしれません。
スクショと画面録画
Intel Macと変わらず、QuickTime Playerの機能で画面のスクショと録画が簡単に可能になっています。左Shift + Command + 5キーを押すと、下にコントロールが表示されます。画面のスクショと録画の両方に対応しており、画面全体・選択ウィンドウ・選択領域と3つとも対応しているので、これで十分用をなすでしょう。
しかし、画面の録画についてですが、標準では音声は収録されません。以前はSoundFlower(2014年開発停止)仮想音声デバイスを追加してくれるツールが使えたのですが、M1 Macでは動作しません。M1 MacではBackground Musicというツールが対応しているので、これを使ってみます。(類似のものとして、Blackholeと呼ばれるものもあります)。OBS等でも利用することになるので、配信演る人は必須のツールですね。
- こちらのサイトからpkgファイルをダウンロードする
- インストールする
- 起動するとメニューにアイコンが出てくるので、クリックしてMacbook Air Speakerにチェックをする
- システム環境設定を開き、サウンドを開く
- 出力にて、Background Musicを選択する(入力じゃないよ)
- この状態で、左Shift + Command + 5キーでコントロールを出し、画面収録を選びます
- オプションを開き、Background Musicを選択し、撮影を開始する
- 収録をして停止。きちんと音声も取れているか確認する
不安定さはあるものの、きちんと手順を踏んでやってみたところ、きちんと収録されました。うまく行かない時は、メニューの音量ボタンをクリックして、きちんとBackground Musicになってるかを確認。また、Backgroud Music自体も一旦終了して起動し直し、出力デバイスを確認してやり直すと良いです。公式にも書いてありますが、変だなと思ったら出力デバイスを戻して、もう一度Background Musicに変えるなどすれば治ります。
図:撮影用コントロールが出てくる
図:Background Musicの様子
図:システム環境設定の様子
図:収録直前のオプション選択
環境設定に省エネアイコンがない
M1 Macでディスプレイのスリープ時間変更しようと思ったら、省エネアイコンが無い。どうやら、これらの項目は「バッテリー」という項目に統合されてしまったようです(バッテリーという表記は適切だとは思えない)。
使用状況なども確認できるようですが、このあたりはフリーソフトのBattery Monitor使ったほうが優秀なのでそちらを使いましょう。また、このあたりのカスタマイズはAmphetamineを使うと、クラムシェルモードなどを実現できるので、活用しましょう。
図:バッテリーに項目が統合されてる
図:Battery Monitorも活用しよう
図:クラムシェルモードにする方法
ブックのファイルのパスがわからない
macOSのブックアプリ。購入した電子書籍や自炊したPDFなどをアップロードする事が可能ですが、ダウンロードしたブックファイルやPDFはどこに保存されてるのかわからないという人も多いです。バックアップを取りたいのにどこに保存されてるのやら。
保存されてるフルパスは以下の通り
1 |
~/Library/Containers/com.apple.BKAgentService/Data/Documents/iBooks/Books |
ここにダウンロードやブックのファイルが格納されています。電子書籍(拡張子ibooks)はDRM保護されてるので、バックアップしても該当のマシンでしか開けないので、そのままどうにか出来るわけじゃないですが、自炊したPDFファイルについては、ここで確保する事が可能です。
図:ここに保存されている
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